書籍・雑誌

2009-11-01

『小さいつが消えた日』 ステファノ・フォン・ロー

小さい“つ”はみんなの笑い者。「自分は必要ない…」と家出をしたから、さあ大変。五十音村にすむ言葉の妖精たちの物語。

暇つぶし程度に読んだ本ですが、意外にもこれがおもしろかった。児童文学ですから、子どもに読み聞かせてみるのもよいかもしれません。外国人から見ると、日本語はこんな風に見えるのかと、発想の違いを知りました。

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『あるキング』 伊坂幸太郎

生まれたときからプロ野球選手になるためだけに生きてきた、山田王求の物語。王という存在の生き方は何かと、メッセージを伝えているよう。

伊坂さんの新しい挑戦を感じさせる作品ですが、残念ながら不完全燃焼という気がします。伝えたいことは何となく分かるけれど、単調で盛り上がりに欠け、正直つまらない話でした。いつもの巧みなキレが感じられません。

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2009-10-29

『夏への扉』 ロバート・A・ハイライン

ぼくが飼っている猫のピートは、冬になるときまって夏への扉を探しはじめる。家にたくさんあるドアのどれかが夏に通じていると信じているのだ。そしてこのぼくもまた、ピートと同じように“夏への扉”を探していた─。

表紙と紹介文から、さわやかそうなイメージを持ちました。予備知識なしで読んだので、意表を突かれたのはSF小説だったこと。ちょっと想像と違ってました。しかも半世紀前に書かれたものとは驚きでした。既に筆者の想像した近未来とはかなりかけ離れていますが、物語としては十分通用します。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のような感覚を覚えました。

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2009-10-25

『かけら』 青山七恵

第35回川端康成文学賞受賞作

かけら/桐子は父と二人でさくらんぼ狩りツアーに参加する。

欅の部屋/結婚間近な諒助は四年前に別れた小麦のことを考える。

山猫/新婚の杏子は西表島のいとこの女子校生を預かる。

青山さんは若いのに同年代の作家と比べて一線を画している、といつも思います。内容は現代的なのに正統派の文学作品という印象を感じるからです。この中では「かけら」がよかったです。年頃の娘から見た父親の姿を上手く表現していると思いました。

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2009-10-22

『白い犬とワルツを』 テリー・ケイ

長年連れ添った妻に先立たれ、自らも病に侵された老人サムは、暖かい子供たちの思いやりに感謝しながらも一人で余生を生き抜こうとする。妻の死後、どこからともなく現れた白い犬と寄り添うようにして。犬は、サム以外の人間の前にはなかなか姿を見せず、声も立てない。

よく聞くタイトルの本でしたが、読む機会がありませんでした。読んでみて、感動!もっと早く読んでおけばよかったのにと思う反面、若い頃より今読んでよかったかもしれないとも思いました。多分世代によって、感じ方が違うはずです。哀愁漂う中で、妻に求婚した思い出の場所を訪れる場面は何とも言えません。とても良い本でした。

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2009-10-20

『アシンメトリー』 飛鳥井千砂

結婚に強い憧れを抱く女─朋美。結婚という形を選んだ男─治樹。結婚に理想を求める男─貴人。結婚に縛られない女─紗雪。

結婚願望の強い朋美はある時、友人の紗雪が突如結婚を決めたことにショックを受けた。紗雪の相手は幼馴染みの治樹。心から祝えない朋美だったが、ふたりの結婚パーティーで出会った年下の貴人と恋仲になる。しかし、紗雪と治樹の結婚には秘密があった…。

飛鳥井さんの四冊目の単行本。前作の『サムシングブルー』と同様に結婚がテーマになっています。カバーイラストのような恋愛小説を想像していたら、全然違いました。作風こそ変わらないけれど、何かこれまでと異質なものを感じます。正直、今回の小説は期待はずれ、あまり楽しめませんでした。登場人物の極端な変容に不自然さを感じました。

『はるがいったら』『学校のセンセイ』は良かったので、こういう雰囲気の方が合っていると思います。次回作に期待します。

いつの間にか、公式HPが作られていました。ここの日記を読んでいるとおもしろい。素のままの飛鳥井千砂さんを知ることができます。

pc Asukai Chisa Web

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2009-09-14

『オイアウエ漂流記』 荻原浩

塚本賢司、28歳。接待出張で乗り合わせた飛行機が遭難し、なんと、流れ着いたのは水も火もないポリネシアの孤島!!賢司をコキ使う上司たち、スポンサー企業の御曹司、挙動不審な新婚カップル、小学生とそのじっちゃん、怪しいガイジン。あり得ないメンバー10人での毎日は、黒~い本音も秘密の過去も、隠しきれない生活だけど…。

著者お得意のユーモア小説。とても面白いんだけど、もう少し緊迫感があってもいいような気がします。これじゃあ、観光サバイバルツアーみたいに思えてしまう。「オイアウエ」はトンガの喜怒哀楽を表す言葉らしい。

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2009-09-03

『老人と海』 ヘミングウェイ

キューバの老漁夫サンチャゴは、小舟に乗り、たった一人で出漁した。巨大なカジキマグロがかかり、4日間に渡り死闘を繰り返し、勝ち得たが、帰りにサメに襲われ、獲物は食いちぎられていく。

半世紀以上も前に発表された名作ですが、初めて読みました。有名な文学作品は教科書みたいに思えて、あまり読まなかったからです。しかし、名作と呼ばれる作品は何十年経っても廃れることがないように思えます。

漁の知識不足で想像しにくいところはありましたが、迫力は充分伝わってきました。老人の何とも言えない心情は余韻が残ります。

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2009-08-30

『坂の上の雲』 司馬遼太郎

明治維新をとげ、近代国家の仲間入りをした日本は、息せき切って先進国に追いつこうとしていた。この時期を生きた四国松山出身の三人の男達―日露戦争においてコサック騎兵を破った秋山好古、日本海海戦の参謀秋山真之兄弟と文学の世界に巨大な足跡を遺した正岡子規を中心に、昂揚の時代・明治の群像を描く。

根強い人気のある大長編なので、いつかは読んでみたいと思っていたけれど、大変そうでなかなか踏み切れず先延ばししてきました。しかし、読み始めてしまえば後は勢いで何とかなりました。歴史の知識が不足していて、日露戦争のことは詳しく知らなかったかけれど、日本にとって大きな転換期だったということがよくわかりました。事実に基づいた話とはいえ、著者の想像も入っているはずなのに全く違和感を感じませんでした。さすが大作家です。明治時代の日本人観も伝わってきました。この時代に生きる人にとって国家というものは、今と随分違うということを感じました。

この秋からドラマも放送されるらしいですが、こんな壮大な出来事を再現することができるのだろうか、ちょっと驚きでもあり、楽しみです。

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2009-08-25

『鷺と雪』 北村薫

第141回直木賞受賞作品

時代は昭和十年前後、名家のお嬢様、花村英子が遭遇するミステリー。「不在の父」「獅子と地下鉄」「鷺と雪」の三編連作。

お嬢様の推理物語というと、ありがちな設定なので目新しさは感じませんが、戦前の昭和の時代背景に興味が惹かれました。東京の昔の様子が分かり、楽しく読むことができました。銀座線はこの頃開通したとか、三越のライオンに秘密があったとか、etc・・・。著者が丹念に調べたことが伺えます。文章もきれいで、読みやすかったです。

読み終わってから知りましたが、これはシリーズもの(ベッキーさん)の一つらしいです。

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2009-08-14

『星の王子さま』 サン・テグジュペリ

「たいせつなことはね、目に見えないんだよ・・・」

説明不要の名作、あまりに有名で、いつかいつかと思っていたら読む機会を失って後回しにしてました。ちょうど読みたいものが浮かばないところに、ふと思い出して迷わず手に取りました。いろんな訳が出版されているようですが、米国版オリジナルにしてみました。

独特の語りかけ、大したストーリーでもないのに不思議な魅力を持った物語でした。心がふんわりしてくる感じになります。これはやはり子どもの時に読んでおくべきでした。

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2009-08-13

『米国経済崩壊後の日本再生シナリオ』 宇野大介

「金融鎖国」に続いて、宇野さんの本を読みました。内容的には同じ主張ですが、こちらの方がより具体的に踏み込んでいるように感じました。経済という視点から政治にもつながる話です。日本はアメリカ離れをして、自立しろということですね。

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2009-08-09

『金融鎖国』 宇野大介

久しぶりに経済関係の本を読みました。著者は三井住友銀行のチーフストラテジストとして活躍されています。株式番組に時々登場することで名前を覚えましたが、自分の意見がぶれない冷静な判断をする人だと思います。どちらかというと、悲観的な?慎重派でしょうか。当たる当たらないは別として、筆者の考え方は独特なので興味深いです。

2011年の円相場は1ドル50円という強烈な想定をされていて、日本の進むべき道という提言は共感できる部分も多いですね。

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2009-07-23

『サムシングブルー』 飛鳥井千砂

恋人と別れ、失恋に落ち込む梨香のもとに、一通の結婚式招待状が届く。差し出し人は高校時代の元彼の謙治と親友の沙希だった。二人に結婚のお祝いをしようと久しぶりに仲間が集まる。

飛鳥井さんはデビュー当時から注目している作家の一人です。これといって印象的な小説を書くわけではないのですが読み心地のいい、不思議な魅力を持った作家だと思います。いつもみずみずしさを失わない爽やかさが残ります。

今回のストーリーはテレビドラマのような作りで、特に目新しさは感じられませんが物語に引き込んでいきます。テンポよい丁寧な文章は気持ちがいいです。

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2009-07-13

『風待ちのひと』 伊吹有喜

第三回ポプラ社小説大賞特別賞受賞作

山のあなたの空遠く 「幸」住むと人のいふ

休職した須賀哲司は逝った母の遺した「岬の家」を整理するために海辺の町、美鷲にやって来た。そこで長距離ドライバーからペコちゃんと噂される福井喜美子に出会い、二人はやがてお互いに惹かれていく。

少し大人の恋愛物語。テンポよい文章で読みやすく、楽しめました。文章力はあると思うのですが、いろんなことを詰め込みすぎて、焦点が絞り切れてないような気がします。強引に感じられる場面設定も見られ惜しいです。

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2009-07-11

『猫を抱いて象と泳ぐ』 小川洋子

伝説のチェスプレイヤー、リトル・アリョーヒンの一生涯

半年近く待って、ようやく図書館から借りることができました。静かで、どこかメルヘン的な著者独特の作風は心地よさを感じます。この物語はチェスがテーマになっていて、私はチェスはやらないけれど、将棋は好きなので親しみやすかったです。全く知らなくても楽しめると思います。

主人公は身体的に、精神的にも普通の人たちと違うところを持っていて、それは一般社会で生きにくいばかりではなく、チェスの世界でも同様でした。表舞台には出られないけれど、チェスへの興味は人一倍高く、その存在は伝説になっていきます。ちょっと淋しく切ない話に感じられましたが、主人公は幸せだったかもしれないと思えました。表紙の写真は読み進めていくと、何とも言えないものを感じさせます。静かに感動できる一冊でした。

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2009-07-06

『ノーザンライツ』 星野道夫

ノーザンライツとはオーロラ、すなわちアラスカの空に輝く北極光のことである。

続けて星野道夫さんのエッセイを読みました。「旅をする木」は自分自身を中心に書かれていましたが、こちらはどちらかというと、アラスカで生きる人々の歴史と現実、抱えている問題点の提起をされています。自然保護と開発のバランスはどこでも難しいのを実感させられます。この本を書かれているのは10年以上前ですから、いまはどうなっているのでしょう?地球温暖化の影響もあるのでしょうね。ノーザンライツ見てみたいです。

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2009-07-03

『旅をする木』 星野道夫

旅をする木

写真家、星野道夫さんのエッセイ

以前から名前だけは知っていたものの、目にする機会がありませんでした。そういえば、梨木香歩さんのエッセイ「水辺にて」の表紙も星野さんの写真でした。

静かなそれでいて魅力的な文章、写真は一枚もないのにアラスカの大自然が目に浮かぶようです。本当にこの人はアラスカが好きなんだなあとしみじみ思います。すっかり気に入ってしまいました。十年以上前に書かれた本なのに、全く違和感を感じません。私もいつかアラスカに行ってみたくなりました。その前に写真集や他の著書もチェックしなくては。

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2009-06-27

『モモ』 ミヒャエル・エンデ

時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語

児童文学の名作です。読むのは初めてと思っていたけれど、懐かしさも感じるので読んだことがあったかもしれません。時間ということを取り上げて大切なものは何か気づかせてくれます。現代社会への警鐘ともとれますが説教じみていないのがいいです。

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2009-06-26

『自分へのごほうび』 住吉美紀

NHKアナウンサー、住吉美紀さんのエッセイ

読んでいて感じるのは、この人は常にポジティブで前向きな人だなあと思ったこと。多感な時期を海外で生活した経験も少なからず関係していると思います。マイナス思考をプラスに転換させる意志の力は見習いたいものです。素のままの彼女が文章からも伝わってきて楽しめました。文章力もあるので、さらに書き綴って欲しいです。プレゼントのような装幀も素敵でした。

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2009-06-12

図書館の自動貸出機

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普段利用している図書館は狭い上にいつも混んでるので、最近は中央図書館に足を運んでいます。こちらは一年前に新設移転されて、とても広く充実しています。所蔵もこちらの方が圧倒的に多いので主に調べ物中心の利用にしています。オンラインデータベースも利用できるのは便利です。ここには自動貸出機があって、利用者が自分で貸し出し手続きをすることができます。いままで使ったことがなかったのですが初めてチャレンジしました。本には最新方式のICタグが埋め込んであって、本棚みたいなところに載せると読み取って手続きできます。最初は本の向きが間違っているらしくエラーになりました。本の背表紙を奥にしないといけないようです。図書館も進化しています。煩わしさはないけれど、ちょっと味気なさも感じます。

最近はベストセラー本をあまり追わなくなって、自分の好みの作家ばかり読んでます。村上春樹の本はすごいことになっているようですが全然読む気になりません。話のネタにと思うこともありますが優先順位は低いです。今は宮下奈都さんという作家に注目しています。単行本以外にも文芸誌に掲載されている作品が数多くあって、それを踏破しているところです。

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2009-06-08

『アルケミスト』 パウロ・コエーリョ

羊飼いの少年サンチャゴは、アンダルシアの平原からエジプトのピラミッドに向けて旅に出た。そこに、彼を待つ宝物が隠されているという夢を信じて。長い時間を共に過ごした羊たちを売り、アフリカの砂漠を越えて少年はピラミッドを目指す。「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」「前兆に従うこと」少年は、錬金術師の導きと旅のさまざまな出会いと別れのなかで、人生の知恵を学んで行く。

世界的なベストセラーで根強い人気があるのに全然知りませんでした。児童文学のジャンルに入ると思いますが、とても良い本です。単なる冒険アドベンチャーと思っていたら、とんでもない。よくありがちな次々に障害を乗り越えていくというような動きのある展開とは違います。主人公の少年の精神的な成長が読んでいて頼もしく思えました。「大いなる魂」という言葉が何度も出てきますが、スピリチュアル的な要素が強いのも特徴です。

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2009-05-15

『君と一緒に生きよう』 森絵都

ノンフィクションの犬の話。これしか事前知識がなく読み始めましたが、ショックでした。あまりに知らないことばかりで、驚くばかり。昔は野良犬をよく見かけたけれど、今は全然見ていなかったので、捨てる人は減ったのだとばかり思ってました。見えないだけで、何も変わっていないようです。むしろ飼い主のモラルは低下しているし、悪質業者は蔓延っている。その一方で、命を救いたい一心で助けようとする人たちがいることを知りました。犬好きな人は当然いたたまれない気持ちになるでしょう。簡単に犬を飼ってはいけない。飼い主としての責任を果たせないのであれば飼ってはいけない。無責任な飼い主が後を絶たない限り続いてしまう。私は犬が大好きですが今の環境では飼うことが出来ません。それでも何かできることがないか考えたくなりました。すぐには無理かもしれないけれど。この本の訴えるメッセージは強く心に響きそうです。

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2009-05-13

『ブラザー・サン シスター・ムーン』 恩田陸

「私たちは、別れるために出会ったのね」

楡崎綾音、戸崎衛、箱崎一の3人は高校・大学の同級生。それぞれが学生時代を振り返る青春小説。

3部構成になっているのはわかりやすいが何となくもどかしい。同じ話を3度読んでいるような気になってしまった。言いたいことは同じようだったので、まとめてもらった方が良かったと思います。楡崎綾音と恩田さんがダブって見えました。著者の体験も混じっているような気がします。

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2009-05-11

『刑務所のリタ・ヘイワース』 スティーヴン・キング

movie映画「ショーシャンクの空に」の原作。好きな映画なので、原作を一度読んでみたいと思ってました。映画と少し違うところもありましたが、原作を読み直して改めていい話だと思いました。

アンディがレッドに宛てた手紙の一節の言葉が印象に残ります。

~希望はいいものだ、たぶんなによりもいいものだ。そして、いいものは決して死なない。~

ホラーが苦手なので(笑)、普段スティーヴン・キングの本を読まないのですが、少しは挑戦してみようかな。

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2009-05-04

『プリンセス・トヨトミ』 万城目学

5月末日の木曜日、大阪が完全に止まる。あらゆる種類の営業活動、商業活動、地下鉄・バス等の公共機関も一切停止。しかしそのことは大阪にいる人たち以外は全く知らない。その発端となったのが、会計検査院からやってきた個性豊かな調査官三人と、大阪の空堀商店街にあるお好み焼き屋の中学生の大輔と、その幼馴染の茶子。彼らが、大阪人に連綿と引き継がれてきた、秘密の扉を開けてしまうのだった・・・。

鴨川ホルモーと鹿男あをによしはおもしろかったけれど、この作品はいまひとつでした。何か調子に乗り過ぎって感じを受けました。発想は「ダ・ヴィンチ・コード」をモチーフにしたような印象が見られ、おもしろさだけを追求していたストーリーでした。創作といっても説得力に欠けていたと思います。無駄に思える文章も数多く見られ、過剰な情景描写は読み手を疲れさせます。複数の登場人物が主役のようでしたが、中心人物を絞ってもよかったのではないかと思います。いずれにしても今回はいただけない。次回作に期待します。

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2009-04-17

『コイノカオリ』

水曜日の恋人(角田光代)/最後の教室(島本理生)/泣きっつらにハニー(栗田有起)/海のなかには夜(生田紗代)/日をつなぐ(宮下奈都)/犬と椎茸(井上荒野)

宮下さんの著書を読むために図書館から借りてきました。6人による恋のアンソロジーになってますが、背表紙は角田光代、島本理生、他となってます。やはり知名度の高い作家優先なんでしょうか。多少贔屓目はあるかもしれませんが、宮下さんの「日をつなぐ」が一番良かったと思います。

物語は赤ちゃんが生まれたばかりの主婦の話。内容としては平凡ですが何と言うかとても心地よい文章、丁寧で無駄のない描写なので主人公の気持ちが伝わってきます。すっかりファンになってしまったので、他の話もさらに読んでみます。

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2009-04-13

『遠くの声に耳を澄ませて』 宮下奈都

アンデスの声/転がる小石/どこにでも猫がいる/秋の転校生/うなぎを追いかけた男/部屋から始まった/初めての雪/足の速いおじさん/クックブックの五日間/ミルクティー/白い足袋/夕焼けの犬

前に読んだ「スコーレ№4」が印象に残っていたので読んでみました。これは短編集ですが登場人物が少しずつリンクしていて、つながりを感じられます。一つ一つの話は異なるので連作とはちょっと違うと思うのですが、その辺の定義はよくわかりません。

何気ない日常の出来事を描いていて特別なことではないけれど、主人公の気持ちが伝わってきます。誰もが一瞬一瞬をいろんなことを考えながら生きていく。ちょっと切なく清々しい気持ちになれました。

この人の文章は好きなので、数は少ないけれど読んでみたいと思いました。

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2009-04-12

『うつくしい人』 西加奈子

他人の苛立ちに怯え、細心の注意を払いながら重ねていた日々を自らぶちこわしにした百合。会社を辞め、「ただの旅行」で訪れた島のリゾートホテルのバーにいたのは、冴えないがゆえに百合を安心させるバーテンダー坂崎と、暇を持て余す金髪のドイツ人、マティアスだった。美しい瀬戸内海の離島、そこしかないホテルで不思議に近づく三人の距離。地下には、宿泊客が置いていく様々な本が収められた図書室がある。本に挟まっていたという一枚の写真を探すため、ある夜、三人は図書室の本をかたっぱしから開き始める。

心を病んだ人が日常から離れるための旅行。独特の感情表現で巧く気持ちを表していたと思います。物語の展開にはちょっと物足りなさと感じるところはあるけれど、こういう書き方もありかもしれない。少し前の西さんの小説にはがっかりさせられることが多かったけれど、これはよかったです。多少自らの経験も入っていたようなことがあとがきに書いてありました。西さんもリフレッシュできたのかな?

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2009-03-15

『ちょいな人々』 荻原浩

ちょいな人々/ガーデンウォーズ/占い師の悪運/いじめ電話相談室/犬猫語完全翻訳機/正直メール/くたばれ、タイガース

ユーモアたっぷり、気楽に楽しめる短編集。息抜きにはちょうどいいかも。

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2009-03-09

『ミーナの行進』 小川洋子

芦屋の叔母一家に一年間預けられた朋子はミーナと出会い、これまで経験したことのない生活を送り、その後の人生に影響を与えたかけがえのないものを得る。二人の少女の友情と、それを見守る家族。そして、ポチ子。

優しさに包まれた温かいお話でした。かわいい挿絵がイメージをさらに膨らませます。体が弱くてポチ子に乗って学校へ行くミーナを想像すると可笑しくなりますが、一人で歩き出すミーナの成長は誇らしくさえ思えました。1972年という時代背景で物語は進みます。フレッシーという飲み物は昔あったプレッシーをもじったのかな?

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2009-03-08

『架空の球を追う』 森絵都

架空の球を追う/銀座か、あるいは新宿か/チェリーブロッサム/ハチの巣退治/パパイヤと五家宝/夏の森/ドバイ@建設中/あの角を過ぎたところに/二人姉妹/太陽のうた/彼らが失ったものと失わなかったもの

11編の短編集。それなりにおもしろいけれど、読んでしばらくすると忘れてしまいそう。ちょっと平凡かもしれません。

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2009-03-07

『アカペラ』 山本文緒

アカペラ/ソリチュード/ネロリ

著者の作品は初めて読みました。直木賞を受賞されていた方とは知りませんでした。だからというわけではありませんが、いい本です。主人公の独特の語り調にすっかり引き込まれてしまいました。三編ともせつない物語ですが気持ちが巧く表現されています。

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2009-02-24

『狐笛のかなた』 上橋菜穂子

小夜は12歳。人の心が聞こえる“聞き耳”の力を亡き母から受け継いだ。ある日の夕暮れ、犬に追われる子狐を助けたが、狐はこの世と神の世の“あわい”に棲む霊狐・野火だった。隣り合う二つの国の争いに巻き込まれ、呪いを避けて森陰屋敷に閉じ込められている少年・小春丸をめぐり、小夜と野火の、孤独でけなげな愛が燃え上がる…愛のために身を捨てたとき、もう恐ろしいものは何もない。

人気のある作家ですが、読んだことはありませんでした。なんとなく子供向けなのかなと思っていたからです。実際に読んでみて、その感覚は当たっていたと思います。

一言で冒険恋愛ファンタジー。物語自体はそれなりに面白いし良くできていると思います。正統派のファンタジーでしょう。中学生の頃に読んでいたら夢中になっていたかもしれません。小説というよりアニメを活字で読んでいるような気がしました。なんとなく、もののけ姫のイメージを思い浮かべました。ストーリーは設定を予め重視しているような作り方で、先が予想できて意外性が乏しい。巧く言い表せませんが、創作とはわかっているのですが作っているという意向が強すぎて惹きつける魅力が不足している。それでは特定のファン以外にはあまり受けないでしょう。

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2009-02-21

『陽気なギャングの日常と襲撃』 伊坂幸太郎

人間嘘発見器成瀬が遭遇した刃物男騒動、演説の達人響野は「幻の女」を探し、正確無比な“体内時計”の持ち主雪子は謎の招待券の真意を追う。そして天才スリの久遠は殴打される中年男に―史上最強の天才強盗4人組が巻き込まれたバラバラな事件。だが、華麗なる銀行襲撃の裏に突如浮上した「社長令嬢誘拐事件」と奇妙な連鎖を始め…。

「陽気なギャングが地球を回す」の続編。それなりにおもしろいから読んでいるときは楽しい。しかしある程度パターン化されている作風なので、今ひとつ物足りなさを感じてしまう。

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『押入れのちよ』 荻原浩

お母さまのロシアのスープ/コール/押入れのちよ/老猫/殺意のレシピ/介護の鬼/予期せぬ訪問者/木下闇/しんちゃんの自転車

ちょっと怖い話の短編集。ホラーというほどではないと思います。本当は怖い内容かも知れませんが、書き方によって受け取り方は変わってしまうのでしょう。長編の愛しの座敷わらしと千年樹を連想させるような話も含まれていました。

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2009-02-15

『月の砂漠をさばさばと』 北村薫

くまの名前/聞きまちがい/ダオベロマン/こわい話/さそりの井戸/ヘビノボラズのおばあさん/さばのみそ煮/川の蛇口/ふわふわの綿菓子/連絡帳/猫が飼いたい/善行賞のリボン/さきちゃんとお母さんのこと

9歳のさきちゃんと作家のお母さんは二人暮し。毎日を、とても大事に、楽しく積み重ねています。お母さんはふと思います。いつか大きくなった時、今日のことを思い出すかな―。どんな時もあなたの味方、といってくれる眼差しに見守られてすごす幸福。かつて自分が通った道をすこやかに歩いてくる娘と、共に生きる喜び、切なさ。やさしく美しいイラストで贈る、少女とお母さんの12の物語。

ちょっと息抜きの本。なんだか、ホッとできるお話でした。平凡な日常の中にも物語はある。母と子の温かいふれあいが微笑ましいです。さきちゃん、おかしい!笑わしてくれるなあ。

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『オーデュボンの祈り』 伊坂幸太郎

コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?

伊坂さんの作品はたくさん読んでいたのに、何故かデビュー作を読んでいないことに気がつきました。これはいけない、ということで早速図書館から借りて読みましたが、デビュー作でこれだけ書ける人はすごいと思いました。だからこそ今日の活躍があるのだろうと納得させられます。

この物語はミステリーでありながら、ファンタジーの要素も持ち合わせた特徴があります。喋るかかしは、オズの魔法使いを思い出しました。多少荒っぽいところもありましたが、充分楽しめます。

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2009-01-30

『パラレル』 長嶋有

妻の浮気が先か、それとも僕の失職が原因か?ともあれ僕は、会社を辞め離婚した。顔面至上主義のプレイボーイ津田と、別れてもなお連絡が来る元妻、そして新しい恋人…。

物語としては淡々と流れているだけなのであまり面白みはないかもしれません。現在と過去を行ったり来たり場面が飛ぶので、タイトルを意味しているのでしょう。主人公の気持ちは巧く表現しています。筆者独特の書き方は何か気になるところがあります。

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2009-01-28

『ママの狙撃銃』 荻原浩

「もう一度、仕事をしてみないか」ふたりの子どもにも恵まれ、幸福な日々を送る福田曜子の元に届いた25年ぶりの仕事の依頼。幼い頃アメリカで暮らした曜子は、祖父エドからあらゆることを教わった。射撃、格闘技、銃の分解・組み立て…。そう、祖父の職業は暗殺者だった。そして曜子は、かつて一度だけ「仕事」をしたことがあった―。家族を守るため、曜子は再びレミントンM700を手にする。

母は強し!というか、ママは強し!

平凡な主婦が暗殺者という少し強引な話の持っていき方だったけれど、読み始めたらすっかり引き込まれてしまいました。おもしろかったです。でも娘のためとはいえ、女子中学生に銃を向けてはいけません(笑)

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2009-01-25

『草手帖』 かわしまよう子

草花をテーマにした本はたくさんあるけれど、雑草について書かれている本は珍しい。道ばたのどこにでも生えているたくましい雑草、子供の時から見てきた雑草もこの本を読んで初めて名前がわかったものがあります。わかりやすい言葉で説明されているし、とてもセンスのよい作りで手元に置いておきたくなった一冊です。

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2009-01-23

『ノルウェイの森』 村上春樹

言わずと知れた大ベストセラーですが、読んだことはありませんでした。特に理由はなかったけれど、その気にならなかっただけのこと。予備知識は恋愛小説というくらい。ということで先入観なしで読むことが出来ました。

率直な感想としては、う~ん、何でそんなに人気があるの?

文章、表現力はとても素晴らしい文学作品と思うけれど、ストーリーは面白さを感じませんでした。恋愛小説というより、主人公の心の葛藤を描いた成長物語に思えました。時代背景は40年くらい前ですが、当時の様子がわかってなかなか興味深かったです。タイトルをビートルズの曲からとっていたのは意外でした。情景描写がとても巧いので、男女のシーンはリアルすぎるくらい。でもラストの情事は理解不可能でした。

まあ、個人的にはあまり好みの内容ではなかったということです。ひとそれぞれですね。

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2009-01-17

『陽気なギャングが地球を回す』 伊坂幸太郎

嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった…はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ!奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。

テンポよく読めて楽しめます。映画化されたらしい(観ていない)けれど、まさしくエンターテイメント向きのストーリー。

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2009-01-16

『ドミノ』 恩田陸

一億円の契約書を待つ、締切直前のオフィス。オーディション中、下剤を盛られた子役の少女。推理力を競い合う大学生。別れを画策する青年実業家。待ち合わせ場所に行き着けない老人。老人の句会仲間の警察OBたち。真夏の東京駅、二七人と一匹の登場人物はそれぞれに、何かが起こる瞬間を待っていた。迫りくるタイムリミット。もつれ合う人々、見知らぬ者同士がすれ違うその一瞬、運命のドミノが次々と倒れてゆく!

恩田さんの作品としては軽めのドタバタストーリー。登場人物が多いなあと思ったけれど、飛ばし読みして適当に読んでも流れはつかめました。タイトルのドミノを強調したかったんだろうと思います。

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2009-01-14

『吟遊詩人ビードルの物語』 J.K.ローリング

魔法使いとポンポン飛ぶポット/豊かな幸運の泉/毛だらけ心臓の魔法戦士/バビティ兎ちゃんとぺちゃくちゃ切り株/三人兄弟の物語

『ハリー・ポッターと死の秘宝』で、ダンブルドア教授がハーマイオニーに贈った魔法界のお伽噺の本。

ある程度予想はしていたけれど、笑ってしまうしかないです。わざわざ別冊で発行することないと思うのですが・・・寄付を集めるためなのかな?

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2008-12-29

『とんび』 重松清

つらいときは、ここに帰ってくればいい。昭和37年、ヤスさん28歳の秋、長男アキラが生まれた。愛妻・美佐子さんと、我が子の成長を見守る日々は、幼い頃に親と離別したヤスさんにとって、ようやく手に入れた「家族」のぬくもりだった。しかし、その幸福は、突然の悲劇によって打ち砕かれてしまう―。

父親の息子への愛情を描いた感動作。期待を裏切らないいい話です。とってもいい話だと思うのですが、重松さんの作品を読み重ねていくと似たような展開が多いので、ちょっとパターン化されているように見えます。文章も流ちょうで申し分ないのですが、新しい挑戦をして欲しいと思います。

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『ぼくは落ち着きがない』 長嶋有

高校の図書部の日常を描いた青春小説。

中高生くらいの世代でないとおもしろさはわからないような気がします。自分には全く理解不能な物語でした。何が描きたかったのか、さっぱりわかりませんでした。

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2008-12-20

『モダンタイムス』 伊坂幸太郎

妻から不倫を疑われていたシステムエンジニアの渡辺拓海は、次々にトラブルに巻き込まれていく。あるキーワードを検索すると、そこに驚くべき真実が隠されていた。

「魔王」の続編にあたる少し先の近未来を描いている物語ですが、「魔王」を読んでいなくても通じます。前作同様に社会への警鐘を促しているように思えました。

主人公の友人として、井坂好太郎という女好きの作家が登場してくるのは笑ってしまいました。モデルは本人なのかな?

長編で読み応えたっぷりです。「国家」についての考えはあくまで創作と理解してください、とあとがきで述べていますが考えさせられる内容です。

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2008-12-17

『猛スピードで母は』 長嶋有

サイドカーに犬/猛スピードで母は

映画で「サイドカーに犬」を観て読んでみました。少女が父の愛人と過ごした一夏の思い出。これといってドラマチックなことが起きるわけではないのですが、何となく引きつけられます。文体が「~った。」というのが多用されていて違和感を感じたのですが、読み終わってから子供の目線で描写していたことに気づきました。

「猛スピードで母は」は芥川賞を受賞した作品です。母子家庭の少年と母親の日常を描いた物語です。お互いの気持ちを巧く表現していたと思います。

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2008-12-12

『砂漠』 伊坂幸太郎

入学、一人暮らし、新しい友人、麻雀、合コン…。学生生活を楽しむ五人の大学生が、社会という“砂漠”に囲まれた“オアシス”で超能力に遭遇し、不穏な犯罪者に翻弄され、まばたきする間に過ぎゆく日々を送っていく―。

伊坂さんの作品としては、ソフトでさわやかな青春小説。ミステリーでありながらも、今回はファンタジーに近いかもしれません。わかりやすい展開の中にも、ちゃんと仕掛けが施されているのはさすがです。いまどき麻雀にのめり込む学生がこんなにいるのかどうかは疑問ですが、ルールがわからなくても楽しめました。

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2008-12-02

『西日の町』 湯本香樹実

西日を追うようにして辿り着いた北九州の町、若い母と十歳の「僕」が身を寄せ合うところへ、ふらりと「てこじい」が現れた。無頼の限りを尽くした祖父。六畳の端にうずくまって動かない。どっさり秘密を抱えて。秘密?てこじいばかりではない、母もまた…。よじれた心模様は、やがて最も美しいラストを迎える。

短い話なので、すぐに読み終わりました。そんなにドラマチックな物語というわけではないのに哀愁が感じられ、いろんな想いが伝わってきます。味わい深い作品でした。家族の関係が希薄になっている今の世の中だからこそ、こういう気持ちは大事なのかもしれません。

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2008-11-26

『Little DJ 小さな恋の物語』 鬼塚忠

海を臨む病院に入院して、ディスクジョッキーになった少年・太郎。毎日届くリクエスト、病室に響く懐かしいメロディ、入院患者たちとのゲストトーク…少年のお昼の放送は、病院をあたたかな空気で満たす。

映画がとてもよかったので、原作を読んでみました。

ところが、原作はいまいち・・・。描写は雑だし、文章力も弱い。筆者の初の小説作品ということで致し方ないのでしょうか。

映画はホントに感動できるよい作品でした。原作を土台にストーリーも工夫されていました。脚色が優れていたのかもしれません。主役の名子役と言われる神木隆之介と福田麻由子の微笑ましい演技の力も大きかったと思います。

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2008-11-09

『食堂かたつむり』 小川糸

失恋して、言葉を失い、故郷に戻った倫子は得意な料理を生かして食堂を開くことにした。

図書館に予約して半年以上待たされて、やっと借りることができました。しかし、人気のある本が必ずしもいい本とは限りません。今回は見事にはずれでした。メディアの宣伝にうまく乗せられてしまったと思いました。

料理の好きな人やスローフードに興味を持っている人は多いから、共感を得られるかも知れませんが、小説としてはなんだこれって感じがしました。物語は中途半端で、違和感を感じてばかりでした。文章力も今ひとつです。著者が自己満足の世界に浸っていて、思い入れが強すぎるのではないでしょうか。ベストセラーが泣きます。

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2008-11-06

『少しだけ欠けた月ー季節風・秋』 重松清

オニババと三人の盗賊/サンマの煙/風速四十米/ヨコヅナ大ちゃん/少しだけ欠けた月/キンモクセイ/よーい、どん!/ウイニングボール/おばあちゃんのギンナン/秘密基地に午後七時/水飲み鳥、はばたく。/田中さんの休日

季節風シリーズ・秋の短編、12編。日々のちょっとした出来事の中に温かさが、いっぱいです。

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2008-10-30

『春のオルガン』 湯本香樹実

小学校を卒業した春休み、私は弟のテツと川原に放置されたバスで眠った―。大人たちのトラブル、自分もまた子供から大人に変わってゆくことへの戸惑いの中で、トモミは少しずつまだ見ぬ世界に足を踏み出してゆく。ガラクタ、野良猫たち、雷の音…ばらばらだったすべてが、いつかひとつでも欠けてはならないものになっていた。

小学生でもない、中学生でもない、中途半端な時期。少女は自分が怪物になった夢をよく見ます。自分を取り巻く様々な出来事、自分がどうしたいのかもよくわからない。苛立ちに反発することもあります。どうしようもないことを受け入れていく。子供から大人への階段を上っていく情緒不安定な様子を巧く表現しています。ラストの急展開にはちょっと戸惑いを感じましたが、心温まる物語でした。

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2008-10-17

『さよならバースディ』 荻原浩

霊長類研究センター。猿のバースディに言語習得実験を行っている。プロジェクトの創始者安達助教授は一年前に自殺したが、助手の田中真と大学院生の由紀が研究を継いだ。実験は着実に成果をあげてきた。だが、真が由紀にプロポーズをした夜、彼女は窓から身を投げる。真は、目撃したバースディから、真相を聞き出そうと…。

ミステリーとして紹介されていましたが、哀しいラブストーリーという印象が強かったです。猿のバースディとの会話シーンが活字ではイメージしにくいところはありましたが、とてもよい物語でした。

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2008-10-14

『ユージニア』 恩田陸

かつて街を悪夢で覆った、名家の大量毒殺事件。数十年を経て解き明かされてゆく、遺された者たちの思い。いったい誰がなぜ、無差別殺人を?見落とされた「真実」を証言する関係者たちは、果たして真実を語っているのか?

事件の関係者が代わる代わる語る形式で、真実を追求していく推理小説。事件を解決するのではなく検証するだけなので、今ひとつ盛り上がりに欠けます。丁寧に描かれているとは思いますが、特定の主人公のいない物語はどうも苦手です。焦点が分散して集中力が途切れてしまうからです。内容的にこのページ数は読み疲れました。

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2008-10-11

『ポプラの秋』 湯本香樹実

夫を失ったばかりで虚ろな母と、もうじき7歳の私。二人は夏の昼下がり、ポプラの木に招き寄せられるように、あるアパートに引っ越した。不気味で近寄り難い大家のおばあさんは、ふと私に奇妙な話を持ちかけた―。18年後の秋、お葬式に向かう私の胸に、約束を守ってくれたおばあさんや隣人たちとの歳月が鮮やかに甦る。

「夏の庭」も感動できる物語でしたが、これもとてもよかったです。静かなストーリーの中に安らぎと心温かいものを感じられました。心を病んだ人が手紙を書くことでやわらいでいく、何となくその気持ちはわかります。手紙を書くことがほとんどなくなってしまいましたが、メールとは違って味わい深いものです。いろんな想いを受け止めたおばあさん、すごいなあ。

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2008-10-02

『夏の名残りの薔薇』 恩田陸

沢渡三姉妹が山奥のクラシック・ホテルで毎年秋に開催する、豪華なパーティ。参加者は、姉妹の甥の嫁で美貌の桜子や、次女の娘で女優の瑞穂など、華やかだが何かと噂のある人物ばかり。不穏な雰囲気のなか、関係者の変死事件が起きる。これは真実なのか、それとも幻か?

う~ん、これはちょっといまいちかも。途中で退屈になってしまいました。

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2008-09-29

『こころの処方箋』 河合隼雄

これを読んだからといって、劇的に悩みが解消されるわけではありません。でも、一つ一つの言葉はとても丁寧で落ち着いた気分にしてくれます。いつか処方箋の効き目があることを期待します。

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2008-09-27

『ねじの回転』 恩田陸

近未来の国連によって、人類を悲惨な運命から救うため、時間遡行装置による歴史の介入点に選ばれた1936年2月26日、東京。2・26事件の首謀者たちに、もう一度歴史をなぞることが課せられた。

タイムマシーンで時間を遡り、過去の歴史を変えると未来が変わってしまうという発想自体はありふれたものだけど、2・26事件を題材にするのは興味深かったです。

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2008-09-20

『不連続の世界』 恩田陸

木守り男、悪魔を憐れむ歌、幻影シネマ、砂丘ピクニック、夜明けのガス・パール

恩田さんはたくさんの著書があるので、まだまだ読み切れていません。これは、「月の裏側」と同じ主人公、塚崎多聞シリーズになっているようです。主人公は同じでも一話完結の短編になっていて、日本各地のちょっと怖いトラベルミステリーです。

奇想天外な発想の数々ですが、ちょっと無理のあるところも感じました。物語とわかっていても登場人物のプロフィールがすごすぎるような気もしました。

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2008-09-04

『ラン』 森絵都

溶けて還った彼らと交わりながら私は走りつづける。生きつづける。

十三歳で両親と弟を失い、二十歳で叔母に逝かれ、夏目環はひとりぼっちだった。人付き合いは苦手で、生きる希望を失っていた。ある時、自転車屋の紺野さんから贈られたモナミ1号に乗って死後の世界に辿り着く。そこで驚くべき事実に遭遇し、なぜか40キロ走ることを目指す。

「ダイブ」を読んだ後だったので、スポーツものかと思いきや、どちらかというと「カラフル」に近い内容でした。どんな困難にもあきらめす、逃げない。そんな応援メッセージでした。奇想天外な設定ではあるけれど、最後まで読み終えると清々しい気持ちになり、力をもらったような気になれます。長編ですが読みやすく、文章にも好感が持てました。

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2008-08-31

『DIVE』 森絵都

高さ10メートルの飛込み台から時速60キロでダイブして、わずか1.4秒の空中演技の正確さと美しさを競う飛込み競技。その一瞬に魅了された少年たちの通う弱小ダイビングクラブ存続の条件は、なんとオリンピック出場だった!女コーチのやり方に戸惑い反発しながらも、今、平凡な少年のすべてをかけた、青春の熱い戦いが始まる―。大人たちのおしつけを越えて、自分らしくあるために、飛べ。

森絵都さんの人気作品。最近映画化もされているようです。飛び込み競技は知っていても、実際に経験のある人は少ないし、ルールもよくわかっていない。いわゆるマイナースポーツ。そういえば、先日の北京オリンピックでも全く話題にもなっていない。これを読んでちょっとは興味がわきました。テンポよく軽快なストーリーなので、長編だけど一気に読み上げることができました。文章はとてもなめらかで読みやすかったです。ラストの見せ場はもうちょっと楽しませてほしいと思いましたが、意図的にそうしたのでしょう。

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2008-08-25

『恐怖の報酬』日記 恩田陸

タイトルからはサスペンスやホラーを想像してしまうが、サブタイトルは酩酊混乱紀行とあり、旅エッセイです。大の飛行機嫌いの恩田さんの素の姿がわかります。飛行機の嫌いな人がイギリス・アイルランドまで行ってしまい、その恐怖?の物語です。それと、こんなにお酒好きとは知らなかった。小説とは違って、違う一面が見えてきます。

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2008-08-06

『有頂天家族』 森見登美彦

狸と天狗の住む京都の街を舞台に繰り広げられる、狸四兄弟家族の愛と笑いの物語。

とても人気のある本なので、期待度が高かったのですが読んでみると案外平凡でした。楽しくおもしろいのですが、この手の作風パターンの本に慣れてしまって新鮮味を感じられませんでした。

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2008-08-02

『金色の野辺に唄う』 あさのあつこ

山陰の静かな山あいの町で、九十を超えた老女・松恵が息をひきとろうとしていた。看取るのは、松恵の曾孫で絵心を持つ中学生・東真、松恵の孫に嫁いだ元OL・美代子、近所の花屋店員・史明、松恵の娘で稀な美貌を授かり持った奈緒子。四人ともかつて松恵に受け止められ、救われた過去があった―。

金色の野辺の情景を思い浮かべることができるような物語でした。こんな最後を迎えられたら幸せな人生といえるでしょう。情景描写がとても丁寧で、文章が流れるようにきれいな感じがしました。天色という言葉を初めて知り、気に入りました。

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2008-08-01

『窓の魚』 西加奈子

二組のカップルの楽しいはずの温泉旅行。ナツ、トウヤマ、ハルナ、アキオの4人はそれぞれに隠された心の内を持っていた。

4人がそれぞれの思いを語り、真相が明かされていく。少しミステリーっぽい要素を含み、情景描写を丁寧に描いた作品。前作のこうふくシリーズから、少し作風が変わってきたように感じます。個人的にはあまり好みではありません。以前の方が良かった。何というか、中途半端な感じがします。そして何よりも内容がつまらない。

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2008-07-25

『ハリー・ポッターと死の秘宝』 J.K.ローリング

最終巻を読み終わりました。なんだかとても達成感を感じました。やはり1巻から読み続けていると思い入れも結構強くなっています。子供のようにワクワクしながらページをめくってました。ハリーの成長とともに本の内容も成長してきました。最初は紛れもなく児童文学でしたが、大人でも充分楽しめる物語になりました。

結末は予想通り、こうならないと世界中の読者が許さないでしょう(笑)

最終巻ということもあるのでしょうが、過去のシーンとたくさん結びついてきます。1巻から6巻をしっかり頭に入れておかないと、関連性が見えてこないと思います。例えれば、ジグソーパズルのように空白のピースを埋めていくからです。よく考えて作られていると思います。一方で、ここまで詳しくしなくてもいいのではないかと思うこともあります。本編に解説書がくっついているようなものです。それで、膨大なページ数になってしまったのでしょう。

長い物語が終わってしまって、もう続きがないと思うと寂しさもあるのですが、そのうち映画が公開されるでしょう。毎回そうですが、アクションだけのダイジェスト版みたいなんでしょうね。やっぱり本を読む方が楽しい。

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2008-07-23

さあ読むぞー!

Ca390185 『ハリー・ポッターと死の秘宝』を早速入手しました。とても待ち遠しかったけれど、いよいよ最終巻です。日本語版第1巻が発売されたのは1999年ですが、自分が初めて読んだのは2000年、足かけ8年です。ついに終わるのかと思うと感無量です。感想はまた後で。

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2008-07-20

『やさしいため息』 青山七恵

派遣会社に勤めるまどかは社内の人付き合いが苦手。ある日、行方知れずだった弟と4年ぶりに再会する。弟の風太は「今日はどんな一日だった?」と観察日記を書きはじめる。

駅で、部屋で、街の中で、わたしはある声を探している。風太のノートに書かれた文字のように、その声がわたしの生活を語ってくれることを待っている。

何の変哲のない日常生活を淡々と描いているだけのストーリーなのに、退屈することなく読むことができました。主人公の気持ちもわかったような、わからないような。青山さんの小説は現代風のタッチなのにしっかりした文芸作品になっているので、ちょっと真剣に読まないといけない。センスの良い文章も心地いいです。「松かさ拾い」も収録。

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2008-07-18

『僕たちのミシシッピ・リバーー季節風・夏』 重松清

親知らず/あじさい、揺れて/その次の雨の日のために/ささのはさらさら/風鈴/僕たちのミシシッピ・リバー/魔法使いの絵の具/終わりの後の始まりの前に/金魚/べっぴんさん/タカシ丸/虹色メガネ

季節風シリーズ?になっているのでしょうか。春に続いて夏の物語12編です。短編であっても、ほろっとさせるところはさすがです。こういう心温まる話は、だんだん年齢を重ねていくと「うん、わかる」という感じで、すーっと心に入ってくるような気がします。

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2008-07-01

赤レンガ図書館

Ca390168 区内に新しい中央図書館がオープンしたので見学してきました。平日でも大勢の人で賑わっていました。

想像以上の素敵な図書館でした!新しいからきれいなのは当たり前ですが驚きました。公園に囲まれた一角にあって、古い赤レンガ倉庫を利用した建物になっています。とてもおしゃれで美術館のような雰囲気です。建物内は広々としていて開放感たっぷり、カフェもできたし、インターネットもできるようになりました。以前の狭苦しい古い図書館が嘘のよう。ここなら何時間でも過ごせそうな気がします。残念なことに、ここは家から少し遠いので普段は近くの図書館を利用しています。そっちも新しくしてくれないかな。

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2008-06-23

『戸村飯店 青春100連発』 瀬尾まいこ

大阪の下町にある中華料理店・戸村飯店。この店の息子たちは、性格も外見も正反対で仲が悪い。高3の長男・ヘイスケは、昔から要領が良く、頭もいいイケメン。しかし地元の空気が苦手で、高校卒業後は東京の専門学校に通う準備をしていた。一方、高2の次男・コウスケは勉強が苦手。単純でやや短気なのが玉にキズだが、誰からも愛される明朗快活な野球部員。近所に住む同級生・岡野に思いを寄せながら、時間があいているときは店を手伝い、卒業後は店を継ぐつもりでいた。
 春になり、東京に出てきたヘイスケは、カフェでバイトをしながら新生活をはじめる。一方コウスケは、最後の高校生活を謳歌するため、部活引退後も合唱祭の指揮者に立候補したり、岡野のことを考えたり、忙しい日々を送っていた。ところが冬のある日、コウスケの人生を左右する大問題が現れて……。

瀬尾さんの長編小説を久しぶりに読めて、とても嬉しい。第1章は「Re-bornはじまりの一歩」に収録されていたので気になっていました。これまでの作風と少し変わったかなと思いましたが、さらに物語の幅が拡がった感じがします。

一言で言うと、タイトルの通り青春小説ですが、軽快なテンポでどんどん先を読みたくなる展開になっています。セリフが関西弁になっていると少し読みにくいのですが、それが返って気持ちが伝わってくるから不思議です。ただただおもしろいだけではなく、心温まる雰囲気にしてくれる、瀬尾さんの文章力はさすがです。一押しの一冊です。物語は一応完結になっていますが、是非この続きを書いてほしいです。

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2008-06-21

『こうふく あかの』 西加奈子

結婚して十二年、三十九歳の調査会社中間管理職の「俺」の妻が、ある日、他の男の子を宿す話。二〇三五年、小さなプロレス団体に所属する無敵の王者、アムンゼン・スコットの闘いの物語。二つの話が響き合う。

「こうふく みどりの」と対になっている本。といっても別に関連性はあまりありません。西さんの二つの物語に対する思いは繋がっていても、読み手からするとプロレスという共通の話題だけではないかという気もします。個人的にプロレスにあまり興味がないので、必然的に面白さは全く感じません。ストーリーもそれほど目新しさはありません。「こうふく みどりの」同様に辛口の批評になってしまっていますが、この二冊は西さんの自己満足に過ぎないと思います。残念です。次回作に期待します。

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2008-06-09

『ブランケット・キャッツ』 重松清

花粉症のブランケット・キャット/助手席に座るブランケット・キャット/尻尾のないブランケット・キャット/身代わりのブランケット・キャット/嫌われ者のブランケット・キャット/旅に出たブランケット・キャット/我が家の夢のブランケット・キャット

レンタル猫にまつわる7編の物語。2泊3日でレンタル猫を借りにくる人とのふれあいを描いています。猫は馴染んだ毛布といっしょにレンタルされます。様々な理由からレンタルする人は悩みを抱えていますが、猫は気ままに3日間過ごします。猫が主人公になってしまう話もあったりして、ちょっとおどけてみせて面白かったです。

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『ツバメ記念日ー季節風・春』 重松清

めぐりびな/球春/拝復、ポンカンにて/島小僧/よもぎ苦いか、しょっぱいか/ジーコロ/さくら地蔵/せいくらべ/霧を往け/お兄ちゃんの帰郷/目には青葉/ツバメ記念日

春にまつわる12編の物語。春を感じることが出来るような心温まるお話でした。

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2008-05-31

『カシオペアの丘で』 重松清

肺の腫瘍は、やはり悪性だった―。40歳を目前にして人生の「終わり」を突きつけられたその日、俊介はテレビ画面に、いまは遊園地になったふるさとの丘を見つける。封印していた記憶が突然甦る。僕は何かに導かれているのだろうか…。

限られた生の時間のなかで、家族へのこす言葉を探すために、俊介はふるさとへ帰ってきた。幼なじみとの再会を果たし、過去の痛みを受けとめた俊介は、「王」と呼ばれた祖父とともに最後の旅に出る。未来を見つめ、過去と向き合う。人生の締めくくりに俊介が伝えたものは―。大空に輝き続ける命の物語。

とても感動しました。読んでいる途中で何度か涙が出てしまい、すっかり物語に引き込まれてしまったようです。北海道を舞台にした4人の幼なじみの物語。30年ぶりの再開は過去の出来事、限られた命、家族の絆など様々なことを掘り起こす。4人の気持ちを巧く描いていて、大長編なのにとても自然の流れになっていると思います。

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2008-05-26

『本からはじまる物語』

飛び出す、絵本(恩田陸)/十一月の約束(本多孝好)/招き猫異譚(今江祥智)/白ヒゲの紳士(二階堂黎人)/本屋の魔法使い(阿刀田高)/サラマンダー(いしいしんじ)/世界の片隅で(柴崎友香)/読書家ロップ(朱川湊人)/バックヤード(篠田節子)/閻魔堂の虹(山本一力)/気が向いたらおいでね(大道珠貴)/さよならのかわりに(市川拓司)/メッセージ(山崎洋子)/迷宮書房(有栖川有栖)/本棚にならぶ(梨本香歩)/23時のブックストア(石田衣良)/生きていた証に(内海隆一郎)/The Book Day(三崎亜記)

本屋をテーマに書かれたアンソロジー。これだけ多くの著者がかかわっているといろんなお話があっておもしろいです。短編ではあるけれど読んだことのない著者の作品にも興味がわきます。

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『九つの、物語』 橋本紡

大学生のゆきなは、古い一軒家に一人で暮らしている。ある日部屋で本を読んでいると、お兄ちゃんが入ってきた。呆れるほどの読書家で、やたらと女の子にモテていて、おしゃれで、さっと美味しい料理を作ってくれて、以前と何ら変わりはない。ただひとつ、既に死んでいるはずだということをのぞけば……。
こうして二年前に水死したはずのお兄ちゃんとの奇妙な生活が始まった。穏やかで優しい恋人の香月くん、ちゃらちゃらしていて、どこかお兄ちゃんに似ている同級生の紺野くん、そしてお兄ちゃんの幽霊の恋人……彼らとの交流、穏やかな日々は、しかしいつまでも続かなかった。亀裂の入った香月くんとの付き合い、壊れてばらばらになった家族、お兄ちゃんの死にまつわる封印された記憶を取り戻すため、ゆきなとお兄ちゃんは旅に出る。再生の痛みと喜びを謳う、九つの物語。

優しい穏やかな雰囲気が漂う物語です。それぞれの章に文学作品を絡めているのはおもしろい発想だと思いました。でも小説を読んでいるというより少女マンガみたいだと思ってしまうのは私だけでしょうか。男性の登場人物があまりにも現実離れしている。

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2008-05-25

『ザ・万歩計』 万城目学

万城目さんの初めてのエッセイ。おもしろくて、あっという間に読んじゃいました。ユニークな発想の原点や人柄がよくわかりました。テーマがごちゃ混ぜでしたが雑学と思えばいい。世界中を旅している経験も物語に生かされているのでしょう。

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『愛しの座敷わらし』 荻原浩

生まれてすぐに家族になるわけじゃない。一緒にいるから、家族になるのだ。東京から田舎に引っ越した一家が、座敷わらしとの出会いを機に家族の絆を取り戻してゆく、ささやかな希望と再生の物語。

ホームドラマのような温かみを感じるお話でした。ただ長編にしては盛り上がりに欠けるので多少退屈かもしれません。家族5人それぞれの気持ちをうまく描いています。

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2008-05-05

『Re-bornはじまりの一歩』

よろこびの歌(宮下奈都)/あの日の二十メートル(福田栄一)/ゴーストライター(瀬尾まいこ)/コワリョーフの鼻(中島京子)/会ったことがない女(平山瑞穂)/瞬間、金色(豊島ミホ)/残り全部バケーション(伊坂幸太郎)

最近流行のアンソロジー。一冊の本で複数の作家の小説を読めるのは良し悪しがあると個人的には思っています。どちらかというと寄せ集めみたいで、あまり好きではありません。雰囲気が雑誌感覚になってしまうからです。この中でよかったと思うのは、瀬尾さんと宮下さんと福田さんの書いたものです。特に瀬尾さんの「ゴーストライター」は「戸村飯店青春100連発」の原型になっているそうで、早く読んでみたくなりました。

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2008-04-19

『流星ワゴン』 重松清

死んじゃってもいいかなあ、もう…。38歳・秋。その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。そして―自分と同い歳の父親に出逢った。時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。やり直しは、叶えられるのか―?

会社はリストラ、妻はテレクラ通い、息子は不登校と家庭崩壊状態になって生きる力を失ってしまった主人公はタイムマシーンの車に乗った幽霊?と出会う。過去を再体験することにより、やり直そうと試みるが現実は何も変えられない。しかし、家族や確執のあった父親と接することにより本心を知って自らの心と向き合えるようになる。過去を変えれば未来が変わるという楽観的な物語と違ってとても厳しい現実ですが、大切なものは何なのか教えてくれるような気がします。評判通り感動できる一冊でした。

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2008-04-18

『ビタミンF』 重松清

38歳、いつの間にか「昔」や「若い頃」といった言葉に抵抗感がなくなった。40歳、中学一年生の息子としっくりいかない。妻の入院中、どう過ごせばいいのやら。36歳、「離婚してもいいけど」、妻が最近そう呟いた……。一時の輝きを失い、人生の“中途半端”な時期に差し掛かった人たちに贈るエール。「また、がんばってみるか――」、心の内で、こっそり呟きたくなる。

直木賞受賞作に相応しい一冊。とても安定感のある文章で読みやすい。父親と家族の関係を描いた短編七編。どこの家族にも起きそうな出来事は共感を覚えます。ビタミンFというネーミングはいいですね。

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2008-04-17

『猫と針』 恩田陸

友人の葬式の帰り、久々に学生時代の仲間が集まった。噂によれば、仲間たちはみな、何らかの個人的事情を抱えているらしい。一見なごやかな宴だが、それぞれが諸事情で少しずつ席を外す間、残った人間は様々に憶測を巡らし、不在の人物について語り合う。やがて漂う不穏な空気―。噂はどこまで本当なのか?そして、この集まりの本当の意図とは?

小説ではなくて、演劇の台本と創作日記でした。ここまで本にしてしまうとは恐るべし、さすが人気作家です。正直、セリフだけを読んでいるとあまり面白さを感じません。やっぱりお芝居を観ないと実感が沸きません。

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2008-04-05

『こうふくみどりの』 西加奈子

お前んち、いっつもええ匂いするのう。おばあちゃん、夫(おじいちゃん)失踪中。お母さん、妻子ある男性を愛し、緑を出産。藍ちゃん、バツイチ(予定)、子持ち。好きになったら年齢問わず。桃ちゃん、4歳なのに、まだおっぱい吸いに来る。辰巳緑、14歳、女未満。初恋まであともう少し。

西さんの本は一通り読んでいて、好きな作家のひとりです。しかし、この物語に限ってはあまり好きになれません。全然おもしろくない。はちゃめちゃなパワーはいつも通り感じられるけれど、あまりに何でもありみたいな設定はどうなんでしょう。また、本編と平行させてサブストーリーみたいなものを織り交ぜていますが、時々誰の話なのかわからなくなって混乱させてしまう。とても残念です。

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2008-03-21

『エンジェル エンジェル エンジェル』 梨木香歩

コウコは、寝たきりに近いおばあちゃんの深夜のトイレ当番を引き受けることで熱帯魚を飼うのを許された。夜、水槽のある部屋で、おばあちゃんは不思議な反応を見せ、少女のような表情でコウコと話をするようになる。ある日、熱帯魚の水槽を見守る二人が目にしたものは―なぜ、こんなむごいことに。コウコの嘆きが、おばあちゃんの胸奥に眠る少女時代の切ない記憶を呼び起こす…。

文庫本は既に読んでいましたが、単行本から少し書き換えられていると聞いたことがありました。そこで、図書館から借りてきて違いを確かめようと思い改めて読み直しました。なるほど、内容は変わりませんが結末の表現が違っています。どちらかというと単行本はストレートな表現で、コウコからさわこ(おばあちゃん)に宛てたメッセージで終わっていますが、文庫本にはありません。それは作者の代弁ともいえる言葉だったように推察しますが、コウコに語らせるには不自然であると判断したのではないかと思います。この本はわかりやすいストーリーで、実は人の善悪という結構難しいテーマに触れていると思いました。

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2008-03-13

『スコーレ№4』 宮下奈都

ひとりの少女が大人に成長していく過程で遭遇するテーマ(家族、仕事、恋愛、大切にしているもの)を4つに分けて描いている。骨董品屋の3姉妹の長女、麻子の物語。

著者について予備知識が全くなかったので新鮮な気持ちで読むことが出来ました。内容は平凡なストーリーなのですが、主人公の繊細な気持ちを丁寧に描いているので、物語にすうっと惹かれます。清々しく気持ちのよい物語でした。主人公の心の内を中心に描かれているのですが、著者が少し感情移入しているのではないかという気もします。また、文章は読みやすいのですが、他の登場人物や背景的な描写がもう少しあればよかったと思います。今後に期待します。

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2008-03-12

『メリーゴーランド』 荻原浩

過労死続出の職場を辞め、Uターンしたのが9年前。啓一は田園都市の市役所勤務。愛する妻に子供たち、あぁ毎日は平穏無事。…って、再建ですか、この俺が?あの超赤字テーマパークをどうやって?!でも、もう一人の自分が囁いたのだ。“やろうぜ。いっちまえ”。平凡なパパの孤軍奮闘は、ついに大成功を迎えるが―。

ユーモアたっぷりで楽しく読めました。ヒーローとは程遠い主人公の孤軍奮闘は応援したくなってきます。サクセスストーリーではないけれど、すっきりした気分になれました。やるだけやってみるということは大事ですね。

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2008-03-11

『フィッシュストーリー』 伊坂幸太郎

動物園のエンジン、サクリファイス、フィッシュストーリー、ポテチ

短編集ということもあるかもしれませんが、小さくまとまっているという感じがします。悪くはないけれど、平凡で物足りなさを感じました。

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2008-03-08

『いのちのパレード』 恩田陸

ホラー、SF、ミステリー、ファンタジーとバラエティに富んだ15編にわたる短編集。恩田さんの不思議ワールド全開という感じです。正直、おもしろい話もあれば、つまらない話もあったように思います。私が気に入ったのは、「観光旅行」「蝶遣いの春、そして夏」「かたつむり注意報」「夜想曲」といったところです。

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2008-03-06

『夏の庭』 湯本香樹実

町外れに暮らすひとりの老人をぼくらは「観察」し始めた。生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごと高まるけれど、不思議と老人は元気になっていくようだ――。いつしか少年たちの「観察」は、老人との深い交流へと姿を変え始めていたのだが……。喪われゆくものと、決して失われぬものとに触れた少年たちを描く清新な物語。

児童文学の代表的な一冊ですが、今まで読む機会がありませんでした。読んでみて納得しました。いい話ですね。これはやはり子供に読ませるべきでしょう。読んで感じたことはきっと心に残るはずです。

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2008-03-05

『千年樹』 荻原浩

いじめに悩む中学生の雅也がくすの巨樹の前で自殺を考える「千年樹」。
タイムカプセルを埋めようとした幼稚園児の雅也と、こまどり組の十七人が、木の下からガラスビンを発見する「瓶詰の約束」。
くすの木の下で男を待つ女が、かつて同じ場所で男を待ち続けた女と出会う「梢の呼ぶ声」。
木を上司や生徒に見立ててナイフで切り刻むのが日課の中学教師と、過去理不尽な切腹を命じられた男の運命が交じり合う「蝉鳴くや」。
人を殺そうとしていたヤクザを昔ここで人を殺した盗賊の運命が救う「夜鳴き鳥」。
ドライブ中偶然巨樹を発見した家族の前に150年前の間引きの風習と母の苦悩が蘇える「郭公の巣」。
祖母の初恋を知った孫娘の共感を描いた「バァバの石段」。
市役所職員となった41歳の雅也が、かつて自殺を試みたくすの木の伐採に立ち合う「落枝の怒り」。

千年の時を生き続けた一本のくすの巨樹。その周りで起きる数々の出来事を連作短編で描いています。くすのきはただ見守っているだけですが、存在感を持っています。どちらかというと悲劇的な話が多いので、荻原さんのユーモア小説路線とは異なっています。

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2008-02-16

『鹿男あをによし』 万城目学

「さあ、神無月だ--出番だよ、先生」
神経衰弱と断じられ、大学の研究室を追われた28歳の「おれ」。失意の彼は、教授の勧めに従って2学期限定で奈良の女子高に赴任する。ほんの気休め、のはずだった。英気を養って研究室に戻る、はずだった。あいつが、渋みをきかせた中年男の声で話しかけてくるまでは……。
慣れない土地柄、生意気な女子高生、得体の知れない同僚、さらに鹿…そう、鹿がとんでもないことをしてくれたおかげで、「おれ」の奈良ライフは気も狂わんばかりに波瀾に満ちた日々になってしまった!

期待を裏切らない面白さで楽しく読めました。マンガのような小説ではあるけれど、なかなかユニークな発想の物語です。奈良を舞台にしたおとぎ話ですが、歴史的要素も加わってて神様の世界も身近に感じてしまうから不思議です。春日大社と鹿島神宮が関係あるとは知りませんでした。

このお話は既にテレビドラマにもなっているようですが、そちらは観ていないので出来はわかりかねますが、ドラマ向きの小説かもしれません。

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『さよなら、そしてこんにちは』 荻原浩

さよなら、そしてこんにちは/ビューティフルライフ/スーパーマンの憂鬱/美獣戦隊ナイトレンジャー/寿し辰のいちばん長い日/スローライフ/長福寺のメリークリスマス

ちょっとした人生の喜怒哀楽をテーマにした短編集です。ユーモアたっぷりに、それとなく何かに頑張る人たちを応援しているようです。

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2008-02-13

『ミシュランガイド東京2008』

あれだけ話題になったので一度くらいは見てみようと思ったら、意外にも?図書館では全然人気がなくて待たずに借りることが出来ました。率直な感想として、自分には全く縁がなさそうなお店ばかりが並んでいて不必要です。ぐるなび、ぴあで十分なようです。

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『麦の海に沈む果実』 恩田陸

三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる全寮制の学園。二月最後の日に来た理瀬の心は揺らめく。閉ざされたコンサート会場や湿原から失踪した生徒たち。生徒を集め交霊会を開く校長。図書館から消えたいわくつきの本。理瀬が迷いこんだ「三月の国」の秘密とは?

閉鎖的な謎の多い学園という設定はありがちではありますが、不思議と読者を物語の世界に引き込んでくれます。ホラーミステリー的な要素を巧みに取り込んでいると思います。ただ、ラストで緊張感が少し途切れてしまったのは残念でした。理瀬に関わる物語は他の作品も是非読んでみたいです。

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2008-02-12

『ゴールデンスランバー』 伊坂幸太郎

仙台で金田首相の凱旋パレードが行われている、ちょうどその時、青柳雅春は、旧友の森田森吾に、何年かぶりで呼び出されていた。昔話をしたいわけでもないようで、森田の様子はどこかおかしい。訝る青柳に、森田は「おまえは、陥れられている。今も、その最中だ」「金田はパレード中に暗殺される」「逃げろ!オズワルドにされるぞ」と、鬼気迫る調子で訴えた。と、遠くで爆音がし、折しも現れた警官は、青柳に向かって拳銃を構えた―。

伊坂さんの本を久しぶりに読みました。大長編に相応しく、読み応えたっぷりで楽しめました。数ある作品の中でも上位の出来ではないかと思います。主人公の躍動が感じられ、物語の進め方もスムーズでよかったです。物語は明らかにJFK日本版といったところを目指していたのですが、権力の怖さや情報化社会への警鐘を打ち鳴らしていました。少しだけ気になったのは、事件から20年後というチャプターは必要なかったと思います。

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2008-02-09

『紅茶ブレンド』 磯淵猛

著者は「午後の紅茶」のアドバザーをしている人らしい。茶葉の知識とブレンドティーの作り方を紹介している本です。素人にもわかりやすく説明されていて、写真を見ているだけでも楽しくなれます。紅茶は好きだけれど、普段はリプトンのティーバックくらいしか飲んでいないので、いつかはこの本に書かれている紅茶を自分で淹れてみたいです。

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2008-02-07

『東京奇譚集』 村上春樹

偶然の旅人/ハナレイ・ベイ/どこであれそれが見つかりそうな場所で/日々移動する腎臓のかたちをした石/品川猿

5つの不思議なお話の短編集。すらすらとあっという間に読み終わりました。軽めの読み物ですが、それとなく余韻が残る内容でした。ただ、冒頭の前置きは違和感があったので、省いた方がいいと思いました。

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2008-02-02

『彩乃ちゃんのお告げ』 橋本紡

素朴で真面目で礼儀正しくて。一見ふつうの5年生だけど彩乃ちゃんには、見えている。周りの人のちょっとした未来。うまくいかない相手と仲良くする方法。幸運をよぶ少女と迷える人たちのひと夏のできごと。

明日はきっと、いいことあるよ。

このキャッチコピーにひかれて読んでみました。彩乃ちゃんは小学生なのに教主さま。もしかして宗教絡みの本なの?と少し警戒してしまいましたが、そんな心配は無用でした。教主さまというより小さなエンジェルみたいな存在でした。ストーリーは彼女が主役というより鍵になっているという作風で、優しさにあふれた物語でした。いい話だと思うのですが、ちょっとインパクトが弱いかな。

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2008-02-01

『ホルモー六景』 万城目学

「鴨川ホルモー」の続編と思っていたら、ちょっと違っていました。続きの部分はごくわずかで、どちらかというと番外編でした。本編ではふれていなかった背景的な様子が明らかになっているのは興味深かったです。それなりにおもしろいのですが、いまひとつ中途半端です。どうして、この六つの物語で一冊の本にしたのだろうかと疑問に思います。本編と関連性の薄いものもあり、構成がちぐはぐです。この物語をシリーズ化するなら理解できますが、そういう感じはしませんでした。まあ、前作を読んで、おもしろかった人は参考までに読んでみてはいかがでしょうか。この本は前作を読んだ人だけのための作品です。

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2008-01-29

『アーモンド入りチョコレートのワルツ』 森絵都

ピアノ教室に突然現れた奇妙なフランス人のおじさんをめぐる表題作の他、少年たちだけで過ごす海辺の別荘でのひと夏を封じ込めた「子供は眠る」、行事を抜け出して潜り込んだ旧校舎で偶然出会った不眠症の少年と虚言癖のある少女との淡い恋を綴った「彼女のアリア」。シューマン、バッハ、そしてサティ。誰もが胸の奥に隠しもつ、やさしい心をきゅんとさせる三つの物語を、ピアノの調べに乗せておくるとっておきの短編集。

解説で角田光代さんもふれていますが、中学生の頃に読んでいたらよかったなあと思える一冊でした。それぞれの話が心地よく、読み終わった後に優しい気分になれます。児童文学書ですが、幅広い世代に読んでもらいたいです。

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2008-01-27

『しずく』 西加奈子

ランドセル/灰皿/木蓮/影/しずく/シャワーキャップ

「女どうし」をテーマにした6つの短編集。他の作品と比べて、あっと驚くような展開はないけれど、心温まるお話です。

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2008-01-21

『夜は短し歩けよ乙女』 森見登美彦

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。二人を待ち受けるのは奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった!

人気のある本なので、半年ほど待ってようやく図書館から借りることが出来ました。京都を舞台にした青春恋愛ファンタジー。第一印象は、万城目学さんの「鴨川ホルモー」に似ていると思いました。最近、京都ものはブームなのでしょうか?京都の地名が所々に出てくるので、詳しければ違った楽しみ方もあるかもしれません。作者は意図的に普段使わない古くさい言葉遣いを用いていますが、これが結構読みづらくて最初は慣れませんでした。全体的におもしろい話だと思いますが、ひねりすぎているような気もします。

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2008-01-20

『ハードボイルド・エッグ』 荻原浩

続編のサニーサイドエッグがおもしろかったので読んでみました。正統派のハードボイルド小説もいいけれど、少し笑いのある物語なので楽しく読めました。

フィリップ・マーロウに憧れ、マーロウのようにいつも他人より損をする道を選ぶことに決めた最上俊平と美人秘書?のおばあちゃんが巻き込まれた殺人事件。

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2007-12-30

『村田エフェンディ滞土録』 梨木香歩

時は1899年。トルコの首都スタンブールに留学中の村田君は、毎日下宿の仲間と議論したり、拾った鸚鵡に翻弄されたり、神様同士の喧嘩に巻き込まれたり…それは、かけがえのない時間だった。だがある日、村田君に突然の帰還命令が。そして緊迫する政情と続いて起きた第一次世界大戦に友たちの運命は引き裂かれてゆく…

「家守綺譚」と繋がりのある姉妹本。何度か読み返すと味わい深さが増すような気がします。最近人気のある小説とは違って落ち着いた気分になれます。やっぱり梨木さんの持っている物語の世界は心地よいです。

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2007-12-29

『黄昏の百合の骨』 恩田陸

強烈な百合の匂いに包まれた洋館で祖母が転落死した。奇妙な遺言に導かれてやってきた高校生の理瀬を迎えたのは、優雅に暮らす美貌の叔母二人。因縁に満ちた屋敷で何があったのか。「魔女の家」と呼ばれる由来を探るうち、周囲で毒殺や失踪など不吉な事件が起こる。将来への焦りを感じながら理瀬は―。

ちょっと怖い話でした。謎解きまでの過程がとてもうまくできていると思います。この物語はシリーズになっているようなので、他の作品も読んでみたいと思います

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2007-12-28

『ひとり日和』 青山七恵

“人っていやね…人は去って行くからね”。20歳の知寿と71歳の吟子さんが暮らした春夏秋冬。

芥川賞受賞作にふさわしい文芸作品。20歳の女の子と71歳の老女が暮らした淡々とした日常生活を描く。何か特別な展開があるわけではないから退屈しそうだが、丁寧な描写が読み手を引き込む。文章力を感じさせる小説です。

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2007-12-26

『つきのふね』 森絵都

あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。進路や万引きグループとの確執に悩む孤独な日々で、唯一の心の拠り所だった智さんも、静かに精神を病んでいき―。近所を騒がせる放火事件と級友の売春疑惑。先の見えない青春の闇の中を、一筋の光を求めて疾走する少女を描く、奇跡のような傑作長編。

森絵都さんの代表作、児童文学作品でありながら大人が読んでも十分感動できる。カバーイラストがとても小説とマッチしていて、優しい気持ちになれる物語です。主人公さくらの心情をうまく描いていて、大切なモノは何か、気づかせてくれます。飽きの来ない場面展開なので、とても読みやすいと思います。

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2007-12-14

『オロロ畑でつかまえて』 荻原浩

人口わずか三百人。主な産物はカンピョウ、ヘラチョンペ、オロロ豆。超過疎化にあえぐ日本の秘境・大牛郡牛穴村が、村の起死回生を賭けて立ち上がった!ところが手を組んだ相手は倒産寸前のプロダクション、ユニバーサル広告社。この最弱タッグによる、やぶれかぶれの村おこし大作戦『牛穴村 新発売キャンペーン』が、今始まる―。

荻原さんのデビュー作。ユーモアたっぷりの軽快なテンポで笑わせてくれます。あまり考えずにすらすら読めてしまうでしょう。

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2007-12-13

『中庭の出来事』 恩田陸

瀟洒なホテルの中庭。こぢんまりとしたパーティの席上で、気鋭の脚本家が不可解な死を遂げた。周りにいたのは、次の芝居のヒロイン候補たち。

芝居をテーマにしたミステリー。話が複雑というか、混乱させられてしまってよくわからなかった。この場面は現実なのか、芝居なのか、頭の中できちんと整理していないと理解できなくなってしまう。読者の混乱を誘っている作り方はさすが恩田さん、と思うが読解力の乏しい自分にはついて行けなかった。

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『夢を与える』 綿矢りさ

私は他の女の子たちよりも早く老けるだろう。チャイルドモデルから芸能界へ―幼い頃からTVの中で生きてきた美しくすこやかな少女・夕子。ある出来事をきっかけに、彼女はブレイクするが…少女の心とからだに流れる18年の時間を描く。

芥川賞受賞から一躍有名になってしまった彼女への期待は当然高くなる。文章力や表現力はとてもあると思える。しかし、この物語は如何にもという感じの安易な発想で受け狙いのような内容に思えてしまう。少女の心の描写は場当たり的で深みが感じられない。実力はあるのだから次回作に期待します。

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2007-12-12

『不都合な真実』 アル・ゴア

普段小説ばかり読んでいるがたまにはこういう本も読む。つい先日ノーベル平和賞まで受賞したアル・ゴア全米副大統領の有名な著書。地球温暖化の問題は人類共通の課題であることを警告している。全ページに渡って写真や図解を掲載して、わかりやすく説明がされているので、地球温暖化の深刻さはよく理解できる。しかし、彼の自叙伝みたいなものも散りばめられ政治的パフォーマンスも疑えない。純粋に環境問題だけを提起しているのではないのだろうが、こういうきっかけを作ったことは間違いない。それにしても、この本の価格は高すぎるので買おうという気にはなれない。図書館で借りて読むのが賢明だと思う。

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2007-12-11

『川の光』 松浦寿輝

平和に川辺で暮らしていた野ネズミ一家が環境の変化により新しい住処を求めて旅をする大冒険。数々の苦難を乗り越えて、家族の愛情と友情を確かめあうファンタジー。

この物語は読みやすい文章で楽しく面白いと思うが、どのような読み手をターゲットにしているのかわからない。一見児童文学かと思いきや、大人も対象になっているような気がする。新聞の連載小説の単行本化ということから、幅広い年代を考慮したのかもしれない。それが返って裏目に出て中途半端になっていると思わざるを得ない。そのため全体の構成は今ひとつだと思う。また、最後のおまけのような部分は物語の勢いを止めてしまうから省いた方がいい。もっと思い切って子供向けにしたほうが良かったのではないでしょうか。

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2007-12-06

『ちいさなおはなし』 新井素子

こゆび/くしゃみ/ごっとはんど/おふとん/ねこまた/かげ/ゆめ/いぬ/かあてん/ふしぎ/ひみつ/くものいと/おと/たまご/のっく

星新一さんに捧げた?15話のショートショート。新井素子さんの本を久しぶりに読んでみました。なんか懐かしいなあという気分になってきます。実は昔からの大ファンで代表的な著書はほとんど読んでいます。SF長編を書くことが多かった彼女がショートショートを書くなんて、デビュー当時以来の何十年振りじゃないでしょうか。ん~本の感想は・・・特にないです。ショートショートはコメントが難しい。言えることはもとちゃんワールドは健在だし、あとがきの書き方も昔のままで変わっていませんね。もう懐かしさだけで満足でした。

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2007-11-28

『名残り火 てのひらの闇Ⅱ』 藤原伊織

堀江の無二の友人・柿島が殺された。その謎に満ちた死に疑問を持った堀江は調査に乗り出すが……。

藤原さんの逝去により、推敲の途中であったが出版された遺作。「てのひらの闇」の続編になる。前作が結構派手な作品だったのに比べれば、こちらは少し地味かもしれない。その代わり最後の結末には悲哀を感じざるを得ない。内容は異なるが重複する登場人物の背景を理解するために「てのひらの闇」を先に読んでおいた方がよいでしょう。

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2007-11-27

『てのひらの闇』 藤原伊織

飲料会社宣伝部課長・堀江はある日、会長・石崎から人命救助の場面を偶然写したというビデオテープを渡され、これを広告に使えないかと打診されるが、それがCG合成である事を見抜き、指摘する。その夜、会長は自殺した!!堀江は20年前に石崎から受けたある恩に報いるため、その死の謎を解明すべく動き出すが…。

藤原さんのお得意パターンの作風ではあるが、決してマンネリ化することもなく、最後までどうなるのだろうと楽しみながら読むことができる。愛着を覚えてしまうハードボイルドアクションだ。主人公はもちろんのこと、登場人物の設定がいいなあと思えます。

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2007-11-26

『夕子ちゃんの近道』 長嶋有

アンティーク店フラココ屋の二階で居候暮らしをはじめた「僕」。どうにも捉えどころのない彼と、のんきでしたたかな店長、大家の八木さん、その二人の孫娘、朝子ちゃんと夕子ちゃん、初代居候の瑞枝さん、相撲好きのフランソワーズら、フラココ屋周辺の面々。その繋がりは、淡彩をかさねるようにして、しだいに深まってゆく。だがやがて、めいめいがめいめい勝手に旅立つときがやってきて―。誰もが必要とする人生の一休みの時間。7つの連作短篇。

ゆっくりと、優しい物語。淡々と流れる物語は日常生活に疲れた人には癒しになるかもしれない。そんな雰囲気の主人公がフラココ屋を通じてふれあう人たちとの人生の休み時間。おとなしめの本ですが結構心地よいです。

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2007-11-25

『雪が降る』 藤原伊織

台風/雪が降る/銀の塩/トマト/紅の樹/ダリアの夏

短編集であってもひとつひとつ丁寧に綴られている。他の作品に関連する話もあって興味深い。表題作の「雪が降る」は哀愁漂うお話でした。

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2007-11-24

『上と外』 恩田陸

両親の離婚で、別れて暮らす元家族が年一度、集う夏休み。中学生の練は妹・千華子、母とともに、考古学者の父がいる中米のG国までやってきた。密林と遺跡と軍事政権の国。すぐさま四人はクーデターに巻き込まれ、避難中のヘリから兄妹が落下、親子は離ればなれに!?疲労困憊でさまよう二人の身に、異変が…。

このお話は元々文庫本六冊あった長編を新装版二冊にしたものです。ボリュームがあるので最初はちょっと抵抗を感じますが、読み進めていくと段々面白くなってくるはずです。一言で言うと、マヤの伝説にまつわる大冒険の話です。実際あり得ないと思いつつも、この先どうなるんだろうと、結構ワクワクさせられます。タイトルの上と外に何か比喩があるのかもしれないと考えていたのですが、よくわかりませんでした。全体的にとても良かったのですが、最後に親子再開の場面を省略しないでほしかったと思います。クライマックスからいきなり緊張感が消えて、思わず拍子抜けしてしまいました。それだけが残念です。

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2007-11-21

『月のうた』 穂高明

第二回ポプラ社小説大賞の優秀賞受賞作品。大賞は該当作なしということになっているが、個人的にはこの作品に大賞を与えてもいいと思った。求められているレベルが高いのかもしれない。心温まる、ホッとできるような気持ちにさせてくれるお話だった。とても丁寧に書かれていて感情移入しやすい。場面転換が少々不自然に感じるところもあったが、デビュー作としては上々だろう。強いて言えば、語り手が複数に渡る連作のため小説のインパクトが分散してしまっている。もっと焦点を絞っても良かったのかもしれない。

母を失った少女民子は、どうして母が病気は治らないことを自分に話してくれなかったのかずっと悩み続けていた。継母の宏子、亡き母の親友、父亮太、それぞれの視点から少女を見守る。そこには月がいつも優しく輝いている。

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2007-11-20

『ミッキーかしまし』 西加奈子

西さんの小説は一通り読ませてもらっていて、結構気に入っている。これは初めてのエッセイ、本人曰く自由な態度で書いたというが、自由なんてものではない。とてものびのびと、言い方を変えると好き勝手、に書いている。この人はホントに小説家なのだろうか?何となく小説家は繊細な人が多いというイメージを持っていたが、まるっきり当てはまらない。飾らない、とても豪快な人。うむ、とてもパワフルだ。お酒を飲めば何かしらやってくれそうで、一度でいいからご一緒したい。お友達にほしいタイプ。

これを読めば、これまでのエピソードや彼女の考え方がよくわかります。イラン生まれのエジプト育ちなのに全然帰国子女らしくなく、こてこての大阪人。ニックネームはミッキー。お酒大大好き。小説家になるきっかけはトニ・モリスン「青い目がほしい」を読んだから、等々。カバーイラストと挿絵まで本人が書いたらしい。大阪弁と標準語が混ざった文章は微妙に変かもしれない。

とっても楽しく読ませてもらったので、次回作に期待します。

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2007-11-16

『雲の上の青い空』 青井夏海

みどりのおじさん/銀幕の恋人/三色すみれによろしく/透明な面影/ウサギたちの明日

タイトルとカバーイラストに惹かれて読んでみました。中年宅配便ドライバー寺坂脩二が遭遇する5つの連作短編。日々暮らしている街の中に起きる様々な人間ドラマを描いた心温まる優しいお話でした。残念なのは、落ちが少し強引かなと感じるところがありました。

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2007-11-15

『蚊トンボ白髭の冒険』 藤原伊織

羽音と不思議な声がすべての始まりだった…。陸上競技への夢を断念し、水道職人となった若者・達夫の頭の中に、ある日奇妙な生物が侵入してくる。その名も蚊トンボ・シラヒゲ。超人的能力を得た達夫は、アパートの隣人・黒木を理不尽な暴力から救う。しかし、それは恐るべき闇社会との対決を意味していた。


黒木は暴力団に巨額の損失を与え、追われる身だった。その行方を知るべく、彼らは卑劣な手段で達夫を脅迫した。そこに凶悪獰猛な赤目の男・カイバラが介入、達夫の恋人・真紀を誘拐する。そのとき皮肉にもシラヒゲの能力は尽きようとしていた。カイバラの挑発に単身敵地に乗り込む達夫。はたして真紀を無事救出できるのか。

ハードボイルド路線にSFが混じった非現実的な話。藤原さんの著書では珍しい作品だと思う。頭の中に蚊トンボが入ってくるなんて、ずいぶん突拍子もない発想。スパイダーマンにでも影響されたのかな。話自体はそれなりに楽しめましたが、ちょっと設定に無理があったような気がします。また、数年前に書かれたから仕方がないですが、ネットトレーディングやETCの話題は今となっては少し古くさく感じてしまった。

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2007-11-14

『家日和』 奥田英朗

42歳の主婦・晴美は、不要品をネットオークションに掛けたことがきっかけで、家中に目を光らせるようになったが(「サニーデイ」)。


36歳夫の会社が倒産。専業主婦だった妻が働き始め、夫が家事をすることに。「ここが青山」

離婚寸前の営業マン38歳の正春。妻が家を出てからインテリアショップ巡りに目覚めて・・・。「家においでよ」

東京郊外の一戸建て、二人の子供を持つ専業主婦の弘子は、平凡だが幸せな毎日を過ごしていた。ある日自宅を訪れた営業マンに会った夜から、妙な夢を見始める。「グレープフルーツ・モンスター」

イラストレーターの春代の夫は職を変わってばかり。ところが彼が転職するたびにイラストの出来がよくなることに気づく。「夫とカーテン」

42歳作家の夫の妻が<ロハス>に凝りだした。子供ともどもつきあうことにしたものの・・・。「妻と玄米御飯」

夫婦の日常に起きる出来事を集めた短編集。どれも身近な話題で興味を抱きやすい。読みやすい文章でとても楽しいので、すぐに読み終わってしまう。でも小説としてはあまり印象に残らない。軽めな本で、なんとなく雑誌を読んでいるような気分になってしまうからです。

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2007-11-13

『窓の灯り』 青山七恵

大学を辞め、時に取り残されたような喫茶店で働く私。向かいの部屋の窓の中を覗くことが日課の私は、やがて夜の街を徘徊するようになり??夜の闇、窓の灯、ミカド姉さんと男達……ゆるやかな官能を奏でる第42回文藝賞受賞作。

久しぶりに文学的な作品を読んだ気がしました。軽めな本ばかり読んでいると、難しいと思うでしょう。文章は読みやすいのですが、登場人物の気持ちがいまひとつよくわからなかった。この小説の中で作者が何を言いたかったのか。読解力のない自分には無常ということくらいしか浮かばなかった。

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2007-11-12

『鴨川ホルモー』 万城目学

予備知識を全く持たずに読んだせいか、この話はいったい何なんだ?「ホルモー」って何?と、最初は訳わかんないことばかりでしたが、とてもおもしろかったです。久しぶりに想像力豊かな本を読んだ気がします。物語の進め方がとてもうまくて、すっかり話に引き込まれてしまいました。読み終わってみれば、青春ファンタジーだったと思います。京都が物語の舞台となっているので、日本人の心をくすぐるものもあったかもしれません。後で京都の地図を見て確認してしまいました。

京大に入学して葵祭のバイトの帰り道に渡されたサークル勧誘のビラにつられて、新歓コンパに参加した安倍は居合わせた女の子に一目惚れ、京大青竜会というサークルに入会してしまう。普通のイベントサークルにみえたその実態は「ホルモー」を行う奇妙な集団。次第に巻き込まれながらも、いつしか不思議な縁に導かれていく。

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2007-11-11

『一瞬の風になれ』 佐藤多佳子

本屋大賞受賞作品ということで、とても人気のある本でした。図書館から借りて読むには予約待ちが長くて、三冊読み終えるのに5ヶ月もかかってしまいました。おかげで本を読む間隔が開きすぎて、前の話を忘れてしまうこともしばしありました。内容はともかく本の出版のやり方には不満があります。三部で完結している話なので全部読まないと意味がありません。一部または二部だけではあまりに中途半端です。しかしながら、この程度のボリュームで三冊にするのはどうなのかなと思います。二冊で十分収まるはずです。

さて、ストーリーは走ることが好きな高校生の青春物語です。スプリンターとして目標に向かって頑張る姿を描いています。失敗と挫折を繰り返しながらも少しずつ成長していく過程は感動を与えてくれます。スポーツ選手の夢を追いかける気持ちがよく伝わってきました。中高生で部活をやっている人にはたまらない内容だと思います。小説の出来としてはいろんなことを詰め込みすぎで、もっと本筋に絞ってもいいのではないかと感じました。特に最後のクライマックスのところはもう少ししっかり描いたらよかったのではないかと思いました。

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2007-10-24

『ダナエ』 藤原伊織

「ダナエ」「まぼろしの虹」「水母(くらげ)」の3編を収めた一冊。藤原さんの小説は長編が多いが、このくらいの分量の方が読みやすいかもしれない。短くても、どれもちゃんと中身の濃い内容になっている。美術と広告という著者の得意分野をちりばめ、切ない男女の人間関係をうまく表現している。

ダナエ・・・ギリシア神話に登場してくる人物

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2007-10-23

『カラフル』 森絵都

生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。

死んでしまった魂が天使の抽選に当たって再挑戦するという、突拍子もない出だしから始まる。これって、ファンタジーなのかな?それともコメディなのかなと思いきや、結構考えさせられる重いテーマを持ったお話でした。多分中学生くらいを対象にした児童文学になるのでしょうが、大人が読んでも全然違和感はないと思います。主人公が家族や友達を理解していく過程はなかなか説得力がありました。いい話だと思うのですが、人は死んだらやり直せないだろうと、ふと当たり前のことを思ってしまい、このコンセプトでいいのかなあと疑問も少し感じました。

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2007-10-08

『遊戯』 藤原伊織

この物語は残念ながら完結していません。一通りストーリーの流れが見えてきたところで、これから何が起こるんだろうというところで止まっています。著者の藤原伊織さんが逝去されてしまったから、遺作ということになるのでしょうか。しかし、結末が書かれることはないのに出版されたのはどうしてなんでしょう。途中まで読んでしまったことで、返って名残惜しい気持ちがあります。藤原さんの本では「ダックスフントのワープ」が好きでした。ご冥福をお祈り致します。

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2007-10-06

『サニーサイドエッグ』 荻原浩

本を開いてから気がつきました。これは「ハードボイルド・エッグ」という話の続編だったようです。前作を読んでいなくても、ストーリーはこれだけで完結しているので十分楽しめました。事件ものだから、内容を変えれば何冊でも続編が出来るのではないでしょうか。ユーモアたっぷりでおもしろかったです。

最上俊平は私立探偵と名乗っているものの、実際はペット探しの便利屋のような仕事の毎日。ある日、女性から猫を探して欲しいという依頼が来るが、ほぼ同時期に怪しい組織からも同様の依頼が舞い込み、次第に事件に巻き込まれていく。

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2007-09-21

『常野物語』 恩田陸

常野一族とは?

膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから―「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。穏やかで知的で、権力への思向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。

恩田さんの数多くの著作でシリーズ化されている三冊を読んでみた。常野物語シリーズと呼ばれているらしい。光の帝国 → 蒲公英草紙 → エンドゲーム が出版された順番だが、それを知らずに蒲公英草紙から読んでしまったが、それぞれの物語が完結しているので、順番はあまり気にする必要はないと思う。ただ、エンドゲームは光の帝国の後に読んだ方がいいだろう。一見すると超能力集団の話なので、映画「X-MEN」みたいな連想をしてしまうが派手なアクションがあるわけでもなく、どちらかというと、穏やかなファンタジーになっている。

光の帝国

常野一族の歴史を語るような短編集。それぞれの物語が少しずつ関連している。不思議な能力を持った人たちの光と陰が描かれていて、読み進めていくとすっかり引き込まれてしまう。

蒲公英草紙

わかりやすい題名なら、たんぽぽ日記?明治時代の頃の東北の農村に暮らす少女の回想録風になっている。旧家のお嬢様の話し相手となった少女は、常野から来た人たちの不思議な力を見ることになる。ちょっと美談過ぎないかと思いましたが、こういう感じの話は大好きです。

エンドゲーム

「裏返さ」なければ「裏返される」――正体不明の「あれ」と戦い続けてきた拝島親子の話。正直よくわからなくて期待はずれでした。前二作とはずいぶん違う作り方になっている。

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2007-09-02

『木漏れ日に泳ぐ魚』 恩田陸

高橋千浩と藤本千明は、数年間一緒に暮らしたアパートで最後の晩を迎えた。二人とも、一年前に旅先で起きた一人の男の死の責任が相手にあると考え、今夜中にその真相を知りたいと思っていた・・・。男と女の交互の語りで進む、ある一晩の、そしてその半生の静かな物語。

別れを迎えた男女の長い一夜を描いた話。複雑な人間関係は、まるでミステリードラマの様だった。一年前の事故を巡り、様々な真実が浮かび上がってくるが、憶測に過ぎない。ラストはちょっと切ないかも。二人の会話だけで進んでいくので単調になりやすく、読んでいて疲れてしまった。この中に出てくるS山地というのは白神山地のことだろう。青池で有名な十二湖を思わせる。

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2007-08-29

『禁じられた楽園』 恩田陸

平口捷は、若き天才美術家の烏山響一から招待され、熊野の山奥に作られた巨大な野外美術館を訪れた。そこは、むせかえるような自然と奇妙な芸術作品、そして、得体の知れない“恐怖”に満ちていた。

普段怖いものは苦手でホラー映画とかは絶対に見ない。それなのに珍しくホラー小説を読んでしまった。お話の登場人物と同じように恐怖を感じて、ゾクゾクした。怖かった~。それなのに怖いもの見たさで最後まで一気に読んでしまった。でも、ラストの部分は意外な感じで終わったので、あれっ?と思った。意外な人物が意外な決着を付けたからだ。おかげで読み終わると怖さも消えてしまった。

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2007-08-25

『夕凪の街 桜の国』 こうの史代

映画はまだ観てないのですが、興味があったので原作を読んでみました。原作はマンガだったのですね。ちょっと意外でした。原爆というテーマはなんとなく重く感じてしまうものですが、マンガであったので読みやすかったかもしれません。ページ数もあまりないので、あっという間に読み終えます。物語は広島で被爆した女性の体験と、被爆二世の女性から見た原爆への思いを描いています。原爆とは何なのか、改めて考えさせてくれました。全体的に良い話だと思うのですが、原爆の悲惨さなどの部分は描きにくいのか、避けていたように思えました。やっぱり映画を観てみよう。

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2007-08-19

『まひるの月を追いかけて』 恩田陸

異母兄が奈良で消息を絶った。たったの二度しか会ったことがない兄の彼女に誘われて、私は研吾を捜す旅に出る。早春の橿原神宮、藤原京跡、今井、明日香…。旅が進むにつれ、次々と明らかになる事実。それは真実なのか嘘なのか。旅と物語の行き着く先は―。

奈良を舞台に繰り広げられるミステリー。人捜しに行くのにどうして旅行するんだろうと思ったけれど、結構その部分が読んでいて楽しめます。旅日記を読んでいるような気分になれました。ストーリーは意表を突くサプライズが何度かあって、どんな展開になるのか予想もつきません。最後の結末にはエッ!という感じでした。修学旅行以来行ったことのない奈良に行ってみたくなりました。

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2007-08-18

『風が強く吹いている』 三浦しをん

走ることが好きなのに陸上に挫折していた蔵原走と清瀬灰二が出会い、同じぼろアパート竹青荘に住む素人仲間と箱根駅伝を目指すことになる。

スポーツをテーマにした青春モノは数知れないが駅伝を取り上げた話は珍しい。素人集団が1年足らずで箱根駅伝に出場するのは、現実には難しいと思うがそれはご愛敬。笑いの要素も入っているので楽しく読めました。

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2007-08-16

『ありがとう、さようなら』 瀬尾まいこ

作家と教師の二足のわらじを履く、瀬尾まいこさんのエッセイ第2弾。前作の「見えない誰かと」と同様に短い内容をとりまとめたものになっている。日々学校で起きる出来事や生徒とのふれあいなどを楽しく読みやすく書かれている。一見、国語の先生にしては文章がくだけすぎていないかと思うところもあったけれど、瀬尾さんの素がそのまま感じられて、好感が持てます。本人もクラスを持って幸せだったと述べていますが、こんなにいいクラスってホントにあるのかな。こうした体験が優しいお話を書ける土台になっているのでしょう。

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2007-08-15

『グラスホッパー』 伊坂幸太郎

「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。それぞれの思惑のもとに―「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説。

ストーリーの展開はとてもうまいし、おもしろい話と思うが、読み終わって何日か経つと忘れてしまいそう。殺し屋の殺気が感じられないのは、表現のインパクトが弱いのかな。作風パターンがマンネリ化しているような気がする。是非新しい挑戦をして欲しい。

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2007-08-14

『蛇行する川のほとり』 恩田陸

憧れの存在であった高校美術部の上級生・香澄と芳野の二人から、夏休みに演劇祭の舞台背景画を描き上げるための「合宿」に誘われた毬子。胸躍らせて「船着場のある家」に赴いた彼女を待ち受けていたのは、遠い夏の日に封印されたはずの秘密だった…。

少女漫画のような雰囲気を持ちながらも、サスペンスの要素をちりばめている。過去に起きた事件に引き寄せられる高校生たち。事件の背景が明らかになりつつも、真実は最後までどうなるか目が離せない。

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2007-08-06

『ロング・グッドバイ』 レイモンド・チャンドラー(村上春樹訳)

私立探偵フィリップ・マーロウは、億万長者の娘シルヴィアの夫テリー・レノックスと知り合う。あり余る富に囲まれていながら、男はどこか暗い蔭を宿していた。何度か会って杯を重ねるうち、互いに友情を覚えはじめた二人。しかし、やがてレノックスは妻殺しの容疑をかけられ自殺を遂げてしまう。が、その裏には哀しくも奥深い真相が隠されていた…大都会の孤独と死、愛と友情を謳いあげた永遠の名作。アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀長篇賞受賞作。

かなり有名な名作らしいが、文学知識がないので全く知らなかった。大長編なので読むのはちょっと大変。いかにも古き良きアメリカの代表作なのだろう。文章が素晴らしいのは、作者なのか訳者なのか、よくわからない。内容は銃と酒とお金持ちの話という印象がとても強く残る。

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2007-08-05

『Q&A』 恩田陸

都下郊外の大型商業施設において重大死傷事故が発生した。死者69名、負傷者116名、未だ原因を特定できず―多数の被害者、目撃者が招喚されるが、ことごとく食い違う証言。防犯ビデオに写っていたのは何か?異臭は?ぬいぐるみを引きずりながら歩く少女の存在は?そもそも、本当に事故なのか?Q&Aだけで進行する著者の真骨頂。

不思議な作りの本だった。タイトルの通りQ&A形式の対話によって、物語が進んでいく。それでいて、ちゃんとストーリーになっている。恩田さんはすごい作家だと思う。某宗教団体の事件がモデルになっていると思われるが、内容についてはそれ程おもしろくは思えなかった。主人公は人物というより事故そのものだったようだ。

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『学校のセンセイ』 飛鳥井千砂

センセイって、もっと特別な人がやるものだと思ってたんだ。とくにやりたいことがなく、気がつけば先生になっていた。生徒は可愛げがないし、同僚とのつきあいも面倒だ。それでも、“センセイの日々”は続いて行く…。

待ち望んでいた飛鳥井千砂さんの2冊目の本。名古屋を舞台にした高校の若手教師の物語。高校教師2年目の桐原一哉は決して熱血教師というわけではなく、適当に仕事をこなしていくが面倒くさいことには関わりたくない。しかし、学校では問題を起こしそうな生徒を助けたり、生徒に好意を持たれたりとトラブルに巻き込まれ、次第にセンセイらしく?なっていく姿を描いてる。多少在り来たりの内容もありましたが楽しく読めました。残念なのは後半の部分。もう少し深く掘り下げて欲しかった。ちょっと物足りないです。

また、名古屋独特なことを盛り込んでいておもしろかった。

放課後の意味が違うこと

でら」という言葉遣い

シロノワールという食べ物

ナナちゃん人形 → これって何?

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2007-07-29

『小さなパリジェンヌ』 雨宮塔子

元TBSアナウンサーの雨宮塔子さんのエッセイ。以前に金曜日のパリという本を読んだことがあるが、内容はがらっと変わり、子供に関することばかりの一冊。ここまで人は変わってしまうのかと思うような印象を受けた。それでも雨宮さんのこだわりは健在で、パリの暮らしで感じたことを独特の視点で綴っている。子育てについて、日本とフランスの違いもおもしろかった。

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2007-07-15

『ぐるりのこと(文庫本)』 梨木香歩

旅先で、風切羽の折れたカラスと目が合って、「生き延びる」ということを考える。沼地や湿原に心惹かれ、その周囲の命に思いが広がる。英国のセブンシスターズの断崖で風に吹かれながら思うこと、トルコの旅の途上、ヘジャーブをかぶった女性とのひとときの交流。旅先で、日常で、生きていく日々の中で胸に去来する強い感情。「物語を語りたい」―創作へと向う思いを綴るエッセイ。

既に単行本を読んでいるのに、やっぱり好きな作家の本が出るとついつい手に取ってしまう。内容はもちろん同じだが、表紙が全然違う。単行本(前回の記事参照)は真っ白な表紙が印象深かったが、文庫本はご覧の通り。50年くらい前に描かれた絵らしい。エッセイのイメージとぴったり合う。よく探し出してきたものだ。改めて読み直しても、すっうと心に入ってくる。殺伐としたことの多い世の中には大切なことを訴えていると思う。

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2007-03-02

『モノレールねこ』 加納朋子

時をこえて届くあの頃からの贈りもの。儚いけれど、揺るぎない―「家族」という絆。デブねこの赤い首輪にはさんだ手紙がつなぐ、ぼくとタカキの友情(「モノレールねこ」)。夫を待つ時間に取り組んだ白いパズルの中に、犬の気配が(「パズルの中の犬」)。家族をいっぺんに失った中学生の私と、ダメ叔父さんの二人暮らし(「マイ・フーリッシュ・アンクル」)。私と偽装結婚したミノさんは、死んだ婚約者がそばにいると信じていた(「シンデレラのお城」)。ロクデナシのクソオヤジに苦しめられてきた俺に、新しい家族ができた(「ポトスの樹」)。会社で、学校で、悩みを抱えた家族の姿を見守るザリガニの俺(「バルタン最期の日」)。

おもしろいタイトルだなあ、と思って図書館から借りて読んでみたのですがなかなか良かったです。長編と勘違いしていましたが、短編8作からなっています。どの作品も短いお話ですがホッとするような暖かさが感じられます。著者の他の作品も読んでみたくなりました。

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2007-02-25

『ITとカースト インド・成長の秘密と苦悩』 伊藤洋一

インドという国は名前を知っていても、実はよくわかっていない。そんなインドを経済的な面だけではなく、人々の暮らしぶりなど様々な面から紹介した本。人口は中国を抜いて世界一になることは間違いないらしく、人の数が多いこともあると思うがいろいろな分野で格差がとても大きい国であると感じた。民族、宗教、言語、貧富が複雑に混じり合ってる。貧しい農民から最先端のIT技術者まで、同じ国なのにここまで差があっていいのかと思えるところもある。一番よくわからないのはカースト制度の存在。何千年も昔に作られた制度が今でも根深いのには驚く。世界は広いなあと思う反面、それをつなげてしまったITはすごい。

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2007-02-24

『アヒルと鴨のコインロッカー』 伊坂幸太郎

引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は―たった一冊の広辞苑!?そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ!注目の気鋭が放つ清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。

期待を裏切らない面白さだと思う。ミステリーなんだけど、それっぽくない軽めの読み物。ストーリーの流れはいいんだけど、現在と過去の話を交互に展開するのが細かすぎて、少し読みにくい。この話は映画化されるらしいですが、そこまではちょっとどうなのかなと思う。さらっとしていて、心に残るような話ではないと思う。

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2007-02-12

『星々の舟』 村山由佳

直木賞受賞作にふさわしい読み応えのある物語でした。タイトルにもちょっと惹かれました。家族それぞれの視点から描く連作になっていて、それぞれにテーマを持っています。禁断の恋に悩む兄妹、他人の男ばかり好きになる末っ子、居場所を探す団塊世代の長兄、戦争の傷痕を抱いてる父。どれも内容は充実しているのですが、いろいろなことが詰め込まれているので、ちょっと読み疲れしてしまうかも。

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2007-02-11

『通天閣』 西加奈子

どうしようもない人々が醸し出す、得体の知れないエネルギーが溢れている大阪ミナミ。社会の底辺でうごめく人々の愚かなる振る舞いや、おかしな言動が町を彩っている。主人公は、夢を失いつつ町工場で働く中年男と恋人に見捨てられそうになりながらスナックで働く若い女。八方ふさがりに見える二人は、周りの喧噪をよそに、さらに追い込まれていく。ところが、冬のある夜、通天閣を舞台に起こった大騒動が二人の運命を変えることに…。

大阪、通天閣の下で繰り広げられる人間模様。クライマックスはいささか強引なところがあるように感じましたが、パワー全開で圧倒されました。これが大阪の心意気なのかな?通天閣の存在感って、今ひとつ自分にはわからないんですが、象徴的なものなんでしょうか。そして、大阪弁がたくさん活字になっていると、ついついぎこちなく読んでしまう自分に笑ってしまう。

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2007-01-28

『永遠』 村上由佳

生きることに無器用なひとなのね。それが私にはいとしかった―葉月さんは亡くなる前、娘の弥生と幼なじみの僕に話してくれた。かつて別れた恋人のことを。弥生はその男の向かいの部屋に住み、彼の講義を聴きに短大に通った。「お父さん」と、一度も告げられずに。卒業式の日、僕は弥生の帰りを待つ―。

内山理名、堤真一が出演した「卒業」という映画のコラボレーションになっていたらしいが、そんな映画があったことさえ記憶にない。映画を知らなくても小説単体でも楽しめる。わかりやすいストーリーで、短編ながら登場人物の心象がうまく表現されていて、とても良くできた話だと思う。

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2007-01-27

『光ってみえるもの、あれは』 川上弘美

ああ、やっぱり僕は早く大人になりたい―友がいて、恋人がいて、ちょっぴり規格はずれの「家族が」いて。いつだって「ふつう」なのに、なんだか不自由。生きることへの小さな違和感を抱えた、江戸翠、十六歳の夏。みずみずしい青春の物語。

悪くない話だと思うけれど、なんか今ひとつ物足りない。筆者の文章に慣れていないせいかもしれないが、すごく丁寧な言い回しに違和感を持ってしまう。前半の主人公を取り巻く背景から、後半のアクティブな展開はそれなりにおもしろいが、なんか整いすぎている。これが、主人公の「ふつう」という感覚を表現しているのだろうか。

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2007-01-20

『この庭に』 梨木香歩(須藤由希子)

 黒いミンクの話

雪が降っている。真夜中に、突然そのことを知った。カーテンを開けると、しんしんと、ただしんしんと、雪が降っていた。梨木香歩、もう一つの「ミケルの庭」の物語。

手にとって初めに思ったこと、これは大人の絵本。とても新鮮な感覚を与えてくれるステキな本でした。静かに、ゆっくりと読むことをオススメします。短いお話ですが、モノトーンのイラスト(スケッチと言うべきか)がさらに想像力を高めてくれます。ストーリーは雪の降る中に起こる不思議な物語。ミケルとは、「からくりからくさ」にでてくるマーガレットの子供のことです。「りかさん」の文庫本に掲載されている「ミケルの庭」のアナザーストーリーになっているようですが、続編という位置づけではなさそうです。この物語は、ミンクとサーディン(わからなくて、辞書で調べてしまった(笑))が登場してきて、不思議な世界へ導いてくれます。それと日本人形のような白い顔の女の子がでてくるのですが、もしかしてりかさん?なのかな。この本を雪の降る寒いときに読んだら、雰囲気でるだろうなあと思っていたら、今夜は雪が降るかもしれないそうです。

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2007-01-19

『いつか王子駅で』 堀江敏幸

時々用事で訪れることのある王子の街は、飛鳥山の桜と都電の走る下町 というイメージを持ってました。王子の街の情景が浮かび、そこに住む人とのふれあいを感じられる物語です。結構、文学的な内容もあって、ちょっと苦手な文章もありましたが、街の空気みたいなものが感じられました。まだ、都電に乗ったことがないので、一度乗ってみたくなりました。

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2007-01-16

『見えない誰かと』 瀬尾まいこ

瀬尾さんの初めてのエッセイ集。主に学校に関することが多いが、4~5ページくらいの短い内容がたくさん盛り込まれている。エッセイというより日記(ブログ)を読んでいるような感じ。小説では優しい暖かい物語を描く瀬尾さんの人柄が伝わってくる。現役の教師といっても堅苦しくなく、すごく親しみやすい身近な人に思えました。こんな先生に教わってみたかったなあ。

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2007-01-14

『東京タワー』 リリー・フランキー

~オカンとボクと、時々、オトン~

話題作なので、いつかは読みたいと思ってました。ずいぶん待たされましたが、図書館の順番がようやく回ってきました。期待通りの感動できる一冊でした。小説といっても、オカンの自叙伝みたいなお話でしたが、全部実話なんでしょうか?オカンはすごいなあというのが率直な感想です。ここまで母と息子の結びつきが強いのも驚きです。見方によっては、親離れ、子離れができていないような気もしますが・・・。ところで、リリーさんのことを全く知らないのですが、自由奔放な人ですね。

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2007-01-08

『丹生都比売』 梨木香歩

丹生都比売 (におつひめ)

持統天皇の治世を舞台に、丹生都比売という姫神と、水と、銀とに彩られた、草壁皇子の少年の日々を描いた歴史ファンタジー。

梨木さんのお話が好きでも、ここまで読むと極めてきたなあと思いたくなります。地元の図書館にあったことを感謝します。正直読み始めは抵抗があって、なかなか読めませんでした。難しいのかなあ、と思っていたのです。実際そんなことはありませんでした。歴史の知識がなくてもOKです。梨木作品の原点みたいなものが感じられました。あとがきに編集者が売れなくてもいいから本にしよう、とあったのはすごいと思いました。ここまで来たら、梨木さんの本を全部読んでみようかな。すると次は絵本?

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2006-12-30

『陰日向に咲く』 劇団ひとり

率直な感想は、何故?人気があるのかわからない。そんなにいい本だろうか?図書館で何ヶ月も待たされたせいもあり、正直がっかりした。まあ、芸人が書いたものとすれば、うまいのかもしれない。タイトルのネーミングはいいと思ったが、内容はいまひとつ。情景描写は丁寧に描かれているが、何を読者に訴えたいのか見えてこない。構成はまとまりがなく、無理矢理に登場人物を関連づけさせているように思えた。本は厚さの割にはページ数が少なく、あっという間に読めてしまったので、軽めの読み物と思えばいいのかも。この本は賛否が分かれますね。私はもちろんNG。

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2006-12-29

『卵の緒』 瀬尾まいこ

ようやくデビュー作を読みました。瀬尾さんの原点を感じさせる一冊でした。「卵の緒」と「7's blood」の2話からなり、「家族」がテーマになっています。血が繋がっていない親子、複雑な関係の姉弟。関係はどうあれ、人と人が繋がって家族になっているという幸せ。温かく優しい気持ちになれます。

これで瀬尾さんの本を一通り読み終わったと思ったら、エッセイがでたみたい。こちらも楽しみです。

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2006-12-13

『まほろ駅前多田便利軒』 三浦しをん

東京のはずれに位置する「まほろ市」の駅前にある便利屋「多田便利軒」に舞い込む依頼を多田と行天のコンビが片付けていく物語。直木賞受賞ということで、読んだのですが漫画みたいなストーリーだった。テレビの刑事ドラマに出てくるようなハードボイルド・コメディといった感じでしょうか。おもしろいんだけど、ただ、それだけかな。まほろ市というのは町田市をイメージしているのかな?

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2006-12-12

『図書館の神様』 瀬尾まいこ

妙にタイトルに惹かれて読んでみた。しかし、内容はそれ程タイトルにマッチしていたとは思えない。違うタイトルでもよかったのではないかとも思う。作品自体は優しい、心温まるお話。

清(きよ)という名前の高校の女性講師の成長あるいは復活の過程を描く。惰性で教師を目指すことになってしまい、興味のない文芸部の顧問を受け持つことになる。そこで出会う一人の生徒とのふれあいが変化をもたらす。過去に傷ついた心は少しずつ変わっていく・・・

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2006-11-28

『天国はまだ遠く』 瀬尾まいこ

仕事も人間関係もうまくいかず、毎日辛くて息が詰りそう。23歳の千鶴は、会社を辞めて死ぬつもりだった。辿り着いた山奥の民宿で、睡眠薬を飲むのだが、死に切れなかった。自殺を諦めた彼女は、民宿の田村さんの大雑把な優しさに癒されていく。大らかな村人や大自然に囲まれた充足した日々。だが、千鶴は気づいてしまう、自分の居場所がここにないことに。心にしみる清爽な旅立ちの物語。

現実から逃れて、自殺を試みたが失敗。最期の地と選んだ場所は何もない田舎だが、居心地がとてもよい。毎日心地よい生活が続き、次第に癒されていくが、ここは自分の居場所でないことに気づく。何をすればいいのかわからないが、何かをしなくちゃいけないと、新しい自分探しを決意する。逃げ込むだけでは何も始まらない。そんなメッセージがあるのかなと思います。テーマは重いですが、読みやすいタッチで、すぐに読み終わります。また、舞台となっている場所は、中学校の教師である瀬尾さんの丹後地方の体験が生かされているようです。

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2006-11-26

『水辺にて』 梨木香歩

on the water / off the water

カヤックで漕ぎだす、豊かで孤独な宇宙。そこは物語の予感に満ちている。

梨木さんのエッセイ集も3冊目。前作「ぐるりのこと」とは一味違う内容になっている。まず驚くのは梨木さんがカヤックにはまっていること。これはスポーツとしてみると意外なことだが、自然本来の姿を深く追求する面から考えれば、不思議ではないかもしれない。ただ、カヤックの名前が「ボイジャー」というのはちょっと笑ってしまう。水辺の視線から見た情景が活字を読んでいても目に浮かぶ様。物語がどこから生まれてくるのか。生命の営みをどこから感じているのか。もう一度読み返せば、もっと深く理解できるかもしれない。今度は近くの川辺で読んでみようかな。「沼地のある森を抜けて」の背景も、この本を読んでわかりました。

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2006-11-20

『風に舞いあがるビニールシート』 森絵都

器を探して、犬の散歩、守護神、鐘の音、ジェネレーションX、風に舞いあがるビニールシートの六つの短編集からなる。

カバーのキャッチコピーにありますが、大切な何かのために懸命に生きる人たちの、6つの物語。短編ながらも、内容はとても充実しています。読み終わると清々しい気持ちになれました。おすすめは単行本のタイトルにもなっている、風に舞いあがるビニールシート。UNHCR国連難民高等弁務官事務所で働く女性の話ですが、馴染みの薄い話題を見事に書き上げています。ビニールシートという比喩はインパクトあるなあ。

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2006-11-11

『ラッシュライフ』 伊坂幸太郎

ラッシュライフ

読むとおもしろいが、最近、伊坂さんの作品を何冊か読んできたせいか、作風のパターンがいつも同じようなので、新鮮味が感じられなくなってしまった。この本に関しては、登場人物が大勢いて、それぞれが複雑に重なり合ってくるのだが、どこに話の焦点があるのかわかりにくい。もっとシンプルでもいいような気がする。

泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。

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2006-11-04

『上品で美しい国家』 日下公人 伊藤洋一

上品で美しい国家日本人の伝統と美意識

小説ばかり読んでいたので、たまには堅い本を読みました。二人の著者の対談形式で、世界から見た日本や日本人について書かれています。日本人は日本に自信を持て、ということでしょうか。世界から見た日本という視点は、海外経験が豊富でないとわからないと思いますので、興味深い事実や意見が結構ありました。伊藤さんの考えはすうっと入ってくるのですが、日下さんの考えは同意しかねるところもありました。それにしても、日本って、そんなに特別なのかな?

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2006-11-01

『重力ピエロ』 伊坂幸太郎

重力ピエロ

遺伝子やガンジーなど、よく調べて書かれている本でした。それらの言葉が巧みにストーリーに絡み合ってくるから、文章はうまいなあと思います。ただ、今回はストーリー自体に目新しさは感じませんでした。なんとなく先が読める内容だったので、ちょっぴり残念です。

泉水と春の兄弟は過去に辛い出来事を抱えている。グラフィティアートと連続放火が事の始まり、その謎解きに乗り出し、遺伝子のルールが絡んでいることがわかる・・・

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2006-10-30

『りかさん』 梨木香歩

りかさん

「からくりからくさ」を読むと、やはり「りかさん」も読まないといけない気になってしまい手に取ることになる。どちらを先に読むかは自由だが、私は後から読んだほうがいいと思う。蓉子の子供頃の話であるが、後々出会う人たちとの不思議な縁が見えてくる。人形の持つ思いを考えさせてくれます。

リカちゃんが欲しいと頼んだようこに、おばあちゃんから贈られたのは黒髪の市松人形で、名前がりか。こんなはずじゃ。確かに。だってこの人形、人と心を通わせる術を持っていたのだ。りかさんに導かれたようこが、古い人形たちの心を見つめ、かつての持ち主たちの思いに触れた時・・・。

文庫本は「からくりからくさ」のその後を描いた「ミケルの庭」を収録している。

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2006-10-24

『からくりからくさ』 梨木香歩

からくりからくさ

久しぶりに読み直しました。代表作だけに、ここから広がる梨木ワールドの原点みたいなものを改めて感じさせてくれます。やっぱり、この本は好きだなあ。

祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。静かな、けれどたしかな実感に満ちて重ねられてゆく日々。やさしく硬質な結界。だれかが孕む葛藤も、どこかでつながっている四人の思いも、すべてはこの結界と共にある。心を持つ不思議な人形「りかさん」を真ん中にして―。生命の連なりを支える絆を、深く心に伝える物語。

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2006-10-23

『温室デイズ』 瀬尾まいこ

温室デイズ

昔も今も変わることのない教育問題をテーマにしている内容でした。いじめ、暴力、登校拒否、そして学級崩壊。様々な視点から描いているので、全体像がつかみやすく、それぞれの問題も見えてきます。「温室」とはうまく言ったもんです。是非、中学生に読んで欲しい一冊です。

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2006-10-10

『チョコレートコスモス』 恩田陸

チョコレートコスモス

とにかく、おもしろかった。長編なので、ゆっくり時間をかけて読もうと思っていたら、すっかり引き込まれてしまって、2日で読み終えてしまった。読後の清々しい気持ちは「夜のピクニック」を彷彿させる。一見、「ガラスの仮面」の小説版かと思わせるところもありますが活字だけに奥が深い。これを映画化したら、おもしろいんじゃないかな。キャストは宮崎あおいのイメージに合いそうな気がします。

演劇業界では、新劇場の柿落としとなる芝居が話題になっていた。その頃、無名の少女、佐々木飛鳥が演劇に興味を惹かれ、小さな劇団に入団する。未経験にもかかわらず天才的な演技で注目を浴びることになり、新劇場の芝居のオーディションを受けることになる。少女は芝居をやりたいというわけではなく、そこに何があるのか知りたいというだけで、戸惑いながらも有名女優達と競うことになり、自分の探していたモノを見つけていく。

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2006-09-30

『家守綺譚』 梨木香歩

家守綺譚

既に単行本を読んだことがありましたが、文庫本化されたのをきっかけに改めて読んでみました。こういう作品は何度読んでもいいですね。この季節は窓を開けて虫の声を聴きながら、じっくりと読んでいると一層引き込まれる感じがします。

今から百年くらい前、亡き友の実家の家守として住むことになった綿貫征四郎が出会う数々の不思議な物語。日本の自然や伝説にふれるのも心が癒されます。巻末の随筆は単行本にはなかったかも?

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2006-09-29

『終末のフール』 伊坂幸太郎

終末のフール

辛うじて今月読めた本は、思いの外図書館の予約待ちで待たされた。伊坂さんの話はいつもうまいなあと感心しつつ、すらすらと読みやすい。

8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡するという、重大発表がされてから5年が経った仙台市北部の団地に住む人々の葛藤を描いた話。映画のようにヒーローが現れて、ハッピーエンドになるわけでもなく、社会秩序もなくなり大混乱に陥る。3年後にはみんな死ぬという恐怖と絶望の中、人は何のために生きるのか。究極の心理状態を巧みに表現していると思います。

実際、こんなことになったら、自分はどうするだろう?

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2006-08-27

『永遠の出口』 森絵都

永遠の出口

紀子という少女の小学三年から高校三年までの様々な出来事を描いたお話。70年代から80年代の時代背景が妙に懐かしさを憶える。普通の少女という設定になっているが、結構波瀾万丈のストーリーになっていて、どんどん読みたいという衝動に掻きたてられる。人生をつまずいても元気に生きよう、というメッセージが伝わってきました。

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2006-08-26

『日本沈没 第二部』 小松左京/谷甲州

日本沈没(第2部)

映画のタイミングに合わせたような『日本沈没』の続編。日本列島が消失した後の話です。科学的な詳細な描写には感心するのですが、正直なところ期待はずれでした。特にラストは何?と疑いたくなってしまう。いきなり、飛躍してしまったので面食らってしまいました。とっても残念です。これなら続編なんて出さない方がよかったのではないでしょうか。

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2006-08-12

『屋久島ジュウソウ』 森絵都

屋久島ジュウソウ

森絵都さんの屋久島での旅日記。ジュウソウの意味を勘違いしながらも、九州最高峰の宮之浦岳を登って縦走してしまうのは驚きです。森さんのエッセイを読むのは初めてでしたが、思っていたより気さくな感じがしました。私も昨年、屋久島を訪れて縄文杉を見に行ったので、すごく身近に感じて読むことが出来ました。この島に魅せられてしまう人は多いと思いますが、また行きたくなりました。

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2006-07-30

『強運の持ち主』 瀬尾まいこ

強運の持ち主

思わず本の題名に興味を惹かれて読んでしまったかも(笑)

OLを辞めて、一人でもできる気楽な仕事として占い師を選んだルイーズ吉田は売れっ子として大忙しの毎日を送る。きちんとした占いではなく、直感で適当なことを言っていても、その人の話し相手になってやることを心がける。占いを通して出会う人たちとのふれあいを描いた話。平凡な話かもしれないけれど、やさしい気持ちになれる一冊です。

占いの仕事は人生相談と変わりがないような気がしてきました。正確に占うことが大事ではなく、人の背中を押してあげることが役目なのですね。

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2006-07-02

『その日のまえに』 重松清

その日のまえに

重松さんの本は初めて読みました。とても、しっかりした丁寧な文章で、小説というよりも文学的という表現が似合っているように思えます。短編集のそれぞれが関連付けられているのは一見巧みに感じましたが、ちょっとこじつけにも見えました。

全編を通して語られているのは、病気で余命を宣告された人や、その家族と周囲の人の姿。ちょっと、重いテーマですが、生きること、死ぬことの意味を考えさせられます。しんみりとしてしまいそうですが、こういう気持ちを理解するのは「その日」にならないと受け入れられないかもしれません。

ひこうき雲/朝日のあたる家/潮騒/ヒア・カムズ・ザ・サン/その日のまえに/その日/その日のあとで

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2006-06-18

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』 J.K.ローリング

ハリー・ポッターと謎のプリンス

土日のほとんどを費やして、やっと読み終わりました。少し疲れたけれど、期待を裏切らないおもしろさです。さすがに第6巻ともなると物語もクライマックスを感じます。ハリーも成長して、大人になりました。今回は謎のプリンスがテーマでしたが、読んでいて途中でなんとなくわかりました。とても大切な人も亡くなってしまったし、物語が大きく動きました。すごいと思うのは、これまでのシーンが複雑に絡み合っているところです。登場人物が多いので思い出すのも大変なのですが、よく考えているなあと感心してしまいます。最終巻は一体どうなるのか、気になりますね。いつ発売されるかわからないけれど、楽しみです。

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2006-05-22

最近の読書

最近忙しくなってきて、だんだん本が読めなくなってきた。図書館から何ヶ月も待たされた本を読まずに返すことも、時たまあったりする。読みたい本も最近はジャンルが偏っているような気がして、癒し系が多くなったのかな。ヒューマン、ファンタジー、恋愛小説・・・。以前はSFや推理小説が好きだったのに、今はあんまり読む気になれない。趣向にも心変わりがあるみたいです。

そうそう、先週発売されたハリポタの最新刊をまだ読んでいません。いずれ買おうと思っていますが、手にもしていません。第1巻から読んでいるので、今更やめられない(笑)ホントは読みたくて仕方ないのですが、あの厚さを考えると躊躇しています。読み始めると一気に読むと思うので、今の状況ではとても無理。来月になれば、少しは時間がとれるかなあ。もう読み終わった人、いるんでしょうね。あんまりネタバレしないでね(^^;)

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2006-05-21

『きいろいゾウ』 西加奈子

きいろいゾウ

夫の名は無辜歩(むこ・あゆむ)、妻の名は妻利愛子(つまり・あいこ)。お互いを「ムコさん」「ツマ」と呼び合う若夫婦が、九州の片田舎にやってきたところから物語は始まる。
背中に大きな鳥のタトゥーがある売れない小説家のムコは、周囲の生き物(犬、蜘蛛、百足、花、木など)の声が聞こえてしまう過剰なエネルギーに溢れた明るいツマをやさしく見守っていた。夏から始まった二人の話は、ゆっくりゆっくりとその年の冬まで進んでいき、「ある出来事」を機にムコがツマを残して東京へ向かう。
それは、背中の大きな鳥に纏わるある出来事に導かれてのものだった。ひとり残されたツマは、幽霊に出会い、家のそばにある裏山のなかへと進んでいった。そこで彼女は、あるものに遭遇する。

期待通りの心温まるお話でした。出版社の紹介は、ミステリーっぽくなっていますが、若い夫婦が絆を深める恋愛小説です。ファンタジーの要素も加わっていて、キーワードは「きいろいゾウ」と「おつきさま」。結構長編なので読むのは大変ですが、オススメな一冊です。前半は田舎生活ののんびりした様子を描いていますが、後半は一気に慌ただしくなってきます。読み終わると、なんとなくホッとして、暖かくなれると思います。でも登場人物の名前は、変な名前、これは作者の遊び心?

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2006-05-14

『死神の精度』 伊坂幸太郎

死神の精度

タイトルは怖そうな気がしますが、ホラーの類ではありません。読み終わると死神のイメージが変わるかもしれません。死神は仕事として、対象者の調査をするのですが、いつも天気が悪いとか、音楽がとても好きとか、不思議な設定です。死神から見た人間模様はこんな感じなのでしょうか?とてもうまく描かれている話だと思います。

6つの短編集

死神の精度/死神と藤田/吹雪に死神/恋愛で死神/旅路を死神/死神対老女

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2006-04-25

『ダ・ヴィンチ・コード』 ダン・ブラウン

ダ・ヴィンチ・コード(上) ダ・ヴィンチ・コード(中) ダ・ヴィンチ・コード(下)

ルーヴル美術館のソニエール館長が異様な死体で発見された。死体はグランド・ギャラリーに、ダ・ヴィンチの最も有名な素描“ウィトルウィウス的人体図”を模した形で横たわっていた。殺害当夜、館長と会う約束をしていたハーヴァード大学教授ラングドンは、警察より捜査協力を求められる。現場に駆けつけた館長の孫娘で暗号解読官であるソフィーは、一目で祖父が自分にしか分からない暗号を残していることに気付く…。

館長が死の直前に残したメッセージには、ラングドンの名前が含まれていた。彼は真っ先に疑われるが、彼が犯人ではないと確信するソフィーの機知により苦境を脱し、二人は館長の残した暗号の解読に取りかかる。フィボナッチ数列、黄金比、アナグラム…数々の象徴の群れに紛れたメッセージを、追っ手を振り払いながら解き進む二人は、新たな協力者を得る。宗教史学者にして爵位を持つ、イギリス人のティービングだった。

ティービング邸で暗号解読の末、彼らが辿り着いたのは、ダ・ヴィンチが英知の限りを尽くしてメッセージを描き込んだ“最後の晩餐”だった。そしてついに、幾世紀も絵の中に秘され続けてきた驚愕の事実が、全貌を現した!祖父の秘密とその真実をようやく理解したソフィーは、二人と共に、最後の鍵を解くため、イギリスへ飛ぶ―。キリスト教の根幹を揺るがし、ヨーロッパの歴史を塗り替えた世紀の大問題作。

久しぶりに本を読みました。既にベストセラーとなっている文庫本3冊の長編推理小説です。ゆっくり読む時間がなかったのでところどころ飛ばし読みしましたが、読みやすい文章なのでストーリーの大筋は理解できました。おもしろい本とは思いますが、情景描写や説明部分を除くと、案外単純なストーリーではないかと思います。推理小説なのに途中でなんとなく登場人物の役割がわかってしまうのは、ちょっとどうかなという気もします。宗教がテーマとなっていることは、無宗教の私にとって理解しにくい分野ではありましたが、美術と結びつけるのは興味深いものでした。5月に映画化される予定ですが、本より映画の方がいいかもしれません。

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2006-03-19

『春になったら苺を摘みに』 梨木香歩

春になったら莓を摘みに

梨木さんの初めてのエッセイが文庫本になりました。単行本を既に読んでいたのですが、改めて読み直してみました。梨木さんの原点ともいえる英国でのウェスト夫人との交流や考え方が伝わってきます。文庫本には追記の書き下ろしが掲載されていて、最後のページの言葉は大切にしたいですね。私も共感できます。

できること、できないこと。

ものすごくがんばればなんとかなるかもしれないこと。

初めからやらないほうがいいかもしれないこと。

やりたいことをやっているように見えて、

本当にやりたいことから逃げているのかもしれないこと。

 ーいいかげん、その見極めがついてもいい歳なのだった。

けれど、できないとどこかでそう思っていても、諦めてはならないこともある。

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2006-03-13

『ナラタージュ』 島本理生

ナラタージュ

高校を卒業しても、ずっと想い続けている先生との結ばれることのない恋のお話。二十歳の激しい恋を切なく描いています。とても読みやすい文章なので、結構引き込まれると思います。情景や心理描写がとても繊細できれいなのですが、あまりそれが過ぎると読んでいて、ちょっと疲れる気がしました。しかし、筆者は20代前半、これだけの本が書けるのには驚きです。将来が楽しみです。

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2006-03-08

『100回泣くこと』 中村航

100回泣くこと

一言で表現すれば、泣ける恋愛小説になると思いますが、小説としては物足りない。ストーリーは如何にも涙を誘うというパターンなんですが、文章が軽すぎるのではないかと思います。やさしく、わかりやすいので当然読みやすいのですが、話に引き込まれるという感じになりませんでした。それとも、こういう書き方の方が恋愛小説としては受けるのでしょうか?

実家で飼っていた愛犬・ブックが死にそうだ、という連絡を受けた僕は、彼女から「バイクで帰ってあげなよ」といわれる。ブックは、僕の2ストのバイクが吐き出すエンジン音が何より大好きだったのだ。4年近く乗っていなかったバイク。彼女と一緒にキャブレターを分解し、そこで、僕は彼女に「結婚しよう」と告げた。彼女は、1年間(結婚の)練習をしよう、といってくれた。愛犬も一命を取り留めた。愛犬→バイク修理→プロポーズ??。幸せの連続線」はこのままどこまでも続くんだ、と思っていた。ずっとずっと続くんだと思っていた。

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2006-03-05

『はるがいったら』 飛鳥井千砂

はるがいったら

第18回小説すばる新人賞受賞

この本はオススメします☆少々文章がぎこちなく感じるところもありましたが、読み始めるとすっーと入っていけて、みずみずしさを感じられた本でした。筆者はまだ20代なのに、こんな本が書けるなんて驚きです。新しい感性の登場!というキャッチコピーもあるようですが、これからもよいお話を期待します。

園(ソノ)と行(ユキ)という両親の離婚で離れて暮らす姉弟の話。姉はおしゃれ好きな完璧主義者、弟は何事もそつなくこなすが熱くなれない、いい子。そして、二人が子供の時に拾った犬のハル、ハルは老犬で介護をされて何とか生きている。人と人との関係はいろんな想いと出来事があります。

最初タイトルの意味がわからなかったけれど、読み終わるとセンスの良さを感じられました。

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2006-03-04

『踊るナマズ』 高瀬ちひろ

踊るナマズ

第29回すばる文学賞受賞

ナマズをテーマにする不思議なお話でした。

郷土に伝わるナマズの伝説を出産を控えた妊婦が子供の頃に聞いた話を振り返る。町に伝わっているナマズの話は、大ナマズを高僧が退治したというものだったが、地元の民話に詳しい老人に話を聞くことになると、元になった伝説があることがわかる。ちょっと、子供には教えにくい男と女の話だった・・・

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2006-02-27

『下流社会』 三浦展

下流社会

「下流」とは、単に所得が低いということではない。コミュニケーション能力、生活能力、働く意欲、学ぶ意欲、消費意欲、つまり総じて人生への意欲が低いのである。その結果として所得が上がらず、未婚のままである確率も高い。そして彼らの中には、だらだら歩き、だらだら生きている者も少なくない。その方が楽だからだ。(「はじめに」より)

久しぶりに小説以外の本を読んだのですが(正確にはパラパラ飛ばし読みをしただけで)あまり真剣に読む気にはなれなかった。とても売れている本みたいですが、こんな考え方もあるんだなあと思うくらいがいいのではないでしょうか。マーケティング・アナリストの筆者が数多くのデータを分析した結果に基づいて書かれていますが、成る程と思えるところもあれば、そうかなと疑問に思うところもあります。でも、タイトルは強烈な響きがありましたね。

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2006-02-18

『優しい音楽』 瀬尾まいこ

優しい音楽

短編集3つを集めた一冊。

「優しい音楽」 死んだ兄にそっくりな人と付き合うことに・・・

「タイムラグ」 不倫相手の子供を二日間預かることに・・・

「がらくた効果」 拾ってきた?おじいさんと過ごすことに・・・

瀬尾さんの書く本は、いつも優しさと温かさで満ちている。

特別驚くような展開はないけれど、読み終われば、ほっと出来る。

こんな感覚、最近は少ないから、心にすっーと入ってきます。

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2006-02-05

『あの日にドライブ』 荻原浩

あの日にドライブ

タクシードライバーとなった元エリート銀行員が自分の生き方を見つめ直す話。タクシードライバーという仕事に戸惑いながら、家族との関係もぎくしゃくしてくる。そんな中で昔のことを思い出して、あの時こうしていれば・・・こうなったかもしれないと妄想しながらも、現実を受け入れ、本当の幸せを実感していく。誰もが抱く、たらればを描いている。歳を重ねていくとこう思うことが増えてくるかもしれません。読みやすい文章ですが、少々インパクトに欠けるかなと思いました。

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2006-01-09

『県庁の星』 桂望実

県庁の星

映画化されるという話題からミーハー気分で読んでみた一冊です。まるで、映画やドラマになることを前提としたような本でした。でも、小説としての出来は今ひとつだと思います。31歳のエリート県庁職員が民間企業に1年間の研修勤務をするという内容で、派遣されたスーパーでは違和感を感じながらもお役所的な考えが少しずつ変わってきて奮闘する姿を描いています。ちょっと調子よすぎないかとも思えるところもありますが、コメディータッチなので楽しめると思います。映画の主役は織田裕二のキャラにぴったりだと思いますが、柴咲コウの役は原作と設定が違うので、どうなるのか興味津々です。

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2005-12-24

『ターシャの庭』

ターシャの庭

アメリカの絵本作家、ターシャ・テューダーさんの30万坪にもおよぶ庭を紹介した写真集です。ページをめくるたびに美しい庭が現れ、おとぎの国のような風景に驚くばかりです。数多くの花が咲き誇る風景は心を和ましてくれますが、ガーデニングの頂点に立つようなこの広大な庭を手入れしていくのは大変な苦労があると思います。庭のない私でも、いつかは箱庭でもいいからガーデニングをしてみたくなりました。

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2005-12-11

『西の魔女が死んだ』 梨木香歩

西の魔女が死んだ

梨木さんの代表作になったこの本は何度も読んだ。それは生活が乱れたときや不安になったときなど自分のリズムが崩れたときに読むようにしている。今回は再就職の前にもう一度読んでおきたかった。読むとほっとして心が落ち着く大切な一冊。児童文学のジャンルに入るが年齢を問わず大人でも十分受け入れられると思う。

中学に進んで学校に行けなくなった少女が祖母の家で過ごすことになる。そこで、魔女修行をすることに、それは、何でも自分で決めるということ・・・

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2005-12-09

『対岸の彼女』 角田光代

対岸の彼女

直木賞を受賞した人気のある本なので、図書館に予約してから半年も経ってようやく順番が回ってきました。子持ちの専業主婦と独身の会社社長、全く生き方の異なった同い年の二人の女性が出会って、お互いの理解を深めていく物語。二人の話を現在と過去に交互に描いているのがとてものめり込みやすい。私がちょっと気に入った文章もありました。

なぜ私たちは年齢を重ねるのか。生活に逃げこんでドアを閉めるためじゃない、また出会うためだ。出会うことを選ぶためだ。選んだ場所に自分の足で歩いていくためだ。

それからこの物語の中に出てくる渡良瀬川は私の故郷の川なので、懐かしく思えました。まさか小説に出てくるとはびっくりです。森高千里の曲、渡良瀬橋以来の驚きでした。

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2005-12-08

『幸福な食卓』 瀬尾まいこ

幸福な食卓

優しい温かい本です。読み始めは幼い文章に思えたが、体にすうっと入っていく様な感じが気持ちいい。佐和子という女の子の中学から高校までの出来事を描く。父親は自殺未遂をし、仕事を辞める。母親は家を出る。兄は大学に通うのをやめる。普通なら崩壊した家庭なのに家族はつながっている。ほんわかとしたお話だなあと思っていたら、最後に悲しい出来事が起きる。それを救うのは家族や周りの人の想い。食卓を囲んで食事をするのがとても大切に思えてくるはずです。

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2005-12-07

図書館

最近はよく本を読んでいる。時間が出来たのはもちろん、本を買わずに図書館から借りるようにしたおかげも大きい。私が利用している図書館は地域では最も利用者数の多いところで、平日、休日を問わず、いつも混み合っている。インターネットやケータイからも予約できるのはとても便利。でも、本をたくさん読めるのもあと少しかな。来週からは働かなきゃいけないので、しばらくは慣れない仕事に注力することになるだろう。それまで、あと何冊読めるかな。

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『図書室の海』 恩田陸

図書室の海

六番目の小夜子の番外編や夜のピクニックの予告編を含むホラーやミステリーやファンタジーなど様々な短編集を一冊にまとめたもの。少々寄せ集め的なところも否定できない。読み終わるとさらっとしていて、正直あんまり感想もないかな。

「春よ、こい」 「茶色の小壜」 「イサオ・オサリヴァンを捜して」 「睡蓮」 「ある映画の記憶」 「ピクニックの準備」 「国境の南」 「オデュッセイア」 「図書室の海」 「ノスタルジア」

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2005-12-03

『魔王』 伊坂幸太郎

魔王

「魔王」「呼吸」の2部構成からなる。「魔王」常に物事を冷静に判断する男が、他人に自分の思ったことをしゃべらせる不思議な力を身につける。折しも大衆を扇動する政治家が現れ、その流れを危惧して対決しようとする。「呼吸」その弟も運がいいという不思議な力を身につける。魔王の5年後を弟の妻の視線から描く。とても鋭い視線で、日本の社会問題を投げかけているような話です。近いうちにこの本で挙げられている問題に実際に直面する可能性は高いかもしれません。そういう点では自分自身も考えさせられました。しかし、ストーリーにインパクトが足りない気がします。これで完結なの?という感じです。あとは読者が考えてくれということなのでしょうか。ちょっと私には理解できていないのかもしれません。

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2005-12-01

『博士の愛した数式』 小川洋子

博士の愛した数式

17年前の事故により記憶障害になってしまった天才的な数学者を世話することになった家政婦とその息子との交流を描く心温まるお話です。事故以前の古い記憶はあるものの、それ以降は80分しか記憶力が無くなってしまった博士は数学一筋で生きてきた人。家政婦は最初戸惑いながらも、少しずつ博士の数学の世界に惹かれ、阪神ファンの息子は博士の愛情につつまれていく。せつないけれど、優しさを感じられると思います。昔は数学なんて苦手だったけれど、切り口が違うと案外興味深いものです。なお、来年に映画が公開されるみたいです。

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2005-11-22

紅茶を飲みながら

紅茶をもっと楽しむ12カ月

『紅茶をもっと楽しむ12ヶ月』 日本ティーインストラクター会

最近小説ばかり読んでいたので疲れたのか、少し軽めの本を読む、というか眺める。紅茶の基礎知識から歴史、紅茶のおいしい入れ方などを解説しています。料理本のように写真もいっぱいだから気軽に楽しめます。意外にも中国が紅茶の産地であったり、紅茶をベースにした珍しい飲み物などを紹介してたりと勉強になりました。と言いつつも内容があまりに盛りだくさんなので、とても覚えられません。まあ、紅茶がおいしく飲めればそれでいいのでは・・・。

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2005-11-17

『花まんま』 朱川湊人

花まんま

直木賞受賞作というミーハー気分から手に取った本。一つの話なのかと思っていたら、「トカビの夜」「妖精生物」「摩訶不思議」「花まんま」「送りん婆」「凍蝶」の六つの短編集からなる。ストーリー自体に新鮮さは感じないがどこか懐かしさを思わせる話。ファンタジーみたかったり、ホラーみたかったり、ミステリーみたかったりとそれぞれ工夫されている。設定は大阪を舞台に幼少の頃を振り返る内容になっているが、こんな子供がいたらちょっと大人びているなと思えてしまう。作者と同年代の40歳代の人や大阪で生まれ育った人なら、もっとノスタルジーを感じられるのではないでしょうか。

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2005-11-11

『明日の記憶』 荻原浩

明日の記憶

映像から伝わる泣ける映画はそれなりにあるが、活字を追って泣ける本は少ない。50歳の広告代理店に勤める営業マンが若年性アルツハイマーと診断される。その症状の進行に伴う身体の変化や心の葛藤を描いている。悲劇の話と位置付ければ簡単だが、生きる意味を考えさせてくれる、何とも言えない哀愁みたいなものを感じました。アルツハイマーの症状や周囲を取り巻く様子も詳細に描かれていて、怖い病気と実感できます。ちょうど、同じテーマを扱った「私の頭の中の消しゴム」という映画が上映されていますが、この本も映画化が決定しているようです。

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2005-11-06

乗り遅れている

日経トレンディ12月号に「2005年ヒット商品ベスト30」という記事があった。そのうちベスト10だけ挙げてみると

1 iPod nano & iTMS

2 愛知万博(愛・地球博)

3 ブログ

4 ニンテンドーDS

5 ウィルコム定額プラン

6 着うたフル

7 スチーム調理器(オーブンレンジ)

8 NANA

9 震災時帰宅支援マップ

10 寒天

このうち自分に当てはまるのはわずかに1つだけでした。それは何って?もちろんこのブログのことですよ。すっかり時代に乗り遅れているようです。ん~来年はiPod買おう。

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2005-11-01

『さくら』 西加奈子

さくら

関西に住むある家族の出来事を描いた話。優しい暖かい物語で感動できます。3人兄弟を中心に次々に起きる様々な出来事、まるでテレビドラマのような展開です。その家族と共に生きる「さくら」という名の犬が家族を繋いでいるのかもしれません。会話はすべて関西弁なので、私のような関東人は読むのにちょっとつっかえるかな(笑)

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2005-10-30

『となり町戦争』 三崎亜記

となり町戦争

期待しすぎたのかもしれないが、正直がっかり。途中で何度も読むのをやめようと思ったが、図書館から5ヶ月も待たされてようやく借りられた本だったので一応最後までは読んでみた。前評判が高く、となり町と戦争をするという奇抜な発想は斬新であったが、内容はおもしろくもなんともない。戦争という言葉で何かを比喩しているのか、一般市民の戦争に対する受け止め方を描いているのか、それともお役所の体質を批判しているのか、さっぱりわからない。ん~久しぶりに辛口の感想になってしまいました。

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2005-10-21

『沼地のある森を抜けて』 梨木香歩

沼地のある森を抜けて

梨木さんの発想の豊かさには恐れ入ってしまう。先祖伝来のぬか床から始まる奇妙な話。神話っぽいファンタジーでありながらSFの要素も盛り込まれていた、生命をテーマにした壮大な不思議な物語です。内容は全く別だが『裏庭』を思い出す作風でありながら、これまでの作品とは少し違っていたような気がします。それにしても梨木さんの本は(自分が無知のせいかもしれないが)難しい言葉が出てきたり、独特の価値観があってちょっと難しい。もはや児童文学作家の領域を超えていると思う。今回の作品は一度読んだだけでは理解できないところもあったので、もう一度読み直すつもり。梨木ワールドのすべてを理解するにはまだまだ時間がかかりそう。。。

また、この本を読んでいるときに偶然知りましたが、『沼地のある森を抜けて』の第一章と思われる『フリオのために』がラジオドラマになるみたいです。せっかくドラマにするなら一冊分やってほしいですが長編だから長すぎるのかな。

【放送日】
2005年10月29日(土曜日)22:00-22:50 NHK-FM FMシアター

あらすじ:30歳を過ぎて独り身の久美は、急逝した叔母、時子の形見としてぬか床をもらった。この家に代々受け継がれてきた家宝だそうだが、不思議なことに時々「呻く」のだという。毎日朝晩かき回していた久美は、ある日ぬか床が奇妙な卵を宿しているのに気づく。そしてその卵が生んだ少年は……少女性と母性の間で揺らぐ女性の心理を端正に描いた梨木香歩の短編小説を原作に、サラウンドで描く現代の幻想奇譚。

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2005-10-08

『夜のピクニック』 恩田陸

夜のピクニック

ずっと読みたいと思っていた本でしたが、図書館の予約待ちで4ヶ月以上も待たされた。それだけの理由は読んでわかったような気がします。読み終わると爽やかですがすがしい気分なれると思います。文章もとても読みやすい。内容は高校生が夜を徹して80kmを歩き通すという歩行祭の中で、ある生徒の胸に秘めたわだかまりを清算する課程を描いている。80kmも歩き通すなんて行事、よくやるよと思っていたら、どうやら実在する高校が水戸にあるみたいですね。う~ん、すごい!やり通すのは大変だろうけど思い出になるだろうなあ。これぞ青春ですね(笑)既に映画化も決定しているとのこと。ちょっと興味ありますね。

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2005-09-30

『いつかパラソルの下で』 森絵都

いつかパラソルの下で

とても文章がなめらかで読みやすい本でした。読み始めは退屈なストーリーかなと思っていたのですが、前半の丁寧な描写が後半に生きてきます。映画にできそうなお話です。
主人公は厳格な父親にわだかまりを持っている。父の死後に疑念が生じ、兄妹3人で父親の故郷を訪ね真偽を確かめることになる。やがて、それは自分自身の生き方を見つめ直すことになっていく・・・。

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2005-09-24

『ぐるりのこと』 梨木香歩

ぐるりのこと

この一年は本を読むことが多くなった。その中でも、梨木さんの本は精力的に読破している。今ではもっとも好きな作家の一人かもしれない。こんなに一人の作家の作品を読むことは珍しい。何にそんなに惹かれたのかうまく言葉に出来ないが、自然な心に共感したのかな、と思う。2冊目のエッセイ『ぐるりのこと』は、彼女の思いが伝わってくるような本。何度か読み直すと自分はどうだろうかと、静かに、丁寧に、ぐるりのことを考えたくなります。

もっと深く、ひたひたと考えたい

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2005-08-31

『シリウスの道』 藤原伊織

シリウスの道

最近本ばかり読んでいる。時間に余裕があるのも理由の一つだが、本を購入しないで図書館を利用しているせいもある。図書館は人気があるとなかなか借りられない。半年待ちもあり得る。そのため、いつも予約枠はいっぱいだ。
今回は藤原さんお得意のハードボイルドアクションかと思ったら、少し違っていた。内容は広告業界の内幕を中心に展開し、主人公の過去と結びつけている。どこか聞き覚えのある名前が出てくると思ったら、「テロリストのパラソル」のキャラクターが顔を出していた。全体的には悪くないが、後半がいまひとつかな。いろいろ盛り込みすぎたせいで、焦点が絞れていないのではないかと思う。ちょっぴり残念。

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2005-08-27

『日本力』 伊藤洋一

日本力。

コメンテーターとして活躍されている伊藤さんの本を読んだ。経済関係の本を読むことは正直あまり多くないが、今回は本のプレゼントに当たったので読むことになった。動機は単純なんです(笑)経済関係といっても堅苦しい内容ではなく、わかりやすく丁寧に綴られていたので、一気に読むことが出来た。

「Japan is cool.」 (日本はかっこいい)

この言葉はとても印象的でした。そして、なによりも日本は悲観論が過ぎると主張している。もっと自信を持つべきと思いました。とても元気になれる一冊です。

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2005-08-16

『空中庭園』 角田光代

空中庭園

角田さんの作品を読むのは初めて。本当は直木賞を受賞した『対岸の彼女』を読もうとしたが、図書館の予約待ちが長引いて、こちらの方が先に順番が回ってきた。
ある家族を6人の視点から描いた内容で、最初は主人公が誰だかよくわからなかった。結局は家族全員が主人公だったみたい。家族の持つ表と裏を描いた少し重い内容でした。ストーリーがリレーのようにバトンタッチされて流れていく構成は、今まで読んだことがなかったので新鮮に思えた。
この話は今秋に映画化されるらしいが、あまり明るい話とはいえない。KYON2が主演ということだが、役柄が合わないような気がするのは私だけかな・・・m(_ _)m

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