書籍・雑誌
2009-11-01
2009-10-29
2009-10-25
2009-10-22
2009-10-20
『アシンメトリー』 飛鳥井千砂
結婚に強い憧れを抱く女─朋美。結婚という形を選んだ男─治樹。結婚に理想を求める男─貴人。結婚に縛られない女─紗雪。
結婚願望の強い朋美はある時、友人の紗雪が突如結婚を決めたことにショックを受けた。紗雪の相手は幼馴染みの治樹。心から祝えない朋美だったが、ふたりの結婚パーティーで出会った年下の貴人と恋仲になる。しかし、紗雪と治樹の結婚には秘密があった…。
飛鳥井さんの四冊目の単行本。前作の『サムシングブルー』と同様に結婚がテーマになっています。カバーイラストのような恋愛小説を想像していたら、全然違いました。作風こそ変わらないけれど、何かこれまでと異質なものを感じます。正直、今回の小説は期待はずれ、あまり楽しめませんでした。登場人物の極端な変容に不自然さを感じました。
『はるがいったら』、『学校のセンセイ』は良かったので、こういう雰囲気の方が合っていると思います。次回作に期待します。
いつの間にか、公式HPが作られていました。ここの日記を読んでいるとおもしろい。素のままの飛鳥井千砂さんを知ることができます。
2009-09-14
2009-09-03
2009-08-30
『坂の上の雲』 司馬遼太郎
明治維新をとげ、近代国家の仲間入りをした日本は、息せき切って先進国に追いつこうとしていた。この時期を生きた四国松山出身の三人の男達―日露戦争においてコサック騎兵を破った秋山好古、日本海海戦の参謀秋山真之兄弟と文学の世界に巨大な足跡を遺した正岡子規を中心に、昂揚の時代・明治の群像を描く。
根強い人気のある大長編なので、いつかは読んでみたいと思っていたけれど、大変そうでなかなか踏み切れず先延ばししてきました。しかし、読み始めてしまえば後は勢いで何とかなりました。歴史の知識が不足していて、日露戦争のことは詳しく知らなかったかけれど、日本にとって大きな転換期だったということがよくわかりました。事実に基づいた話とはいえ、著者の想像も入っているはずなのに全く違和感を感じませんでした。さすが大作家です。明治時代の日本人観も伝わってきました。この時代に生きる人にとって国家というものは、今と随分違うということを感じました。
この秋からドラマも放送されるらしいですが、こんな壮大な出来事を再現することができるのだろうか、ちょっと驚きでもあり、楽しみです。
2009-08-25
2009-08-14
2009-08-13
2009-08-09
2009-07-23
2009-07-13
2009-07-11
『猫を抱いて象と泳ぐ』 小川洋子
伝説のチェスプレイヤー、リトル・アリョーヒンの一生涯
半年近く待って、ようやく図書館から借りることができました。静かで、どこかメルヘン的な著者独特の作風は心地よさを感じます。この物語はチェスがテーマになっていて、私はチェスはやらないけれど、将棋は好きなので親しみやすかったです。全く知らなくても楽しめると思います。
主人公は身体的に、精神的にも普通の人たちと違うところを持っていて、それは一般社会で生きにくいばかりではなく、チェスの世界でも同様でした。表舞台には出られないけれど、チェスへの興味は人一倍高く、その存在は伝説になっていきます。ちょっと淋しく切ない話に感じられましたが、主人公は幸せだったかもしれないと思えました。表紙の写真は読み進めていくと、何とも言えないものを感じさせます。静かに感動できる一冊でした。
2009-07-06
2009-07-03
『旅をする木』 星野道夫
写真家、星野道夫さんのエッセイ
以前から名前だけは知っていたものの、目にする機会がありませんでした。そういえば、梨木香歩さんのエッセイ「水辺にて」の表紙も星野さんの写真でした。
静かなそれでいて魅力的な文章、写真は一枚もないのにアラスカの大自然が目に浮かぶようです。本当にこの人はアラスカが好きなんだなあとしみじみ思います。すっかり気に入ってしまいました。十年以上前に書かれた本なのに、全く違和感を感じません。私もいつかアラスカに行ってみたくなりました。その前に写真集や他の著書もチェックしなくては。
2009-06-27
2009-06-26
2009-06-12
図書館の自動貸出機
普段利用している図書館は狭い上にいつも混んでるので、最近は中央図書館に足を運んでいます。こちらは一年前に新設移転されて、とても広く充実しています。所蔵もこちらの方が圧倒的に多いので主に調べ物中心の利用にしています。オンラインデータベースも利用できるのは便利です。ここには自動貸出機があって、利用者が自分で貸し出し手続きをすることができます。いままで使ったことがなかったのですが初めてチャレンジしました。本には最新方式のICタグが埋め込んであって、本棚みたいなところに載せると読み取って手続きできます。最初は本の向きが間違っているらしくエラーになりました。本の背表紙を奥にしないといけないようです。図書館も進化しています。煩わしさはないけれど、ちょっと味気なさも感じます。
最近はベストセラー本をあまり追わなくなって、自分の好みの作家ばかり読んでます。村上春樹の本はすごいことになっているようですが全然読む気になりません。話のネタにと思うこともありますが優先順位は低いです。今は宮下奈都さんという作家に注目しています。単行本以外にも文芸誌に掲載されている作品が数多くあって、それを踏破しているところです。
2009-06-08
『アルケミスト』 パウロ・コエーリョ
羊飼いの少年サンチャゴは、アンダルシアの平原からエジプトのピラミッドに向けて旅に出た。そこに、彼を待つ宝物が隠されているという夢を信じて。長い時間を共に過ごした羊たちを売り、アフリカの砂漠を越えて少年はピラミッドを目指す。「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」「前兆に従うこと」少年は、錬金術師の導きと旅のさまざまな出会いと別れのなかで、人生の知恵を学んで行く。
世界的なベストセラーで根強い人気があるのに全然知りませんでした。児童文学のジャンルに入ると思いますが、とても良い本です。単なる冒険アドベンチャーと思っていたら、とんでもない。よくありがちな次々に障害を乗り越えていくというような動きのある展開とは違います。主人公の少年の精神的な成長が読んでいて頼もしく思えました。「大いなる魂」という言葉が何度も出てきますが、スピリチュアル的な要素が強いのも特徴です。
2009-05-15
『君と一緒に生きよう』 森絵都
ノンフィクションの犬の話。これしか事前知識がなく読み始めましたが、ショックでした。あまりに知らないことばかりで、驚くばかり。昔は野良犬をよく見かけたけれど、今は全然見ていなかったので、捨てる人は減ったのだとばかり思ってました。見えないだけで、何も変わっていないようです。むしろ飼い主のモラルは低下しているし、悪質業者は蔓延っている。その一方で、命を救いたい一心で助けようとする人たちがいることを知りました。犬好きな人は当然いたたまれない気持ちになるでしょう。簡単に犬を飼ってはいけない。飼い主としての責任を果たせないのであれば飼ってはいけない。無責任な飼い主が後を絶たない限り続いてしまう。私は犬が大好きですが今の環境では飼うことが出来ません。それでも何かできることがないか考えたくなりました。すぐには無理かもしれないけれど。この本の訴えるメッセージは強く心に響きそうです。
2009-05-13
2009-05-11
『刑務所のリタ・ヘイワース』 スティーヴン・キング
映画「ショーシャンクの空に」の原作。好きな映画なので、原作を一度読んでみたいと思ってました。映画と少し違うところもありましたが、原作を読み直して改めていい話だと思いました。
アンディがレッドに宛てた手紙の一節の言葉が印象に残ります。
~希望はいいものだ、たぶんなによりもいいものだ。そして、いいものは決して死なない。~
ホラーが苦手なので(笑)、普段スティーヴン・キングの本を読まないのですが、少しは挑戦してみようかな。
2009-05-04
『プリンセス・トヨトミ』 万城目学
5月末日の木曜日、大阪が完全に止まる。あらゆる種類の営業活動、商業活動、地下鉄・バス等の公共機関も一切停止。しかしそのことは大阪にいる人たち以外は全く知らない。その発端となったのが、会計検査院からやってきた個性豊かな調査官三人と、大阪の空堀商店街にあるお好み焼き屋の中学生の大輔と、その幼馴染の茶子。彼らが、大阪人に連綿と引き継がれてきた、秘密の扉を開けてしまうのだった・・・。
鴨川ホルモーと鹿男あをによしはおもしろかったけれど、この作品はいまひとつでした。何か調子に乗り過ぎって感じを受けました。発想は「ダ・ヴィンチ・コード」をモチーフにしたような印象が見られ、おもしろさだけを追求していたストーリーでした。創作といっても説得力に欠けていたと思います。無駄に思える文章も数多く見られ、過剰な情景描写は読み手を疲れさせます。複数の登場人物が主役のようでしたが、中心人物を絞ってもよかったのではないかと思います。いずれにしても今回はいただけない。次回作に期待します。
2009-04-17
『コイノカオリ』
水曜日の恋人(角田光代)/最後の教室(島本理生)/泣きっつらにハニー(栗田有起)/海のなかには夜(生田紗代)/日をつなぐ(宮下奈都)/犬と椎茸(井上荒野)
宮下さんの著書を読むために図書館から借りてきました。6人による恋のアンソロジーになってますが、背表紙は角田光代、島本理生、他となってます。やはり知名度の高い作家優先なんでしょうか。多少贔屓目はあるかもしれませんが、宮下さんの「日をつなぐ」が一番良かったと思います。
物語は赤ちゃんが生まれたばかりの主婦の話。内容としては平凡ですが何と言うかとても心地よい文章、丁寧で無駄のない描写なので主人公の気持ちが伝わってきます。すっかりファンになってしまったので、他の話もさらに読んでみます。
2009-04-13
『遠くの声に耳を澄ませて』 宮下奈都
アンデスの声/転がる小石/どこにでも猫がいる/秋の転校生/うなぎを追いかけた男/部屋から始まった/初めての雪/足の速いおじさん/クックブックの五日間/ミルクティー/白い足袋/夕焼けの犬
前に読んだ「スコーレ№4」が印象に残っていたので読んでみました。これは短編集ですが登場人物が少しずつリンクしていて、つながりを感じられます。一つ一つの話は異なるので連作とはちょっと違うと思うのですが、その辺の定義はよくわかりません。
何気ない日常の出来事を描いていて特別なことではないけれど、主人公の気持ちが伝わってきます。誰もが一瞬一瞬をいろんなことを考えながら生きていく。ちょっと切なく清々しい気持ちになれました。
この人の文章は好きなので、数は少ないけれど読んでみたいと思いました。
2009-04-12
『うつくしい人』 西加奈子
他人の苛立ちに怯え、細心の注意を払いながら重ねていた日々を自らぶちこわしにした百合。会社を辞め、「ただの旅行」で訪れた島のリゾートホテルのバーにいたのは、冴えないがゆえに百合を安心させるバーテンダー坂崎と、暇を持て余す金髪のドイツ人、マティアスだった。美しい瀬戸内海の離島、そこしかないホテルで不思議に近づく三人の距離。地下には、宿泊客が置いていく様々な本が収められた図書室がある。本に挟まっていたという一枚の写真を探すため、ある夜、三人は図書室の本をかたっぱしから開き始める。
心を病んだ人が日常から離れるための旅行。独特の感情表現で巧く気持ちを表していたと思います。物語の展開にはちょっと物足りなさと感じるところはあるけれど、こういう書き方もありかもしれない。少し前の西さんの小説にはがっかりさせられることが多かったけれど、これはよかったです。多少自らの経験も入っていたようなことがあとがきに書いてありました。西さんもリフレッシュできたのかな?
2009-03-15
2009-03-09
2009-03-08
2009-03-07
2009-02-24
『狐笛のかなた』 上橋菜穂子
小夜は12歳。人の心が聞こえる“聞き耳”の力を亡き母から受け継いだ。ある日の夕暮れ、犬に追われる子狐を助けたが、狐はこの世と神の世の“あわい”に棲む霊狐・野火だった。隣り合う二つの国の争いに巻き込まれ、呪いを避けて森陰屋敷に閉じ込められている少年・小春丸をめぐり、小夜と野火の、孤独でけなげな愛が燃え上がる…愛のために身を捨てたとき、もう恐ろしいものは何もない。
人気のある作家ですが、読んだことはありませんでした。なんとなく子供向けなのかなと思っていたからです。実際に読んでみて、その感覚は当たっていたと思います。
一言で冒険恋愛ファンタジー。物語自体はそれなりに面白いし良くできていると思います。正統派のファンタジーでしょう。中学生の頃に読んでいたら夢中になっていたかもしれません。小説というよりアニメを活字で読んでいるような気がしました。なんとなく、もののけ姫のイメージを思い浮かべました。ストーリーは設定を予め重視しているような作り方で、先が予想できて意外性が乏しい。巧く言い表せませんが、創作とはわかっているのですが作っているという意向が強すぎて惹きつける魅力が不足している。それでは特定のファン以外にはあまり受けないでしょう。
2009-02-21
2009-02-15
『月の砂漠をさばさばと』 北村薫
くまの名前/聞きまちがい/ダオベロマン/こわい話/さそりの井戸/ヘビノボラズのおばあさん/さばのみそ煮/川の蛇口/ふわふわの綿菓子/連絡帳/猫が飼いたい/善行賞のリボン/さきちゃんとお母さんのこと
9歳のさきちゃんと作家のお母さんは二人暮し。毎日を、とても大事に、楽しく積み重ねています。お母さんはふと思います。いつか大きくなった時、今日のことを思い出すかな―。どんな時もあなたの味方、といってくれる眼差しに見守られてすごす幸福。かつて自分が通った道をすこやかに歩いてくる娘と、共に生きる喜び、切なさ。やさしく美しいイラストで贈る、少女とお母さんの12の物語。
ちょっと息抜きの本。なんだか、ホッとできるお話でした。平凡な日常の中にも物語はある。母と子の温かいふれあいが微笑ましいです。さきちゃん、おかしい!笑わしてくれるなあ。
『オーデュボンの祈り』 伊坂幸太郎
コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?
伊坂さんの作品はたくさん読んでいたのに、何故かデビュー作を読んでいないことに気がつきました。これはいけない、ということで早速図書館から借りて読みましたが、デビュー作でこれだけ書ける人はすごいと思いました。だからこそ今日の活躍があるのだろうと納得させられます。
この物語はミステリーでありながら、ファンタジーの要素も持ち合わせた特徴があります。喋るかかしは、オズの魔法使いを思い出しました。多少荒っぽいところもありましたが、充分楽しめます。
2009-01-30
2009-01-28
2009-01-25
2009-01-23
『ノルウェイの森』 村上春樹
言わずと知れた大ベストセラーですが、読んだことはありませんでした。特に理由はなかったけれど、その気にならなかっただけのこと。予備知識は恋愛小説というくらい。ということで先入観なしで読むことが出来ました。
率直な感想としては、う~ん、何でそんなに人気があるの?
文章、表現力はとても素晴らしい文学作品と思うけれど、ストーリーは面白さを感じませんでした。恋愛小説というより、主人公の心の葛藤を描いた成長物語に思えました。時代背景は40年くらい前ですが、当時の様子がわかってなかなか興味深かったです。タイトルをビートルズの曲からとっていたのは意外でした。情景描写がとても巧いので、男女のシーンはリアルすぎるくらい。でもラストの情事は理解不可能でした。
まあ、個人的にはあまり好みの内容ではなかったということです。ひとそれぞれですね。
2009-01-17
2009-01-16
2009-01-14
2008-12-29
2008-12-20
2008-12-17
2008-12-12
2008-12-02
2008-11-26
2008-11-09
2008-11-06
2008-10-30
『春のオルガン』 湯本香樹実
小学校を卒業した春休み、私は弟のテツと川原に放置されたバスで眠った―。大人たちのトラブル、自分もまた子供から大人に変わってゆくことへの戸惑いの中で、トモミは少しずつまだ見ぬ世界に足を踏み出してゆく。ガラクタ、野良猫たち、雷の音…ばらばらだったすべてが、いつかひとつでも欠けてはならないものになっていた。
小学生でもない、中学生でもない、中途半端な時期。少女は自分が怪物になった夢をよく見ます。自分を取り巻く様々な出来事、自分がどうしたいのかもよくわからない。苛立ちに反発することもあります。どうしようもないことを受け入れていく。子供から大人への階段を上っていく情緒不安定な様子を巧く表現しています。ラストの急展開にはちょっと戸惑いを感じましたが、心温まる物語でした。
2008-10-17
2008-10-14
2008-10-11
『ポプラの秋』 湯本香樹実
夫を失ったばかりで虚ろな母と、もうじき7歳の私。二人は夏の昼下がり、ポプラの木に招き寄せられるように、あるアパートに引っ越した。不気味で近寄り難い大家のおばあさんは、ふと私に奇妙な話を持ちかけた―。18年後の秋、お葬式に向かう私の胸に、約束を守ってくれたおばあさんや隣人たちとの歳月が鮮やかに甦る。
「夏の庭」も感動できる物語でしたが、これもとてもよかったです。静かなストーリーの中に安らぎと心温かいものを感じられました。心を病んだ人が手紙を書くことでやわらいでいく、何となくその気持ちはわかります。手紙を書くことがほとんどなくなってしまいましたが、メールとは違って味わい深いものです。いろんな想いを受け止めたおばあさん、すごいなあ。
2008-10-02
2008-09-29
2008-09-27
2008-09-20
2008-09-04
『ラン』 森絵都
溶けて還った彼らと交わりながら私は走りつづける。生きつづける。
十三歳で両親と弟を失い、二十歳で叔母に逝かれ、夏目環はひとりぼっちだった。人付き合いは苦手で、生きる希望を失っていた。ある時、自転車屋の紺野さんから贈られたモナミ1号に乗って死後の世界に辿り着く。そこで驚くべき事実に遭遇し、なぜか40キロ走ることを目指す。
「ダイブ」を読んだ後だったので、スポーツものかと思いきや、どちらかというと「カラフル」に近い内容でした。どんな困難にもあきらめす、逃げない。そんな応援メッセージでした。奇想天外な設定ではあるけれど、最後まで読み終えると清々しい気持ちになり、力をもらったような気になれます。長編ですが読みやすく、文章にも好感が持てました。
2008-08-31
『DIVE』 森絵都
高さ10メートルの飛込み台から時速60キロでダイブして、わずか1.4秒の空中演技の正確さと美しさを競う飛込み競技。その一瞬に魅了された少年たちの通う弱小ダイビングクラブ存続の条件は、なんとオリンピック出場だった!女コーチのやり方に戸惑い反発しながらも、今、平凡な少年のすべてをかけた、青春の熱い戦いが始まる―。大人たちのおしつけを越えて、自分らしくあるために、飛べ。
森絵都さんの人気作品。最近映画化もされているようです。飛び込み競技は知っていても、実際に経験のある人は少ないし、ルールもよくわかっていない。いわゆるマイナースポーツ。そういえば、先日の北京オリンピックでも全く話題にもなっていない。これを読んでちょっとは興味がわきました。テンポよく軽快なストーリーなので、長編だけど一気に読み上げることができました。文章はとてもなめらかで読みやすかったです。ラストの見せ場はもうちょっと楽しませてほしいと思いましたが、意図的にそうしたのでしょう。
2008-08-25
2008-08-06
2008-08-02
2008-08-01
2008-07-25
『ハリー・ポッターと死の秘宝』 J.K.ローリング
最終巻を読み終わりました。なんだかとても達成感を感じました。やはり1巻から読み続けていると思い入れも結構強くなっています。子供のようにワクワクしながらページをめくってました。ハリーの成長とともに本の内容も成長してきました。最初は紛れもなく児童文学でしたが、大人でも充分楽しめる物語になりました。
結末は予想通り、こうならないと世界中の読者が許さないでしょう(笑)
最終巻ということもあるのでしょうが、過去のシーンとたくさん結びついてきます。1巻から6巻をしっかり頭に入れておかないと、関連性が見えてこないと思います。例えれば、ジグソーパズルのように空白のピースを埋めていくからです。よく考えて作られていると思います。一方で、ここまで詳しくしなくてもいいのではないかと思うこともあります。本編に解説書がくっついているようなものです。それで、膨大なページ数になってしまったのでしょう。
長い物語が終わってしまって、もう続きがないと思うと寂しさもあるのですが、そのうち映画が公開されるでしょう。毎回そうですが、アクションだけのダイジェスト版みたいなんでしょうね。やっぱり本を読む方が楽しい。
2008-07-23
2008-07-20
『やさしいため息』 青山七恵
派遣会社に勤めるまどかは社内の人付き合いが苦手。ある日、行方知れずだった弟と4年ぶりに再会する。弟の風太は「今日はどんな一日だった?」と観察日記を書きはじめる。
駅で、部屋で、街の中で、わたしはある声を探している。風太のノートに書かれた文字のように、その声がわたしの生活を語ってくれることを待っている。
何の変哲のない日常生活を淡々と描いているだけのストーリーなのに、退屈することなく読むことができました。主人公の気持ちもわかったような、わからないような。青山さんの小説は現代風のタッチなのにしっかりした文芸作品になっているので、ちょっと真剣に読まないといけない。センスの良い文章も心地いいです。「松かさ拾い」も収録。
2008-07-18
2008-07-01
2008-06-23
『戸村飯店 青春100連発』 瀬尾まいこ
大阪の下町にある中華料理店・戸村飯店。この店の息子たちは、性格も外見も正反対で仲が悪い。高3の長男・ヘイスケは、昔から要領が良く、頭もいいイケメン。しかし地元の空気が苦手で、高校卒業後は東京の専門学校に通う準備をしていた。一方、高2の次男・コウスケは勉強が苦手。単純でやや短気なのが玉にキズだが、誰からも愛される明朗快活な野球部員。近所に住む同級生・岡野に思いを寄せながら、時間があいているときは店を手伝い、卒業後は店を継ぐつもりでいた。
春になり、東京に出てきたヘイスケは、カフェでバイトをしながら新生活をはじめる。一方コウスケは、最後の高校生活を謳歌するため、部活引退後も合唱祭の指揮者に立候補したり、岡野のことを考えたり、忙しい日々を送っていた。ところが冬のある日、コウスケの人生を左右する大問題が現れて……。
瀬尾さんの長編小説を久しぶりに読めて、とても嬉しい。第1章は「Re-bornはじまりの一歩」に収録されていたので気になっていました。これまでの作風と少し変わったかなと思いましたが、さらに物語の幅が拡がった感じがします。
一言で言うと、タイトルの通り青春小説ですが、軽快なテンポでどんどん先を読みたくなる展開になっています。セリフが関西弁になっていると少し読みにくいのですが、それが返って気持ちが伝わってくるから不思議です。ただただおもしろいだけではなく、心温まる雰囲気にしてくれる、瀬尾さんの文章力はさすがです。一押しの一冊です。物語は一応完結になっていますが、是非この続きを書いてほしいです。
2008-06-21
『こうふく あかの』 西加奈子
結婚して十二年、三十九歳の調査会社中間管理職の「俺」の妻が、ある日、他の男の子を宿す話。二〇三五年、小さなプロレス団体に所属する無敵の王者、アムンゼン・スコットの闘いの物語。二つの話が響き合う。
「こうふく みどりの」と対になっている本。といっても別に関連性はあまりありません。西さんの二つの物語に対する思いは繋がっていても、読み手からするとプロレスという共通の話題だけではないかという気もします。個人的にプロレスにあまり興味がないので、必然的に面白さは全く感じません。ストーリーもそれほど目新しさはありません。「こうふく みどりの」同様に辛口の批評になってしまっていますが、この二冊は西さんの自己満足に過ぎないと思います。残念です。次回作に期待します。
2008-06-09
2008-05-31
『カシオペアの丘で』 重松清
肺の腫瘍は、やはり悪性だった―。40歳を目前にして人生の「終わり」を突きつけられたその日、俊介はテレビ画面に、いまは遊園地になったふるさとの丘を見つける。封印していた記憶が突然甦る。僕は何かに導かれているのだろうか…。
限られた生の時間のなかで、家族へのこす言葉を探すために、俊介はふるさとへ帰ってきた。幼なじみとの再会を果たし、過去の痛みを受けとめた俊介は、「王」と呼ばれた祖父とともに最後の旅に出る。未来を見つめ、過去と向き合う。人生の締めくくりに俊介が伝えたものは―。大空に輝き続ける命の物語。
とても感動しました。読んでいる途中で何度か涙が出てしまい、すっかり物語に引き込まれてしまったようです。北海道を舞台にした4人の幼なじみの物語。30年ぶりの再開は過去の出来事、限られた命、家族の絆など様々なことを掘り起こす。4人の気持ちを巧く描いていて、大長編なのにとても自然の流れになっていると思います。
2008-05-26
『本からはじまる物語』
飛び出す、絵本(恩田陸)/十一月の約束(本多孝好)/招き猫異譚(今江祥智)/白ヒゲの紳士(二階堂黎人)/本屋の魔法使い(阿刀田高)/サラマンダー(いしいしんじ)/世界の片隅で(柴崎友香)/読書家ロップ(朱川湊人)/バックヤード(篠田節子)/閻魔堂の虹(山本一力)/気が向いたらおいでね(大道珠貴)/さよならのかわりに(市川拓司)/メッセージ(山崎洋子)/迷宮書房(有栖川有栖)/本棚にならぶ(梨本香歩)/23時のブックストア(石田衣良)/生きていた証に(内海隆一郎)/The Book Day(三崎亜記)
本屋をテーマに書かれたアンソロジー。これだけ多くの著者がかかわっているといろんなお話があっておもしろいです。短編ではあるけれど読んだことのない著者の作品にも興味がわきます。
『九つの、物語』 橋本紡
大学生のゆきなは、古い一軒家に一人で暮らしている。ある日部屋で本を読んでいると、お兄ちゃんが入ってきた。呆れるほどの読書家で、やたらと女の子にモテていて、おしゃれで、さっと美味しい料理を作ってくれて、以前と何ら変わりはない。ただひとつ、既に死んでいるはずだということをのぞけば……。
こうして二年前に水死したはずのお兄ちゃんとの奇妙な生活が始まった。穏やかで優しい恋人の香月くん、ちゃらちゃらしていて、どこかお兄ちゃんに似ている同級生の紺野くん、そしてお兄ちゃんの幽霊の恋人……彼らとの交流、穏やかな日々は、しかしいつまでも続かなかった。亀裂の入った香月くんとの付き合い、壊れてばらばらになった家族、お兄ちゃんの死にまつわる封印された記憶を取り戻すため、ゆきなとお兄ちゃんは旅に出る。再生の痛みと喜びを謳う、九つの物語。
優しい穏やかな雰囲気が漂う物語です。それぞれの章に文学作品を絡めているのはおもしろい発想だと思いました。でも小説を読んでいるというより少女マンガみたいだと思ってしまうのは私だけでしょうか。男性の登場人物があまりにも現実離れしている。
2008-05-25
2008-05-05
『Re-bornはじまりの一歩』
よろこびの歌(宮下奈都)/あの日の二十メートル(福田栄一)/ゴーストライター(瀬尾まいこ)/コワリョーフの鼻(中島京子)/会ったことがない女(平山瑞穂)/瞬間、金色(豊島ミホ)/残り全部バケーション(伊坂幸太郎)
最近流行のアンソロジー。一冊の本で複数の作家の小説を読めるのは良し悪しがあると個人的には思っています。どちらかというと寄せ集めみたいで、あまり好きではありません。雰囲気が雑誌感覚になってしまうからです。この中でよかったと思うのは、瀬尾さんと宮下さんと福田さんの書いたものです。特に瀬尾さんの「ゴーストライター」は「戸村飯店青春100連発」の原型になっているそうで、早く読んでみたくなりました。
2008-04-19
『流星ワゴン』 重松清
死んじゃってもいいかなあ、もう…。38歳・秋。その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。そして―自分と同い歳の父親に出逢った。時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。やり直しは、叶えられるのか―?
会社はリストラ、妻はテレクラ通い、息子は不登校と家庭崩壊状態になって生きる力を失ってしまった主人公はタイムマシーンの車に乗った幽霊?と出会う。過去を再体験することにより、やり直そうと試みるが現実は何も変えられない。しかし、家族や確執のあった父親と接することにより本心を知って自らの心と向き合えるようになる。過去を変えれば未来が変わるという楽観的な物語と違ってとても厳しい現実ですが、大切なものは何なのか教えてくれるような気がします。評判通り感動できる一冊でした。
2008-04-18
2008-04-17
2008-04-05
『こうふくみどりの』 西加奈子
お前んち、いっつもええ匂いするのう。おばあちゃん、夫(おじいちゃん)失踪中。お母さん、妻子ある男性を愛し、緑を出産。藍ちゃん、バツイチ(予定)、子持ち。好きになったら年齢問わず。桃ちゃん、4歳なのに、まだおっぱい吸いに来る。辰巳緑、14歳、女未満。初恋まであともう少し。
西さんの本は一通り読んでいて、好きな作家のひとりです。しかし、この物語に限ってはあまり好きになれません。全然おもしろくない。はちゃめちゃなパワーはいつも通り感じられるけれど、あまりに何でもありみたいな設定はどうなんでしょう。また、本編と平行させてサブストーリーみたいなものを織り交ぜていますが、時々誰の話なのかわからなくなって混乱させてしまう。とても残念です。
2008-03-21
『エンジェル エンジェル エンジェル』 梨木香歩
コウコは、寝たきりに近いおばあちゃんの深夜のトイレ当番を引き受けることで熱帯魚を飼うのを許された。夜、水槽のある部屋で、おばあちゃんは不思議な反応を見せ、少女のような表情でコウコと話をするようになる。ある日、熱帯魚の水槽を見守る二人が目にしたものは―なぜ、こんなむごいことに。コウコの嘆きが、おばあちゃんの胸奥に眠る少女時代の切ない記憶を呼び起こす…。
文庫本は既に読んでいましたが、単行本から少し書き換えられていると聞いたことがありました。そこで、図書館から借りてきて違いを確かめようと思い改めて読み直しました。なるほど、内容は変わりませんが結末の表現が違っています。どちらかというと単行本はストレートな表現で、コウコからさわこ(おばあちゃん)に宛てたメッセージで終わっていますが、文庫本にはありません。それは作者の代弁ともいえる言葉だったように推察しますが、コウコに語らせるには不自然であると判断したのではないかと思います。この本はわかりやすいストーリーで、実は人の善悪という結構難しいテーマに触れていると思いました。
2008-03-13
2008-03-12
2008-03-11
2008-03-08
2008-03-06
2008-03-05
『千年樹』 荻原浩
いじめに悩む中学生の雅也がくすの巨樹の前で自殺を考える「千年樹」。
タイムカプセルを埋めようとした幼稚園児の雅也と、こまどり組の十七人が、木の下からガラスビンを発見する「瓶詰の約束」。
くすの木の下で男を待つ女が、かつて同じ場所で男を待ち続けた女と出会う「梢の呼ぶ声」。
木を上司や生徒に見立ててナイフで切り刻むのが日課の中学教師と、過去理不尽な切腹を命じられた男の運命が交じり合う「蝉鳴くや」。
人を殺そうとしていたヤクザを昔ここで人を殺した盗賊の運命が救う「夜鳴き鳥」。
ドライブ中偶然巨樹を発見した家族の前に150年前の間引きの風習と母の苦悩が蘇える「郭公の巣」。
祖母の初恋を知った孫娘の共感を描いた「バァバの石段」。
市役所職員となった41歳の雅也が、かつて自殺を試みたくすの木の伐採に立ち合う「落枝の怒り」。
千年の時を生き続けた一本のくすの巨樹。その周りで起きる数々の出来事を連作短編で描いています。くすのきはただ見守っているだけですが、存在感を持っています。どちらかというと悲劇的な話が多いので、荻原さんのユーモア小説路線とは異なっています。
2008-02-16
『鹿男あをによし』 万城目学
「さあ、神無月だ--出番だよ、先生」
神経衰弱と断じられ、大学の研究室を追われた28歳の「おれ」。失意の彼は、教授の勧めに従って2学期限定で奈良の女子高に赴任する。ほんの気休め、のはずだった。英気を養って研究室に戻る、はずだった。あいつが、渋みをきかせた中年男の声で話しかけてくるまでは……。
慣れない土地柄、生意気な女子高生、得体の知れない同僚、さらに鹿…そう、鹿がとんでもないことをしてくれたおかげで、「おれ」の奈良ライフは気も狂わんばかりに波瀾に満ちた日々になってしまった!
期待を裏切らない面白さで楽しく読めました。マンガのような小説ではあるけれど、なかなかユニークな発想の物語です。奈良を舞台にしたおとぎ話ですが、歴史的要素も加わってて神様の世界も身近に感じてしまうから不思議です。春日大社と鹿島神宮が関係あるとは知りませんでした。
このお話は既にテレビドラマにもなっているようですが、そちらは観ていないので出来はわかりかねますが、ドラマ向きの小説かもしれません。
2008-02-13
2008-02-12
『ゴールデンスランバー』 伊坂幸太郎
仙台で金田首相の凱旋パレードが行われている、ちょうどその時、青柳雅春は、旧友の森田森吾に、何年かぶりで呼び出されていた。昔話をしたいわけでもないようで、森田の様子はどこかおかしい。訝る青柳に、森田は「おまえは、陥れられている。今も、その最中だ」「金田はパレード中に暗殺される」「逃げろ!オズワルドにされるぞ」と、鬼気迫る調子で訴えた。と、遠くで爆音がし、折しも現れた警官は、青柳に向かって拳銃を構えた―。
伊坂さんの本を久しぶりに読みました。大長編に相応しく、読み応えたっぷりで楽しめました。数ある作品の中でも上位の出来ではないかと思います。主人公の躍動が感じられ、物語の進め方もスムーズでよかったです。物語は明らかにJFK日本版といったところを目指していたのですが、権力の怖さや情報化社会への警鐘を打ち鳴らしていました。少しだけ気になったのは、事件から20年後というチャプターは必要なかったと思います。
2008-02-09
2008-02-07
2008-02-02
2008-02-01
『ホルモー六景』 万城目学
「鴨川ホルモー」の続編と思っていたら、ちょっと違っていました。続きの部分はごくわずかで、どちらかというと番外編でした。本編ではふれていなかった背景的な様子が明らかになっているのは興味深かったです。それなりにおもしろいのですが、いまひとつ中途半端です。どうして、この六つの物語で一冊の本にしたのだろうかと疑問に思います。本編と関連性の薄いものもあり、構成がちぐはぐです。この物語をシリーズ化するなら理解できますが、そういう感じはしませんでした。まあ、前作を読んで、おもしろかった人は参考までに読んでみてはいかがでしょうか。この本は前作を読んだ人だけのための作品です。
2008-01-29
2008-01-27
2008-01-21
『夜は短し歩けよ乙女』 森見登美彦
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。二人を待ち受けるのは奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった!
人気のある本なので、半年ほど待ってようやく図書館から借りることが出来ました。京都を舞台にした青春恋愛ファンタジー。第一印象は、万城目学さんの「鴨川ホルモー」に似ていると思いました。最近、京都ものはブームなのでしょうか?京都の地名が所々に出てくるので、詳しければ違った楽しみ方もあるかもしれません。作者は意図的に普段使わない古くさい言葉遣いを用いていますが、これが結構読みづらくて最初は慣れませんでした。全体的におもしろい話だと思いますが、ひねりすぎているような気もします。
2008-01-20
『ハードボイルド・エッグ』 荻原浩
続編のサニーサイドエッグがおもしろかったので読んでみました。正統派のハードボイルド小説もいいけれど、少し笑いのある物語なので楽しく読めました。
フィリップ・マーロウに憧れ、マーロウのようにいつも他人より損をする道を選ぶことに決めた最上俊平と美人秘書?のおばあちゃんが巻き込まれた殺人事件。
2007-12-30
『村田エフェンディ滞土録』 梨木香歩
時は1899年。トルコの首都スタンブールに留学中の村田君は、毎日下宿の仲間と議論したり、拾った鸚鵡に翻弄されたり、神様同士の喧嘩に巻き込まれたり…それは、かけがえのない時間だった。だがある日、村田君に突然の帰還命令が。そして緊迫する政情と続いて起きた第一次世界大戦に友たちの運命は引き裂かれてゆく…
「家守綺譚」と繋がりのある姉妹本。何度か読み返すと味わい深さが増すような気がします。最近人気のある小説とは違って落ち着いた気分になれます。やっぱり梨木さんの持っている物語の世界は心地よいです。
2007-12-29
2007-12-28
2007-12-26
2007-12-14
2007-12-13
2007-12-12
2007-12-11
『川の光』 松浦寿輝
平和に川辺で暮らしていた野ネズミ一家が環境の変化により新しい住処を求めて旅をする大冒険。数々の苦難を乗り越えて、家族の愛情と友情を確かめあうファンタジー。
この物語は読みやすい文章で楽しく面白いと思うが、どのような読み手をターゲットにしているのかわからない。一見児童文学かと思いきや、大人も対象になっているような気がする。新聞の連載小説の単行本化ということから、幅広い年代を考慮したのかもしれない。それが返って裏目に出て中途半端になっていると思わざるを得ない。そのため全体の構成は今ひとつだと思う。また、最後のおまけのような部分は物語の勢いを止めてしまうから省いた方がいい。もっと思い切って子供向けにしたほうが良かったのではないでしょうか。
2007-12-06
『ちいさなおはなし』 新井素子
こゆび/くしゃみ/ごっとはんど/おふとん/ねこまた/かげ/ゆめ/いぬ/かあてん/ふしぎ/ひみつ/くものいと/おと/たまご/のっく
星新一さんに捧げた?15話のショートショート。新井素子さんの本を久しぶりに読んでみました。なんか懐かしいなあという気分になってきます。実は昔からの大ファンで代表的な著書はほとんど読んでいます。SF長編を書くことが多かった彼女がショートショートを書くなんて、デビュー当時以来の何十年振りじゃないでしょうか。ん~本の感想は・・・特にないです。ショートショートはコメントが難しい。言えることはもとちゃんワールドは健在だし、あとがきの書き方も昔のままで変わっていませんね。もう懐かしさだけで満足でした。
2007-11-28
『名残り火 てのひらの闇Ⅱ』 藤原伊織
堀江の無二の友人・柿島が殺された。その謎に満ちた死に疑問を持った堀江は調査に乗り出すが……。
藤原さんの逝去により、推敲の途中であったが出版された遺作。「てのひらの闇」の続編になる。前作が結構派手な作品だったのに比べれば、こちらは少し地味かもしれない。その代わり最後の結末には悲哀を感じざるを得ない。内容は異なるが重複する登場人物の背景を理解するために「てのひらの闇」を先に読んでおいた方がよいでしょう。
2007-11-27
2007-11-26
『夕子ちゃんの近道』 長嶋有
アンティーク店フラココ屋の二階で居候暮らしをはじめた「僕」。どうにも捉えどころのない彼と、のんきでしたたかな店長、大家の八木さん、その二人の孫娘、朝子ちゃんと夕子ちゃん、初代居候の瑞枝さん、相撲好きのフランソワーズら、フラココ屋周辺の面々。その繋がりは、淡彩をかさねるようにして、しだいに深まってゆく。だがやがて、めいめいがめいめい勝手に旅立つときがやってきて―。誰もが必要とする人生の一休みの時間。7つの連作短篇。
ゆっくりと、優しい物語。淡々と流れる物語は日常生活に疲れた人には癒しになるかもしれない。そんな雰囲気の主人公がフラココ屋を通じてふれあう人たちとの人生の休み時間。おとなしめの本ですが結構心地よいです。
2007-11-25
2007-11-24
『上と外』 恩田陸
両親の離婚で、別れて暮らす元家族が年一度、集う夏休み。中学生の練は妹・千華子、母とともに、考古学者の父がいる中米のG国までやってきた。密林と遺跡と軍事政権の国。すぐさま四人はクーデターに巻き込まれ、避難中のヘリから兄妹が落下、親子は離ればなれに!?疲労困憊でさまよう二人の身に、異変が…。
このお話は元々文庫本六冊あった長編を新装版二冊にしたものです。ボリュームがあるので最初はちょっと抵抗を感じますが、読み進めていくと段々面白くなってくるはずです。一言で言うと、マヤの伝説にまつわる大冒険の話です。実際あり得ないと思いつつも、この先どうなるんだろうと、結構ワクワクさせられます。タイトルの上と外に何か比喩があるのかもしれないと考えていたのですが、よくわかりませんでした。全体的にとても良かったのですが、最後に親子再開の場面を省略しないでほしかったと思います。クライマックスからいきなり緊張感が消えて、思わず拍子抜けしてしまいました。それだけが残念です。
2007-11-21
『月のうた』 穂高明
第二回ポプラ社小説大賞の優秀賞受賞作品。大賞は該当作なしということになっているが、個人的にはこの作品に大賞を与えてもいいと思った。求められているレベルが高いのかもしれない。心温まる、ホッとできるような気持ちにさせてくれるお話だった。とても丁寧に書かれていて感情移入しやすい。場面転換が少々不自然に感じるところもあったが、デビュー作としては上々だろう。強いて言えば、語り手が複数に渡る連作のため小説のインパクトが分散してしまっている。もっと焦点を絞っても良かったのかもしれない。
母を失った少女民子は、どうして母が病気は治らないことを自分に話してくれなかったのかずっと悩み続けていた。継母の宏子、亡き母の親友、父亮太、それぞれの視点から少女を見守る。そこには月がいつも優しく輝いている。
2007-11-20
『ミッキーかしまし』 西加奈子
西さんの小説は一通り読ませてもらっていて、結構気に入っている。これは初めてのエッセイ、本人曰く自由な態度で書いたというが、自由なんてものではない。とてものびのびと、言い方を変えると好き勝手、に書いている。この人はホントに小説家なのだろうか?何となく小説家は繊細な人が多いというイメージを持っていたが、まるっきり当てはまらない。飾らない、とても豪快な人。うむ、とてもパワフルだ。お酒を飲めば何かしらやってくれそうで、一度でいいからご一緒したい。お友達にほしいタイプ。
これを読めば、これまでのエピソードや彼女の考え方がよくわかります。イラン生まれのエジプト育ちなのに全然帰国子女らしくなく、こてこての大阪人。ニックネームはミッキー。お酒大大好き。小説家になるきっかけはトニ・モリスン「青い目がほしい」を読んだから、等々。カバーイラストと挿絵まで本人が書いたらしい。大阪弁と標準語が混ざった文章は微妙に変かもしれない。
とっても楽しく読ませてもらったので、次回作に期待します。
2007-11-16
2007-11-15
『蚊トンボ白髭の冒険』 藤原伊織
羽音と不思議な声がすべての始まりだった…。陸上競技への夢を断念し、水道職人となった若者・達夫の頭の中に、ある日奇妙な生物が侵入してくる。その名も蚊トンボ・シラヒゲ。超人的能力を得た達夫は、アパートの隣人・黒木を理不尽な暴力から救う。しかし、それは恐るべき闇社会との対決を意味していた。
黒木は暴力団に巨額の損失を与え、追われる身だった。その行方を知るべく、彼らは卑劣な手段で達夫を脅迫した。そこに凶悪獰猛な赤目の男・カイバラが介入、達夫の恋人・真紀を誘拐する。そのとき皮肉にもシラヒゲの能力は尽きようとしていた。カイバラの挑発に単身敵地に乗り込む達夫。はたして真紀を無事救出できるのか。
ハードボイルド路線にSFが混じった非現実的な話。藤原さんの著書では珍しい作品だと思う。頭の中に蚊トンボが入ってくるなんて、ずいぶん突拍子もない発想。スパイダーマンにでも影響されたのかな。話自体はそれなりに楽しめましたが、ちょっと設定に無理があったような気がします。また、数年前に書かれたから仕方がないですが、ネットトレーディングやETCの話題は今となっては少し古くさく感じてしまった。
2007-11-14
『家日和』 奥田英朗
42歳の主婦・晴美は、不要品をネットオークションに掛けたことがきっかけで、家中に目を光らせるようになったが(「サニーデイ」)。
36歳夫の会社が倒産。専業主婦だった妻が働き始め、夫が家事をすることに。「ここが青山」
離婚寸前の営業マン38歳の正春。妻が家を出てからインテリアショップ巡りに目覚めて・・・。「家においでよ」
東京郊外の一戸建て、二人の子供を持つ専業主婦の弘子は、平凡だが幸せな毎日を過ごしていた。ある日自宅を訪れた営業マンに会った夜から、妙な夢を見始める。「グレープフルーツ・モンスター」
イラストレーターの春代の夫は職を変わってばかり。ところが彼が転職するたびにイラストの出来がよくなることに気づく。「夫とカーテン」
42歳作家の夫の妻が<ロハス>に凝りだした。子供ともどもつきあうことにしたものの・・・。「妻と玄米御飯」
夫婦の日常に起きる出来事を集めた短編集。どれも身近な話題で興味を抱きやすい。読みやすい文章でとても楽しいので、すぐに読み終わってしまう。でも小説としてはあまり印象に残らない。軽めな本で、なんとなく雑誌を読んでいるような気分になってしまうからです。
2007-11-13
2007-11-12
『鴨川ホルモー』 万城目学
予備知識を全く持たずに読んだせいか、この話はいったい何なんだ?「ホルモー」って何?と、最初は訳わかんないことばかりでしたが、とてもおもしろかったです。久しぶりに想像力豊かな本を読んだ気がします。物語の進め方がとてもうまくて、すっかり話に引き込まれてしまいました。読み終わってみれば、青春ファンタジーだったと思います。京都が物語の舞台となっているので、日本人の心をくすぐるものもあったかもしれません。後で京都の地図を見て確認してしまいました。
京大に入学して葵祭のバイトの帰り道に渡されたサークル勧誘のビラにつられて、新歓コンパに参加した安倍は居合わせた女の子に一目惚れ、京大青竜会というサークルに入会してしまう。普通のイベントサークルにみえたその実態は「ホルモー」を行う奇妙な集団。次第に巻き込まれながらも、いつしか不思議な縁に導かれていく。
2007-11-11
『一瞬の風になれ』 佐藤多佳子
本屋大賞受賞作品ということで、とても人気のある本でした。図書館から借りて読むには予約待ちが長くて、三冊読み終えるのに5ヶ月もかかってしまいました。おかげで本を読む間隔が開きすぎて、前の話を忘れてしまうこともしばしありました。内容はともかく本の出版のやり方には不満があります。三部で完結している話なので全部読まないと意味がありません。一部または二部だけではあまりに中途半端です。しかしながら、この程度のボリュームで三冊にするのはどうなのかなと思います。二冊で十分収まるはずです。
さて、ストーリーは走ることが好きな高校生の青春物語です。スプリンターとして目標に向かって頑張る姿を描いています。失敗と挫折を繰り返しながらも少しずつ成長していく過程は感動を与えてくれます。スポーツ選手の夢を追いかける気持ちがよく伝わってきました。中高生で部活をやっている人にはたまらない内容だと思います。小説の出来としてはいろんなことを詰め込みすぎで、もっと本筋に絞ってもいいのではないかと感じました。特に最後のクライマックスのところはもう少ししっかり描いたらよかったのではないかと思いました。
2007-10-24
2007-10-23
『カラフル』 森絵都
生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。
死んでしまった魂が天使の抽選に当たって再挑戦するという、突拍子もない出だしから始まる。これって、ファンタジーなのかな?それともコメディなのかなと思いきや、結構考えさせられる重いテーマを持ったお話でした。多分中学生くらいを対象にした児童文学になるのでしょうが、大人が読んでも全然違和感はないと思います。主人公が家族や友達を理解していく過程はなかなか説得力がありました。いい話だと思うのですが、人は死んだらやり直せないだろうと、ふと当たり前のことを思ってしまい、このコンセプトでいいのかなあと疑問も少し感じました。
2007-10-08
2007-10-06
2007-09-21
『常野物語』 恩田陸
常野一族とは?
膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから―「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。穏やかで知的で、権力への思向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。
恩田さんの数多くの著作でシリーズ化されている三冊を読んでみた。常野物語シリーズと呼ばれているらしい。光の帝国 → 蒲公英草紙 → エンドゲーム が出版された順番だが、それを知らずに蒲公英草紙から読んでしまったが、それぞれの物語が完結しているので、順番はあまり気にする必要はないと思う。ただ、エンドゲームは光の帝国の後に読んだ方がいいだろう。一見すると超能力集団の話なので、映画「X-MEN」みたいな連想をしてしまうが派手なアクションがあるわけでもなく、どちらかというと、穏やかなファンタジーになっている。
常野一族の歴史を語るような短編集。それぞれの物語が少しずつ関連している。不思議な能力を持った人たちの光と陰が描かれていて、読み進めていくとすっかり引き込まれてしまう。
わかりやすい題名なら、たんぽぽ日記?明治時代の頃の東北の農村に暮らす少女の回想録風になっている。旧家のお嬢様の話し相手となった少女は、常野から来た人たちの不思議な力を見ることになる。ちょっと美談過ぎないかと思いましたが、こういう感じの話は大好きです。
「裏返さ」なければ「裏返される」――正体不明の「あれ」と戦い続けてきた拝島親子の話。正直よくわからなくて期待はずれでした。前二作とはずいぶん違う作り方になっている。
2007-09-02
2007-08-29
2007-08-25
2007-08-19
2007-08-18
2007-08-16
2007-08-15
『グラスホッパー』 伊坂幸太郎
「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。それぞれの思惑のもとに―「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説。
ストーリーの展開はとてもうまいし、おもしろい話と思うが、読み終わって何日か経つと忘れてしまいそう。殺し屋の殺気が感じられないのは、表現のインパクトが弱いのかな。作風パターンがマンネリ化しているような気がする。是非新しい挑戦をして欲しい。
2007-08-14
2007-08-06
『ロング・グッドバイ』 レイモンド・チャンドラー(村上春樹訳)
私立探偵フィリップ・マーロウは、億万長者の娘シルヴィアの夫テリー・レノックスと知り合う。あり余る富に囲まれていながら、男はどこか暗い蔭を宿していた。何度か会って杯を重ねるうち、互いに友情を覚えはじめた二人。しかし、やがてレノックスは妻殺しの容疑をかけられ自殺を遂げてしまう。が、その裏には哀しくも奥深い真相が隠されていた…大都会の孤独と死、愛と友情を謳いあげた永遠の名作。アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀長篇賞受賞作。
かなり有名な名作らしいが、文学知識がないので全く知らなかった。大長編なので読むのはちょっと大変。いかにも古き良きアメリカの代表作なのだろう。文章が素晴らしいのは、作者なのか訳者なのか、よくわからない。内容は銃と酒とお金持ちの話という印象がとても強く残る。
2007-08-05
『Q&A』 恩田陸
都下郊外の大型商業施設において重大死傷事故が発生した。死者69名、負傷者116名、未だ原因を特定できず―多数の被害者、目撃者が招喚されるが、ことごとく食い違う証言。防犯ビデオに写っていたのは何か?異臭は?ぬいぐるみを引きずりながら歩く少女の存在は?そもそも、本当に事故なのか?Q&Aだけで進行する著者の真骨頂。
不思議な作りの本だった。タイトルの通りQ&A形式の対話によって、物語が進んでいく。それでいて、ちゃんとストーリーになっている。恩田さんはすごい作家だと思う。某宗教団体の事件がモデルになっていると思われるが、内容についてはそれ程おもしろくは思えなかった。主人公は人物というより事故そのものだったようだ。
『学校のセンセイ』 飛鳥井千砂
センセイって、もっと特別な人がやるものだと思ってたんだ。とくにやりたいことがなく、気がつけば先生になっていた。生徒は可愛げがないし、同僚とのつきあいも面倒だ。それでも、“センセイの日々”は続いて行く…。
待ち望んでいた飛鳥井千砂さんの2冊目の本。名古屋を舞台にした高校の若手教師の物語。高校教師2年目の桐原一哉は決して熱血教師というわけではなく、適当に仕事をこなしていくが面倒くさいことには関わりたくない。しかし、学校では問題を起こしそうな生徒を助けたり、生徒に好意を持たれたりとトラブルに巻き込まれ、次第にセンセイらしく?なっていく姿を描いてる。多少在り来たりの内容もありましたが楽しく読めました。残念なのは後半の部分。もう少し深く掘り下げて欲しかった。ちょっと物足りないです。
また、名古屋独特なことを盛り込んでいておもしろかった。
放課後の意味が違うこと
「でら」という言葉遣い
シロノワールという食べ物
ナナちゃん人形 → これって何?
2007-07-29
『小さなパリジェンヌ』 雨宮塔子
元TBSアナウンサーの雨宮塔子さんのエッセイ。以前に金曜日のパリという本を読んだことがあるが、内容はがらっと変わり、子供に関することばかりの一冊。ここまで人は変わってしまうのかと思うような印象を受けた。それでも雨宮さんのこだわりは健在で、パリの暮らしで感じたことを独特の視点で綴っている。子育てについて、日本とフランスの違いもおもしろかった。
2007-07-15
『ぐるりのこと(文庫本)』 梨木香歩
旅先で、風切羽の折れたカラスと目が合って、「生き延びる」ということを考える。沼地や湿原に心惹かれ、その周囲の命に思いが広がる。英国のセブンシスターズの断崖で風に吹かれながら思うこと、トルコの旅の途上、ヘジャーブをかぶった女性とのひとときの交流。旅先で、日常で、生きていく日々の中で胸に去来する強い感情。「物語を語りたい」―創作へと向う思いを綴るエッセイ。
既に単行本を読んでいるのに、やっぱり好きな作家の本が出るとついつい手に取ってしまう。内容はもちろん同じだが、表紙が全然違う。単行本(前回の記事参照)は真っ白な表紙が印象深かったが、文庫本はご覧の通り。50年くらい前に描かれた絵らしい。エッセイのイメージとぴったり合う。よく探し出してきたものだ。改めて読み直しても、すっうと心に入ってくる。殺伐としたことの多い世の中には大切なことを訴えていると思う。
2007-03-02
『モノレールねこ』 加納朋子
時をこえて届くあの頃からの贈りもの。儚いけれど、揺るぎない―「家族」という絆。デブねこの赤い首輪にはさんだ手紙がつなぐ、ぼくとタカキの友情(「モノレールねこ」)。夫を待つ時間に取り組んだ白いパズルの中に、犬の気配が(「パズルの中の犬」)。家族をいっぺんに失った中学生の私と、ダメ叔父さんの二人暮らし(「マイ・フーリッシュ・アンクル」)。私と偽装結婚したミノさんは、死んだ婚約者がそばにいると信じていた(「シンデレラのお城」)。ロクデナシのクソオヤジに苦しめられてきた俺に、新しい家族ができた(「ポトスの樹」)。会社で、学校で、悩みを抱えた家族の姿を見守るザリガニの俺(「バルタン最期の日」)。
おもしろいタイトルだなあ、と思って図書館から借りて読んでみたのですがなかなか良かったです。長編と勘違いしていましたが、短編8作からなっています。どの作品も短いお話ですがホッとするような暖かさが感じられます。著者の他の作品も読んでみたくなりました。
2007-02-25
2007-02-24
『アヒルと鴨のコインロッカー』 伊坂幸太郎
引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は―たった一冊の広辞苑!?そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ!注目の気鋭が放つ清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。
期待を裏切らない面白さだと思う。ミステリーなんだけど、それっぽくない軽めの読み物。ストーリーの流れはいいんだけど、現在と過去の話を交互に展開するのが細かすぎて、少し読みにくい。この話は映画化されるらしいですが、そこまではちょっとどうなのかなと思う。さらっとしていて、心に残るような話ではないと思う。
2007-02-12
2007-02-11
『通天閣』 西加奈子
どうしようもない人々が醸し出す、得体の知れないエネルギーが溢れている大阪ミナミ。社会の底辺でうごめく人々の愚かなる振る舞いや、おかしな言動が町を彩っている。主人公は、夢を失いつつ町工場で働く中年男と恋人に見捨てられそうになりながらスナックで働く若い女。八方ふさがりに見える二人は、周りの喧噪をよそに、さらに追い込まれていく。ところが、冬のある夜、通天閣を舞台に起こった大騒動が二人の運命を変えることに…。
大阪、通天閣の下で繰り広げられる人間模様。クライマックスはいささか強引なところがあるように感じましたが、パワー全開で圧倒されました。これが大阪の心意気なのかな?通天閣の存在感って、今ひとつ自分にはわからないんですが、象徴的なものなんでしょうか。そして、大阪弁がたくさん活字になっていると、ついついぎこちなく読んでしまう自分に笑ってしまう。
2007-01-28
2007-01-27
2007-01-20
『この庭に』 梨木香歩(須藤由希子)
雪が降っている。真夜中に、突然そのことを知った。カーテンを開けると、しんしんと、ただしんしんと、雪が降っていた。梨木香歩、もう一つの「ミケルの庭」の物語。
手にとって初めに思ったこと、これは大人の絵本。とても新鮮な感覚を与えてくれるステキな本でした。静かに、ゆっくりと読むことをオススメします。短いお話ですが、モノトーンのイラスト(スケッチと言うべきか)がさらに想像力を高めてくれます。ストーリーは雪の降る中に起こる不思議な物語。ミケルとは、「からくりからくさ」にでてくるマーガレットの子供のことです。「りかさん」の文庫本に掲載されている「ミケルの庭」のアナザーストーリーになっているようですが、続編という位置づけではなさそうです。この物語は、ミンクとサーディン(わからなくて、辞書で調べてしまった(笑))が登場してきて、不思議な世界へ導いてくれます。それと日本人形のような白い顔の女の子がでてくるのですが、もしかしてりかさん?なのかな。この本を雪の降る寒いときに読んだら、雰囲気でるだろうなあと思っていたら、今夜は雪が降るかもしれないそうです。
2007-01-19
2007-01-16
2007-01-14
2007-01-08
『丹生都比売』 梨木香歩
丹生都比売 (におつひめ)
持統天皇の治世を舞台に、丹生都比売という姫神と、水と、銀とに彩られた、草壁皇子の少年の日々を描いた歴史ファンタジー。
梨木さんのお話が好きでも、ここまで読むと極めてきたなあと思いたくなります。地元の図書館にあったことを感謝します。正直読み始めは抵抗があって、なかなか読めませんでした。難しいのかなあ、と思っていたのです。実際そんなことはありませんでした。歴史の知識がなくてもOKです。梨木作品の原点みたいなものが感じられました。あとがきに編集者が売れなくてもいいから本にしよう、とあったのはすごいと思いました。ここまで来たら、梨木さんの本を全部読んでみようかな。すると次は絵本?
2006-12-30
2006-12-29
2006-12-13
2006-12-12
2006-11-28
『天国はまだ遠く』 瀬尾まいこ
仕事も人間関係もうまくいかず、毎日辛くて息が詰りそう。23歳の千鶴は、会社を辞めて死ぬつもりだった。辿り着いた山奥の民宿で、睡眠薬を飲むのだが、死に切れなかった。自殺を諦めた彼女は、民宿の田村さんの大雑把な優しさに癒されていく。大らかな村人や大自然に囲まれた充足した日々。だが、千鶴は気づいてしまう、自分の居場所がここにないことに。心にしみる清爽な旅立ちの物語。
現実から逃れて、自殺を試みたが失敗。最期の地と選んだ場所は何もない田舎だが、居心地がとてもよい。毎日心地よい生活が続き、次第に癒されていくが、ここは自分の居場所でないことに気づく。何をすればいいのかわからないが、何かをしなくちゃいけないと、新しい自分探しを決意する。逃げ込むだけでは何も始まらない。そんなメッセージがあるのかなと思います。テーマは重いですが、読みやすいタッチで、すぐに読み終わります。また、舞台となっている場所は、中学校の教師である瀬尾さんの丹後地方の体験が生かされているようです。
2006-11-26
『水辺にて』 梨木香歩
カヤックで漕ぎだす、豊かで孤独な宇宙。そこは物語の予感に満ちている。
梨木さんのエッセイ集も3冊目。前作「ぐるりのこと」とは一味違う内容になっている。まず驚くのは梨木さんがカヤックにはまっていること。これはスポーツとしてみると意外なことだが、自然本来の姿を深く追求する面から考えれば、不思議ではないかもしれない。ただ、カヤックの名前が「ボイジャー」というのはちょっと笑ってしまう。水辺の視線から見た情景が活字を読んでいても目に浮かぶ様。物語がどこから生まれてくるのか。生命の営みをどこから感じているのか。もう一度読み返せば、もっと深く理解できるかもしれない。今度は近くの川辺で読んでみようかな。「沼地のある森を抜けて」の背景も、この本を読んでわかりました。
2006-11-20
2006-11-11
『ラッシュライフ』 伊坂幸太郎
読むとおもしろいが、最近、伊坂さんの作品を何冊か読んできたせいか、作風のパターンがいつも同じようなので、新鮮味が感じられなくなってしまった。この本に関しては、登場人物が大勢いて、それぞれが複雑に重なり合ってくるのだが、どこに話の焦点があるのかわかりにくい。もっとシンプルでもいいような気がする。
泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。
2006-11-04
2006-11-01
2006-10-30
『りかさん』 梨木香歩
「からくりからくさ」を読むと、やはり「りかさん」も読まないといけない気になってしまい手に取ることになる。どちらを先に読むかは自由だが、私は後から読んだほうがいいと思う。蓉子の子供頃の話であるが、後々出会う人たちとの不思議な縁が見えてくる。人形の持つ思いを考えさせてくれます。
リカちゃんが欲しいと頼んだようこに、おばあちゃんから贈られたのは黒髪の市松人形で、名前がりか。こんなはずじゃ。確かに。だってこの人形、人と心を通わせる術を持っていたのだ。りかさんに導かれたようこが、古い人形たちの心を見つめ、かつての持ち主たちの思いに触れた時・・・。
文庫本は「からくりからくさ」のその後を描いた「ミケルの庭」を収録している。
2006-10-24
2006-10-23
2006-10-10
『チョコレートコスモス』 恩田陸
とにかく、おもしろかった。長編なので、ゆっくり時間をかけて読もうと思っていたら、すっかり引き込まれてしまって、2日で読み終えてしまった。読後の清々しい気持ちは「夜のピクニック」を彷彿させる。一見、「ガラスの仮面」の小説版かと思わせるところもありますが活字だけに奥が深い。これを映画化したら、おもしろいんじゃないかな。キャストは宮崎あおいのイメージに合いそうな気がします。
演劇業界では、新劇場の柿落としとなる芝居が話題になっていた。その頃、無名の少女、佐々木飛鳥が演劇に興味を惹かれ、小さな劇団に入団する。未経験にもかかわらず天才的な演技で注目を浴びることになり、新劇場の芝居のオーディションを受けることになる。少女は芝居をやりたいというわけではなく、そこに何があるのか知りたいというだけで、戸惑いながらも有名女優達と競うことになり、自分の探していたモノを見つけていく。
2006-09-30
2006-09-29
2006-08-27
2006-08-26
2006-08-12
2006-07-30
2006-07-02
2006-06-18
2006-05-22
最近の読書
最近忙しくなってきて、だんだん本が読めなくなってきた。図書館から何ヶ月も待たされた本を読まずに返すことも、時たまあったりする。読みたい本も最近はジャンルが偏っているような気がして、癒し系が多くなったのかな。ヒューマン、ファンタジー、恋愛小説・・・。以前はSFや推理小説が好きだったのに、今はあんまり読む気になれない。趣向にも心変わりがあるみたいです。
そうそう、先週発売されたハリポタの最新刊をまだ読んでいません。いずれ買おうと思っていますが、手にもしていません。第1巻から読んでいるので、今更やめられない(笑)ホントは読みたくて仕方ないのですが、あの厚さを考えると躊躇しています。読み始めると一気に読むと思うので、今の状況ではとても無理。来月になれば、少しは時間がとれるかなあ。もう読み終わった人、いるんでしょうね。あんまりネタバレしないでね(^^;)
2006-05-21
『きいろいゾウ』 西加奈子
夫の名は無辜歩(むこ・あゆむ)、妻の名は妻利愛子(つまり・あいこ)。お互いを「ムコさん」「ツマ」と呼び合う若夫婦が、九州の片田舎にやってきたところから物語は始まる。
背中に大きな鳥のタトゥーがある売れない小説家のムコは、周囲の生き物(犬、蜘蛛、百足、花、木など)の声が聞こえてしまう過剰なエネルギーに溢れた明るいツマをやさしく見守っていた。夏から始まった二人の話は、ゆっくりゆっくりとその年の冬まで進んでいき、「ある出来事」を機にムコがツマを残して東京へ向かう。
それは、背中の大きな鳥に纏わるある出来事に導かれてのものだった。ひとり残されたツマは、幽霊に出会い、家のそばにある裏山のなかへと進んでいった。そこで彼女は、あるものに遭遇する。
期待通りの心温まるお話でした。出版社の紹介は、ミステリーっぽくなっていますが、若い夫婦が絆を深める恋愛小説です。ファンタジーの要素も加わっていて、キーワードは「きいろいゾウ」と「おつきさま」。結構長編なので読むのは大変ですが、オススメな一冊です。前半は田舎生活ののんびりした様子を描いていますが、後半は一気に慌ただしくなってきます。読み終わると、なんとなくホッとして、暖かくなれると思います。でも登場人物の名前は、変な名前、これは作者の遊び心?
2006-05-14
2006-04-25
『ダ・ヴィンチ・コード』 ダン・ブラウン
ルーヴル美術館のソニエール館長が異様な死体で発見された。死体はグランド・ギャラリーに、ダ・ヴィンチの最も有名な素描“ウィトルウィウス的人体図”を模した形で横たわっていた。殺害当夜、館長と会う約束をしていたハーヴァード大学教授ラングドンは、警察より捜査協力を求められる。現場に駆けつけた館長の孫娘で暗号解読官であるソフィーは、一目で祖父が自分にしか分からない暗号を残していることに気付く…。
館長が死の直前に残したメッセージには、ラングドンの名前が含まれていた。彼は真っ先に疑われるが、彼が犯人ではないと確信するソフィーの機知により苦境を脱し、二人は館長の残した暗号の解読に取りかかる。フィボナッチ数列、黄金比、アナグラム…数々の象徴の群れに紛れたメッセージを、追っ手を振り払いながら解き進む二人は、新たな協力者を得る。宗教史学者にして爵位を持つ、イギリス人のティービングだった。
ティービング邸で暗号解読の末、彼らが辿り着いたのは、ダ・ヴィンチが英知の限りを尽くしてメッセージを描き込んだ“最後の晩餐”だった。そしてついに、幾世紀も絵の中に秘され続けてきた驚愕の事実が、全貌を現した!祖父の秘密とその真実をようやく理解したソフィーは、二人と共に、最後の鍵を解くため、イギリスへ飛ぶ―。キリスト教の根幹を揺るがし、ヨーロッパの歴史を塗り替えた世紀の大問題作。
久しぶりに本を読みました。既にベストセラーとなっている文庫本3冊の長編推理小説です。ゆっくり読む時間がなかったのでところどころ飛ばし読みしましたが、読みやすい文章なのでストーリーの大筋は理解できました。おもしろい本とは思いますが、情景描写や説明部分を除くと、案外単純なストーリーではないかと思います。推理小説なのに途中でなんとなく登場人物の役割がわかってしまうのは、ちょっとどうかなという気もします。宗教がテーマとなっていることは、無宗教の私にとって理解しにくい分野ではありましたが、美術と結びつけるのは興味深いものでした。5月に映画化される予定ですが、本より映画の方がいいかもしれません。
2006-03-19
『春になったら苺を摘みに』 梨木香歩
梨木さんの初めてのエッセイが文庫本になりました。単行本を既に読んでいたのですが、改めて読み直してみました。梨木さんの原点ともいえる英国でのウェスト夫人との交流や考え方が伝わってきます。文庫本には追記の書き下ろしが掲載されていて、最後のページの言葉は大切にしたいですね。私も共感できます。
できること、できないこと。
ものすごくがんばればなんとかなるかもしれないこと。
初めからやらないほうがいいかもしれないこと。
やりたいことをやっているように見えて、
本当にやりたいことから逃げているのかもしれないこと。
ーいいかげん、その見極めがついてもいい歳なのだった。
けれど、できないとどこかでそう思っていても、諦めてはならないこともある。
2006-03-13
2006-03-08
『100回泣くこと』 中村航
一言で表現すれば、泣ける恋愛小説になると思いますが、小説としては物足りない。ストーリーは如何にも涙を誘うというパターンなんですが、文章が軽すぎるのではないかと思います。やさしく、わかりやすいので当然読みやすいのですが、話に引き込まれるという感じになりませんでした。それとも、こういう書き方の方が恋愛小説としては受けるのでしょうか?
実家で飼っていた愛犬・ブックが死にそうだ、という連絡を受けた僕は、彼女から「バイクで帰ってあげなよ」といわれる。ブックは、僕の2ストのバイクが吐き出すエンジン音が何より大好きだったのだ。4年近く乗っていなかったバイク。彼女と一緒にキャブレターを分解し、そこで、僕は彼女に「結婚しよう」と告げた。彼女は、1年間(結婚の)練習をしよう、といってくれた。愛犬も一命を取り留めた。愛犬→バイク修理→プロポーズ??。幸せの連続線」はこのままどこまでも続くんだ、と思っていた。ずっとずっと続くんだと思っていた。
2006-03-05
『はるがいったら』 飛鳥井千砂
第18回小説すばる新人賞受賞
この本はオススメします☆少々文章がぎこちなく感じるところもありましたが、読み始めるとすっーと入っていけて、みずみずしさを感じられた本でした。筆者はまだ20代なのに、こんな本が書けるなんて驚きです。新しい感性の登場!というキャッチコピーもあるようですが、これからもよいお話を期待します。
園(ソノ)と行(ユキ)という両親の離婚で離れて暮らす姉弟の話。姉はおしゃれ好きな完璧主義者、弟は何事もそつなくこなすが熱くなれない、いい子。そして、二人が子供の時に拾った犬のハル、ハルは老犬で介護をされて何とか生きている。人と人との関係はいろんな想いと出来事があります。
最初タイトルの意味がわからなかったけれど、読み終わるとセンスの良さを感じられました。
2006-03-04
2006-02-27
『下流社会』 三浦展
「下流」とは、単に所得が低いということではない。コミュニケーション能力、生活能力、働く意欲、学ぶ意欲、消費意欲、つまり総じて人生への意欲が低いのである。その結果として所得が上がらず、未婚のままである確率も高い。そして彼らの中には、だらだら歩き、だらだら生きている者も少なくない。その方が楽だからだ。(「はじめに」より)
久しぶりに小説以外の本を読んだのですが(正確にはパラパラ飛ばし読みをしただけで)あまり真剣に読む気にはなれなかった。とても売れている本みたいですが、こんな考え方もあるんだなあと思うくらいがいいのではないでしょうか。マーケティング・アナリストの筆者が数多くのデータを分析した結果に基づいて書かれていますが、成る程と思えるところもあれば、そうかなと疑問に思うところもあります。でも、タイトルは強烈な響きがありましたね。
2006-02-18
2006-02-05
2006-01-09
2005-12-24
2005-12-11
2005-12-09
『対岸の彼女』 角田光代
直木賞を受賞した人気のある本なので、図書館に予約してから半年も経ってようやく順番が回ってきました。子持ちの専業主婦と独身の会社社長、全く生き方の異なった同い年の二人の女性が出会って、お互いの理解を深めていく物語。二人の話を現在と過去に交互に描いているのがとてものめり込みやすい。私がちょっと気に入った文章もありました。
なぜ私たちは年齢を重ねるのか。生活に逃げこんでドアを閉めるためじゃない、また出会うためだ。出会うことを選ぶためだ。選んだ場所に自分の足で歩いていくためだ。
それからこの物語の中に出てくる渡良瀬川は私の故郷の川なので、懐かしく思えました。まさか小説に出てくるとはびっくりです。森高千里の曲、渡良瀬橋以来の驚きでした。
2005-12-08
2005-12-07
図書館
最近はよく本を読んでいる。時間が出来たのはもちろん、本を買わずに図書館から借りるようにしたおかげも大きい。私が利用している図書館は地域では最も利用者数の多いところで、平日、休日を問わず、いつも混み合っている。インターネットやケータイからも予約できるのはとても便利。でも、本をたくさん読めるのもあと少しかな。来週からは働かなきゃいけないので、しばらくは慣れない仕事に注力することになるだろう。それまで、あと何冊読めるかな。
2005-12-03
『魔王』 伊坂幸太郎
「魔王」「呼吸」の2部構成からなる。「魔王」常に物事を冷静に判断する男が、他人に自分の思ったことをしゃべらせる不思議な力を身につける。折しも大衆を扇動する政治家が現れ、その流れを危惧して対決しようとする。「呼吸」その弟も運がいいという不思議な力を身につける。魔王の5年後を弟の妻の視線から描く。とても鋭い視線で、日本の社会問題を投げかけているような話です。近いうちにこの本で挙げられている問題に実際に直面する可能性は高いかもしれません。そういう点では自分自身も考えさせられました。しかし、ストーリーにインパクトが足りない気がします。これで完結なの?という感じです。あとは読者が考えてくれということなのでしょうか。ちょっと私には理解できていないのかもしれません。
2005-12-01
2005-11-22
2005-11-17
2005-11-11
2005-11-06
乗り遅れている
日経トレンディ12月号に「2005年ヒット商品ベスト30」という記事があった。そのうちベスト10だけ挙げてみると
1 iPod nano & iTMS
2 愛知万博(愛・地球博)
3 ブログ
4 ニンテンドーDS
5 ウィルコム定額プラン
6 着うたフル
7 スチーム調理器(オーブンレンジ)
8 NANA
9 震災時帰宅支援マップ
10 寒天
このうち自分に当てはまるのはわずかに1つだけでした。それは何って?もちろんこのブログのことですよ。すっかり時代に乗り遅れているようです。ん~来年はiPod買おう。
2005-11-01
2005-10-30
2005-10-21
『沼地のある森を抜けて』 梨木香歩
梨木さんの発想の豊かさには恐れ入ってしまう。先祖伝来のぬか床から始まる奇妙な話。神話っぽいファンタジーでありながらSFの要素も盛り込まれていた、生命をテーマにした壮大な不思議な物語です。内容は全く別だが『裏庭』を思い出す作風でありながら、これまでの作品とは少し違っていたような気がします。それにしても梨木さんの本は(自分が無知のせいかもしれないが)難しい言葉が出てきたり、独特の価値観があってちょっと難しい。もはや児童文学作家の領域を超えていると思う。今回の作品は一度読んだだけでは理解できないところもあったので、もう一度読み直すつもり。梨木ワールドのすべてを理解するにはまだまだ時間がかかりそう。。。
また、この本を読んでいるときに偶然知りましたが、『沼地のある森を抜けて』の第一章と思われる『フリオのために』がラジオドラマになるみたいです。せっかくドラマにするなら一冊分やってほしいですが長編だから長すぎるのかな。
【放送日】
2005年10月29日(土曜日)22:00-22:50 NHK-FM FMシアター
あらすじ:30歳を過ぎて独り身の久美は、急逝した叔母、時子の形見としてぬか床をもらった。この家に代々受け継がれてきた家宝だそうだが、不思議なことに時々「呻く」のだという。毎日朝晩かき回していた久美は、ある日ぬか床が奇妙な卵を宿しているのに気づく。そしてその卵が生んだ少年は……少女性と母性の間で揺らぐ女性の心理を端正に描いた梨木香歩の短編小説を原作に、サラウンドで描く現代の幻想奇譚。





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